森林の主 3
遅れてしまい申し訳ありません。。
ユウリたちは襲い掛かってくる蔓を切る事に苦戦していた。
「くそっ!何なんだこれは!」
「切っても切ってもキリがないわ!」
「全然近づけない!」
蔓は切っても切っても、次々にユウリたちに襲い掛かってくる。それはまるで、植物が生きているかのようだった。
そこでユウリは蔓を切ると、そのままの勢いでフォレストホーンに向かって切りかかった。
「はああーーッ!」
ユウリが切りかかると、フォレストホーンは碧色に光る眼をさらに光らせた。すると、蔓がユウリの足元に巻き付き、ユウリの体勢が崩れた。
「ーーっ!」
ユウリが体勢を崩すと、フォレストホーンはユウリに向かって突進をした。突進されたユウリは、ゴキッ!と嫌な音を鳴らしながら、後方へ飛ばされていった。
「「ユウリーーッ!」」
後方へ飛ばされたユウリは、勢いよく転がると壁に激突した。ユウリはよろめきながら立ち上がろうとすると、右胸に激痛が走り膝をついた。他の箇所も所々痛みはあるが、右胸ほどではなかった。
「・・・・・・痛ぇ」
どうやら先程の嫌な音は、肋骨が折れる音だったようだ。ユウリは《アイテム・ボックス》からポーションを出して、一気に飲み干した。
ポーションでは骨折は治らないが、気休めにはなったようだ。すると、フェルカとセリナがこちらへ走ってきた。
「ユウリ、大丈夫?」
「・・・・・・肋骨が折れた程度だ。でもこの状況はもっとマズイかな」
「ええ、そうね」
いつの間にか、ユウリたちは蔓に囲まれていた。
「本当にマズイわね」
「そもそも、再生する相手にどうやって勝つんだよ?」
「ユウリ、その事でちょっと・・・・・・」
ユウリたちは次々に襲い掛かってくる蔓を、避けては切ってを繰り返している。そして、徐々に圧されている事にも気付いていた。
「ユウリ、一応倒せる可能性がある作戦があるんだけど、乗る気はある?」
「・・・・・・いいね、乗ってやるよ」
そう言うと、セリナはユウリにある作戦を伝えた。その作戦にユウリの顔は少し引きつった。
「・・・・・・上等だ!」
「フェルカ、私たちはユウリの援護に集中するわよ!」
「うん!」
ユウリが走り出すと、蔓は勢いよくユウリに集中的に襲い掛かってきた。しかし、ユウリは止まる事なく、正面から来るものだけを切って進んでいる。
「邪魔だーーッ!」
「はああーーッ!《アクア・ウォール・フローズン》ッ!」
「《エア・スラッシュ》ッ!」
後方ではユウリに向かう蔓をフェルカとセリナが、剣やナイフで切ったり、魔法で足止めをしたりしていた。そんな援護をされながら、ユウリはフォレストホーンに着々と近づいていた。
「《シャドウ・ミスト》ッ!」
最短距離でフォレストホーンの前まで来たユウリは、《シャドウ・ミスト》で周りを黒い霧で包んだ。フォレストホーンはそれに怯む事なく、黒い霧に《エア・スラッシュ》を連射した。《エア・スラッシュ》でできた切れ目から黒い霧が一気に晴れると、そこには誰もいなかった。
「はああああーーッ!」
フォレストホーンが周りを見渡してユウリを探していると、真上からユウリが剣を構えて落ちてきた。そして剣がフォレストホーンの背中に突き刺さると、フォレストホーンは雄叫びを上げた。
フォレストホーンは剣とユウリを振りほどこうとするが、ユウリはしっかりと剣を掴んだままセリナに作戦と一緒に教えてもらった魔法を唱えた。
「これで終わりにしようぜーーッ!《フレア・バースト》ッ!」
「ブオオオーーッ!」
ユウリが剣に魔力を流して上級魔法の《フレア・バースト》を放つと、フォレストホーンの身体の中が赤く光った。それと同時に、フォレストホーンは今までの中で一番大きな雄叫びを上げた。
(これでもダメなのかーーッ!?・・・・・・なら、もう一回だ!)
「《フレア・バースト》ッ!」
「ブオオオオ、オオオーーッ!!」
フォレストホーンは身体の中の炎の痛みで雄叫びを上げながら、自身の周りに風を巻き上げた。風はフォレストホーンとユウリを切り始めた。様々な所を切られながらも、ユウリは必死に魔法を放ち続けた。
「ハア、ハア・・・・・・。《フレア・バースト》ッ!《フレア・バースト》ッ!」
「ブ、オオ、オオオーーッ!!」
「《フレア・バースト》ッ!!」
ユウリは傷口から血を吹き出しながら魔法を放った。そして、この魔法でユウリの魔力が完全に尽きたようだった。
ユウリの最後の魔法は、フォレストホーンを内部から完全に焼いていた。再生しようにも再生が追いつかず、最後はその場で倒れて塵となって消えていった。
フェルカとセリナが戦っていた蔓も枯れて崩れていった。
「ハア、ハア・・・・・・」
「勝ったの?」
フェルカたちもどうやら魔力が底を尽きかけていたようで、肩で息をしていた。そんなフェルカとセリナがユウリの方を見ると、ボロボロで傷口から血を流しているユウリが剣で身体を支えて立ち上がっていた。ユウリは軽く拳を上げた。
「・・・勝っ・・・た・・・ぞ」
そう言いながら、ユウリは背中から倒れた。フェルカとセリナが血相を変えてこっちへ来ているのを瞼の睡魔からうっすらと見えた。だが、ユウリは痛みと疲労と魔力が尽きて起きた脱力感のせいで、意識をまどろみの中へと落ちていった。
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