食事前
「おう、先に食っとる……どうしたお前」
へろへろになった男に先導してもらい食堂まで向かうと、彼が先程言っていた連れ達と思われる集団の中から声が掛けられた。まあ確かに疲れないようにと宿に残っていたはずの人間が疲労困憊になっていたら驚くのは当然だろう。
食堂の中はいくつかのテーブルに好き勝手に椅子を持って行って座っているようで、声が掛かってきたテーブルには4人の人間が腰掛けていた。全員男で男と同世代位に見えるのが1人、おっさんという言葉が似合うだろう1人が声をかけてきた人だろう。
残りの2人は逆に男より若いようで、少年とまでは行かないにしても良くて青年といった位だろうか。いや自分が何歳かわからない以上は年齢関係でどうだといった話はないのであるが、一番元気そうなおっさんの脇で若干疲れた感じの若いの2人とまだいけますって感じの大人を見るとおおよその力関係がわかるというものだろう。
「あー、なんつーか、稽古をつけてもらったような状況……になるよなぁやっぱり」
溜息をつく男。妙に歯切れが悪い気もするが、稽古をつけるという程の事だったろうか? 確かに途中自分が何処まで出来るか試すついでに奪った槍と一剣一槍で何処まで避けれるかチャレンジなんかもしたが、こちらの練習、訓練ばかりで正直申し訳ない気すらしてくる。
ところで、食事を一緒にというのは問題ないだろうか? 男のほうからは承諾を得ているわけであるが、他の4人にしてみればいきなりで迷惑な話かもしれないしということで、確認をとってみる。一応男にもOKはもらったと付け加えることは忘れない。
「ん? そりゃ別に構わんが、お前らも構わんだろ?」
「構いませんよ」
若い2人は口に物を入れたままコクコクと首を縦にふる。つまりこれは問題無いということで、早速席につかせてもらう。食事についてはどうやら持ってきてもらう方式らしく、手を振って合図をすれば宿の人がわかったと言うような表情で奥に引っ込んでいた。
「で、稽古ってこちらの御仁にかい? ええと……」
丁寧口調な感じの男の同世代と思しき男……ややこしいなこれ、にこちらを向かれて、おそらく向こうもなんと呼べばいいのか悩んでいるのだろうと思い、旅人と呼ぶように伝える。どうやらあっていたようだが、それ名前じゃないじゃんといった気持ちがそれとなく読めるような若干困ったような表情になる。
「見かけで判断しないほうがいいぜ? 単純にシバの旦那より力が強い上にカンサスのじじいより巧い」
「「「「!?」」」」
シバの旦那、カンサスのじじいというのが誰を指しているのかわからないのでなんとも言えないが、4人全員が同時にマジか!? ってこちらを凝視する辺り相当なことなんだろうか? 丁寧語の人の表情がころころ変わるのも面白いがそれ以上におっさんに凝視されるのはちょっと怖いんだが。




