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トゥスタード

早くカラオケ行きたいよ~

 翌日、宿屋を出たユウリたちは、トゥスタードのギルドに向かった。


 ユウリたちは剣が完成するまで時間があるので、ギルドでセリナの冒険者登録とクエストを受ける予定だ。


「ここがトゥスタードのギルドか」


 トゥスタードのギルドは大きく、中に入ると多くの人がいた。


 ユウリたちは受付に行くと、セリナの冒険者登録の手続きをした。


「手続きが終わったから、クエスト受けるか」

「うん!どれがいいかな?」

「私たちなら、討伐クエストがいいんじゃない?」


 ユウリたちはクエスト内容が貼られている掲示板の前に行くと、各々意見を言い合った。


 その結果、ユウリたちは『ゴルギスボアの討伐』というクエストを受けた。


「ほお?エルフが街にいるとは珍しいな」


 クエストを受けたユウリたちがギルドから出ようとすると、後ろから突然声をかけられた。


 ましてや、エルフと言われれば、この場ではセリナしかいないので、自分たちに声をかけているのは一目瞭然だ。


 ユウリたちが後ろを向くと、防具を身に着けた赤毛の美女とイケメン男性とシスターがいた。


「俺たちに何か用か?」

「いや、すまない。エルフはあまり街で見かけないもので、ついな・・・・・・」


 ユウリが一応警戒をして質問をすると、美女は失礼な事をしたと思い謝罪した。


 美女は謝罪をすると、ユウリたちをジッと見た。


「初めて見る顔だな。この街は初めてか?」

「え?あ、ああ。そうだけど・・・・・・」


 美女の質問にユウリが戸惑っていると、いつの間にか周りから注目を集めていた。主に目の前の美女がだが。


 そんな周りからは異様なざわめきがあり、「おい、あれって[烈火の姫]じゃねえか?」という声も聞こえてきた。


 ユウリが周りの声に耳を傾けていると、再び話しかけてきた。


「自己紹介がまだだったな。私はシュカだ。で、この二人はーー」

「俺はイアンです」

「私はマリアと申します」


 シュカが他の二人を紹介すると、イケメン男性とシスターが自己紹介をした。


「俺は久世ユウリだ、よろしく」

「私はフェルカです。よろしくお願いします」

「私はセリナよ、よろしく」


 ユウリたちも自己紹介をすると、シュカの態度は一気にフレンドリーになった。


「よし、もう堅っ苦しいのはなしだ。そうだ、一度パーティーを組んでみないか、ユウリ」

「いきなりだな」

「折角知り合ったんだ。これも何かの縁だろう」

「そうなのか?」

「うむ、きっとそうだ」


 シュカの申し出は面白そうだったのだが、ユウリはそれを断った。


「誘ってくれるのはありがたいが、俺たちこれからクエストに行くんだ」

「む、そうだったのか」

「ああ、悪いな」

「なに、気にするな。では、また会ったらパーティーを組むぞ」


 シュカのその言葉に周りのざわめきが大きくなった。


 だが、ユウリたちはそんな事は気にせずに、クエストに行く事にした。


「分かった、次に会ったらパーティーでも組もうぜ」

「うむ。決断が速い奴は好きだぞ」

「それは嬉しいね。んじゃ俺たちはもう行くよ」

「そうか、気を付けるのだぞ」

「ああ」


 そう言うと、ユウリたちはギルドを出た。


 ギルドを出ると、フェルカがジト目でユウリを見ていた。


「・・・・・・綺麗な人だったね」

「なんでそんな目でこっちを見るんですかね、フェルカさん?」

「別に~」

「大丈夫だ。フェルカが一番だからさ」


 ユウリは少し膨れっ面になったフェルカの頭を撫でると、フェルカは赤面しながら表情を緩ませた。


 ユウリがフェルカの頭を撫でていると、セリナが少し考え込んでいるのに気付いた。


「あの人、どこかで見た事があるような・・・・・・」

「どうしたんだ、セリナ?」

「え!?ああ、何でもないわ。ちょっと考え事をしてただけよ」

「そうか。じゃあ行こうぜ」


 ユウリたちはクエストの為、トゥスタードを出ると、ゴルギスボアが出現する場所に向かった。


 ゴルギスボアはイノシシのボスのような魔物で、身体も大きく非常に暴れまわるため、討伐依頼が後を絶たない状態になっていた。


