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鍛冶師

第3章、始まりです!

「マズイ、どうしよう・・・・・・」


 シュペルヘイムを出てすぐ、ユウリはそう呟いた。


 隣にいたフェルカとセリナは何の事か分からず、互いの顔を見て、首を傾げた。


「どううしたの、ユウリ?」

「・・・・・・剣が」

「剣?」


 フェルカがそう言うと、ユウリは腰から剣を抜いて、フェルカとセリナに見せた。


「壊れてるのを忘れてた」


 ユウリの剣は、それは見事に破損していた。


 元々ユウリの剣は王国で支給されたものであり、アデルト森林でフォレストホーンとの戦闘でヒビが入ってしまっていた。


 そこでディレスたちとの戦闘によりボロボロになった状態で、あのチート紛いな魔力を込めてグレウスドラゴンの首を切れば、破損はするはずだ。


 むしろ、あんな無茶だらけでよくここまでもったほどだ。


「剣、どうしよっかな」

「なら、次の街で剣を打ってもらえばいいじゃない」


 悩んでいるユウリにセリナが答えると、ユウリは頭に「?」を浮かべた。


「次の街に、有名な鍛冶師がいるのよ。その人に頼んでみればいいと思うわ」

「セリナはその人知っているのか?」

「ええ。前に街に行った時に、このナイフを創ってもらったのよ」


 セリナはそう言いながら、腰からナイフを取ってユウリに見せた。


 ユウリはナイフを見せてもらった後、地図を出して次の街を確認した。


 地図には『トゥスタード』という大きな街が、この先にあった。さらに、トゥスタードは帝国の領地らしく、少し離れた所に『アグナッド帝国』と書かれていた。


「しかし、トゥスタードまで長いな」

「うん、馬車があれば良かったんだけどね」


 だが言っていても仕方がないので、ユウリたちはトゥスタードに向かって歩き始めた。


 そんな時だった。歩き出したユウリたちの後ろから、何かが走ってこちらに向かって来ていた。


「ユウリさ~ん!お~い!」


 後ろから走って来たのは、馬車に乗ったビーダだった。


「ビーダさん!?何でここに?」

「ユウリさんたちがなかなか戻って来ないので、何日間かここを通ってたんですよ」


 ユウリがビーダと話していると、セリナはビーダを指して、フェルカに尋ねた。


「フェルカ、あの人は誰なの?」

「あの人はビーダさんだよ。私たちをここまで送ってくれた人なの」

「へ~」


 フェルカがセリナに説明をしている間に、ユウリはビーダに相談をしていた。


「なあ、ビーダさん。俺たち、この先のトゥスタードまで行きたいんだが、また馬車に乗せてもらってもいいか?」

「トゥスタードですか?ええ、良いですよ、もちろん」

「おお!ありがとう!」


 ユウリはビーダにお礼を言うと、フェルカとセリナを呼び、ビーダの馬車の荷台に乗せてもらう事にした。


 トゥタードまに着くまで、ビーダはセリナに質問攻めをしていた。エルフは普段、森で生活をする種族なので、あまり街等では見かけないから興味を示しているらしい。


 長く馬車に揺られながらも、トゥスタードに着くと、ユウリたちは荷台から下りた。


「ありがとうな、ビーダさん」

「いえいえ、ユウリさんたちもご武運を」


 ビーダはそう言うと、馬車を動かし、来た道を戻っていった。


 ビーダを見送ったユウリは、セリナに鍛冶師の事を聞いた。


「セリナはあの鍛冶師がいる場所を覚えているのか?」

「ええ、案内するわ。付いてきて」


 セリナはそれだけ言うと、人混みを避けながら鍛冶師の下へ向かった。


 ユウリとフェルカもセリナを追って、人混みを避けながら付いていった。


 トゥスタードは帝国の領地という事もあり、人の出入りが激しく、人口も多かった。


 そんな人混みを避けながら歩いていると、セリナはとある店の前で止まった。


「着いたわ、ここよ」

「やっと着いた・・・・・・」

「人が多いよ~」


 ユウリとフェルカがセリナに追いつくと、セリナはユウリたちを連れて店の中に入った。


 ユウリたちが店の中に入ると中には誰もいなく、武器や防具が壁やテーブルに飾られていた。


 少し武器や防具を見ていると、店の奥からがたいのいい男が出てきて、ユウリたちを見た。


「何だい?客か?」

「お久しぶりです、グレントさん」

「ん?おお!前にうちに来たエルフの嬢ちゃんか?」


 セリナが男に挨拶をすると、男もセリナを覚えていたらしく、歓迎してくれた。


 どうやら、このグレントと呼ばれた男がセリナが言っていた、有名な鍛冶師のようだ。


「兄ちゃんたちは初めてだな。俺はグレントだ。よろしくな!」

「ユウリです、よろしく」

「フェルカです」


 ユウリたちも挨拶を済ませると、グレントに剣の事を相談した。


 グレントは店の端にある椅子に座り、ユウリたちも呼び、話を進めた。


「剣を打つのは構わないが、素材はあるのか?」

「素材?」

「ああ。剣の素材がないと、こっちも打ちようがないからな」


 グレントの言葉に、フェルカは何か心当たりがあるようだった。


「ねえ、ユウリ。前にお父さんから貰ったアレって、素材にできないかな?」

「・・・・・・ああ!アレか!」


 ユウリは《アイテム・ボックス》から、フェルカの父、レオンから貰ったものを出した。


 ユウリが出したものに、グレントはかなり感心していた。


「ほお、ヘルケルベロスの牙か。これは珍しいな」

「珍しいのか?」

「まあな。そもそもSランクの魔物の素材自体が珍しいからな。それに、ヘルケルベロスの牙はそこらの金属よりも丈夫だ。これはかなり良い剣が創れるぞ」


 グレントはヘルケルベロスの牙の状態を見ながらそう言った。


「なら、お願いできるか?」

「ああ、問題ない。任せておけ」


 これで、ユウリの剣の問題は解決した。


 しかし、ヘルケルベロスの牙の加工はかなり難しく、剣ができるまで時間が掛かるという事なので、ユウリたちは店にあった剣やナイフを貸してもらった。


 何故、フェルカとセリナもかというと、ついでにフェルカの剣とセリナのナイフの修理もお願いをしたからだ。


 ユウリたちはグレントにお礼を言って店を出ると、もう暗くなってきていたので、急いで宿屋を探して今日は休む事にしたのだった。

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