報告
外が暑くて、外に出たくないよ~
教会に奴隷だった者たちを保護してもらったユウリたちは、現在ギルド長の部屋で、今回の事の報告をしていた。
まさか、ギルドの受付でシュカが一言「ギルド長に話がある」と言っただけで通されるとは。
トゥスタードのギルド長、ノームは報告を聞くと、深くため息をついた。
「まさか、この街でそんな事が起きていたとはな。今回の件は礼を言う」
ノームは頭を下げて礼を言うと、顔を上げて、ユウリの膝の上に座っている子供を見ていた。
「しかし、白狼族がいるとはな・・・・・・」
そう、ユウリの膝の上に座っているのはルリだった。
教会に保護をしてもらおうとしたが、ルリがユウリから離れず、今に至る。
因みにルリの姉であるアンナは、ユウリが座っている椅子の後ろに立っていた。
「・・・・・・話を戻そう。今回、フリヒード公爵が裏で関わっているとはな」
「それに関しては、私の方でできるだけ対処をしよう」
「公爵家だと、下手な手出しはできないんじゃないんですか?」
フェルカはシュカに疑問を投げかけると、シュカはその疑問に答えた。
「大丈夫だ。なんせ、フリヒード公爵は私の婚約者でもあるのだからな」
「「「・・・・・・は?」」」
シュカの言葉に、ユウリたちは頭の中が真っ白になった。
すると、ノームがユウリたちに質問をした。
「まさかお前さんたちは、この御方が誰だか知らないのか?」
「いや、知らないが・・・・・・」
「なんだ、知らなかったのか?私はアグナッド帝国の第一王女、シュカ・C・アグナッドだ」
「・・・・・・シュカが、第一王女?」
まさかのシュカの素性に、驚きが隠せなかった。
「じゃあ、イアンは・・・・・・」
「俺は、アグナッド帝国騎士団に所属しています。まあ、今はシュカ様の護衛ですが」
どうやら、話を聞いていくとフリヒード公爵との婚約は、シュカの父親であるアグナッド帝国の国王が決めたものだという。いわば、政略結婚だ。
そんな話をしていると、ノームが愚痴り始めた。
「大体最近、この辺りで騒動が起きすぎるんだよ。今回の件もそうだが、トゥスタードの近くにあるシュペルヘイムでもグレウスドラゴンが現れたらしいしな。だが、調査隊を派遣してもいなかったそうだし」
「ん?シュペルヘイムにグレウスドラゴン?」
「ユウリ、それって・・・・・・」
「なんだ?お前さんたち、何か知っているのか?」
ユウリたちがシュペルヘイムであった事を話すと、少しばかりノームは考え込んだ。
「・・・・・・本当にグレウスドラゴンが現れたのか。しかも、操っていたのは、邪神教とやらか」
「邪神教の証明はできないが、グレウスドラゴンの証明ならできるぞ。・・・・・・これはグレウスドラゴンの鱗と爪だ」
ユウリはそう言うと、《アイテム・ボックス》からグレウスドラゴンの鱗と爪を出した。
これは、シュペルヘイムを出る時に、村人たちが戦利品としてくれた物だった。
「これは凄いな。確かお前さんたちはEランクだったな」
「ああ」
「よし!ギルド長の権限で、お前さんたちをBランクに昇格させよう」
「いいのか?」
一番低いEランクからBランクに昇格となると、かなりの出世だ。
正直、ユウリたちはそんなに昇格する事をした覚えなど一切なかった。
「今回の礼だと思え。それに、お前さんたちにはBランクに相応しい力がある。姫様もそう思うだろ?」
「ああ、私もそう思う。Sランクの私が保証しよう」
(それに、ユウリの実力は私と同等か、それ以上かもしれないしな・・・・・・)
ノームに押し切られたユウリたちは銅プレートを預けると、ノームは奥の部屋に入っていった。
そしてノームを待っていると、アンナがユウリの前に来た。
「ユウリ様、お願いがございます」
「・・・・・・お、おう」
「私とルリを、貴方様と一緒に連れて行ってもらえないでしょうか?」
「・・・・・・」
「私たちは両親もいなく、村ももうありません」
そう、アンナたちの村は謎の集団に襲われて、無くなってしまったのだ。
そして、白狼族の生き残りはアンナたちだけになってしまった。
そんなアンナは、モジモジしながらユウリを見ていた。
「そ、それと、貴方様を一目見た時から、私たちの主に相応しいと思っておりました////」
「いいではないか、ユウリ。白狼族は身体能力も高いし、戦闘も慣れているはずだしな」
「はい、戦闘は得意です。特に私は隠密等もできます。それに私、《錬成》が使えます」
「私は良いと思うな。ルリちゃんも可愛いし」
「ええ、私も賛成だわ。仲間は多い方がいいわ」
そう言いながら、フェルカとセリナはユウリの膝の上で寝ているルリを愛でていた。
「・・・・・・はあ。分かったよ」
「ーーッ!?ありがとうございます!誠心誠意、貴方様に尽くさせていただきます」
ユウリが了承すると、アンナは満点の笑顔になった。
やはり、ルリと姉妹のようだ。ルリも可愛いが、アンナも嬉しいようで耳と尻尾をパタパタとさせていて、かなり可愛かった。
すると、先程までユウリの膝の上で寝ていたルリが起き、ユウリの服を引っ張った。
「おはよう~、お兄ちゃん」
「おはよう、ルリ」
「何かあったの?お姉ちゃん嬉しそう!」
「ええ。これから、ユウリ様たちと一緒に旅はする事になったのよ」
「本当!やった!」
ルリもユウリたちといれる事が嬉しいらしく、アンナと一緒に耳と尻尾をパタパタとさせていた。
ルリが嬉しがっていると、奥の部屋からノームが戻ってきた。
「プレートの更新ができたぞ。それと白狼族の嬢ちゃんにこれを」
そう言って戻ってきたノームは、ユウリたちに銀のプレートを渡した。
さらに、アンナには銅のプレートを渡した。
「話は聞いてたぜ。一緒に行くなら白狼族の嬢ちゃんも、持っておいた方がいいだろ」
「あ、ありがとうございます」
アンナがプレートを貰っていると、シュカがユウリにある提案をしてきた。
「ユウリ、私たちは明日帝都に戻るが、君たちも一緒に来てほしい」
「何でだ?」
「フリヒード公爵の件だ」
「分かった、俺も協力しよう」
「俺も、じゃなくて俺たちでしょ?」
「・・・・・・フェルカ。そうだな」
シュカの提案を受けたユウリたちは、ノームに礼を言うとギルドを出て、シュカと集合時間を決めて解散した。
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