 ユウリたちがゴルギスボアの出現場所に着くと、辺りは荒らされていて、近くに生えている木々は折られていた。


「これは酷いな」

「だいぶ荒らされてるね」


 ユウリたちは辺りを歩きながらゴルギスボアを探していた。


 すると、セリナが立ち止まり、耳をピクリと反応させると、森がある方をジッと見た。


「・・・・・・何か来るわ」

「ーーッ!?」


 セリナの言葉に、ユウリとフェルカは剣に手を添えて警戒した。


 警戒しながら待っていると、森の奥から何か音が聞こえてきた。その音はだんだん大きくなっていき、いつの間にかすぐそばまで来ていた。


 そして、森の木々をへし折って出てきたのは、息を荒げたゴルギスボアだった。


「ーーくっ!?」


 ゴルギスボアが勢いよく走ってきたので、ユウリたちは咄嗟に回避した。


 避けられたゴルギスボアは体重をかけて止まると、身体の向きを変えて再び走り出した。


「《アイス・シールド》ッ!」


 ゴルギスボアがユウリを狙って走ってきたので、フェルカはユウリの前に氷の盾を出した。


 しかし、氷の盾はゴルギスボアの突進で破壊されてしまい、勢いを増した状態でユウリに向かって突進をした。


「危ねーーッ!?」


 氷の盾が破壊されると思っていなかったユウリは、すぐさまその場で跳び、タイミングを合わせてゴルギスボアの頭を踏み台にして再び跳んだ。


 その際に、ゴルギスボアの背中を斬ったが、攻撃が浅くなってしまった。


 ゴルギスボアはユウリに避けられると、走りながら向きを変えて、再び突進をしてきた。


 そんな突進をしてくるゴルギスボアの正面にセリナが立つと、矢をセットして弓を引いた。


「悪いけど、狩りは慣れているのよ。《ノイズ・エコー》」


 ゴルギスボアが近くまで来ると、セリナは矢に魔法をかけて放ち、ゴルギスボアの頭に当てた。


 すると、ゴルギスボアは苦しそうにしながら態勢を崩し、セリナの横を転がった。


 ゴルギスボアが苦しそうに転げ回っていると、ユウリが剣を抜いて走ってきた。


「フェルカ、首を狙う!少し浮かせてくれ!」

「うん!《アクア・バインド》ッ!《アイス・ピラー》ッ!」


 ユウリが指示を出すと、フェルカはゴルギスボアを水の鎖で固定し、下から氷の刺を出した。


 《ノイズ・エコー》が解けてきたゴルギスボアを下から突き刺して、少し上に持ち上げた。


 ユウリはそのまま走り続け、狙いやすい位置にゴルギスボアの首が来ると剣を振り、ゴルギスボアの首を切り落とした。


 首が落ちると、フェルカは魔法を解いた。


「なんか呆気なかったな」

「まあ、ドラゴンを相手してたから、他の魔物が弱く感じるんでしょう」


 あっさりゴルギスボアを討伐していまったユウリたちは、ゴルギスボアの皮を剥ぎ取ったり、牙を取ったりしてからギルドに戻った。


 ユウリたちはギルドに戻ると、ゴルギスボアの皮や牙を出して、報酬をもらった。


 その後、シュカがいるかどうか探したがどうやらいないようなので、ユウリたちはギルドを出た。


「今日は割りと早く終わったな」

「この後、どうしよっか?」

「まだ夕食まで時間があるから、少し街を見て回るか」

「そうね」


 ユウリたちはまだ言っていない場所を見て回る事にした。


 商店街に出ると、様々な店があった。そんな中、フェルカはユウリの腕を絡ませて、くっついていた。


「エへへ///」

(・・・・・・可愛すぎんだろ)


 ユウリは腕を絡めてくるフェルカの幸せそうな顔を見ると、鼓動が速くなっているのが分かった。


 ユウリは動揺を誤魔化そうとすると、フェルカの反対側から肘打ちを食らった。


「・・・・・・」

「お、おい・・・・・・」


 肘打ちの犯人のセリナは、黙ってユウリの袖を掴んだ。


 ユウリはセリナが袖を掴んでくるので、その事を言おうとすると、セリナは顔を逸らした。そして、耳が赤くなっている事に気付いたユウリも黙り込んでしまった。


ーードンッ!


 そんな状態で店を見て回っていると、前から走ってきた何かに、ぶつかってしまった。


「あ!すみませ・・・ん・・・」


 ユウリがすぐに謝ろうとすると、目の前にいたのは鎖の付いた首輪を着けた、幼い亜人の少女だった。

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