それぞれの夜
今回はめっちゃ少ないです。。
ーードンッ!
ルーリアン王国の城の外で、男は壁を思い切り叩き、心底悔しそうに歯を食いしばった。
「・・・・・・なんでだ。なんで久世が生きているかもしれないんだ!」
男は殺したはずの人間が生きている可能性に、少しばかり恐怖を覚えた。
もし本当に生きていたら、皆の前でバレてしまうかもしれない。
そんな恐怖が頭を過る度に、男から負の感情が沸き上がってくる。
「クソッ!計算外過ぎる!そのまま死んでいればよかったんだ!」
男は悪態をつきながら、壁を叩き続けた。
しかし、冷静に考えてみると、ユウリが死んでいる説の方が強かった。
(たとえ生きていたとしても、アイツは初級魔法しか習っていない。そんな奴が魔物と戦って勝てるわけがない)
すると、冷静になった男は不意に笑みがこぼれた。
「まあいい。どうせアイツを奈落に落としたのが、俺だと思うはずがないさ。それに生きていたとしても、また殺せばいい」
そう言って笑っている男の笑みは、夜の暗闇で不気味に映っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
雅は夕食を取った後部屋へ戻ると、靴を脱いでベッドに座った。
一緒の部屋の皐月は、彼氏の慶太とどこかでイチャイチャしているのだろう。
「ユウリ君、何処にいるんだろう」
雅はそう呟くと、手に持っていたユウリの収納袋を大事そうに抱きしめた。
生きているか死んでいるか分からない。そんな状況の中での唯一の希望。
前までは絶望しかなかったが、今はある希望。
「待っててね、ユウリ君。絶対に見つけるから」
雅が改めて決意をすると、皐月が部屋に戻ってきた。
「おかえり、皐月」
「ただいま、雅ちゃん」
皐月は部屋に戻ると、雅と同様に靴を脱いで自分のベッドに座った。
「あれ?慶太君とのイチャイチャはもういいの?」
「そ、そんなんじゃないから!」
雅がからかうと、皐月は顔を赤く染めて反論する。
しかし、口とは逆に皐月の表情が緩んでいるのを見て、それが羨ましくもあり面白くもあった。
「・・・・・・雅ちゃんの意地悪」
「冗談だって。いや~、照れてる皐月は可愛いね~」
そんな冗談交じりの談笑をしていると、同時に欠伸が出てしまった。
「そろそろ寝よっか」
「そうだね」
二人はそう言うと、ベッドに横になり掛布団をかけた。
そして、灯りを消すと窓から月明りが射し込んできた。
「雅ちゃん、明日も頑張ろうね」
「うん」
皐月は何かは言わなかったが、雅には分かっていた。
雅は枕の横にユウリの収納袋を置いて、それを優しく握りながら目を閉じたのだった。
これ書いてて「そういえば、皐月は最初だけ緊張して敬語にしたんだっけ」と思い出した。
ちょっと最初が懐かしく感じた。。
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