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30分息止めて全力疾走させるようなもの

 流石に倒れたまま放置するのもまずいというか、すぐに目を覚ましそうな感じではあったので軽く看病をする。とはいえ日陰に運んで仰向けに寝かせただけだが。やはりとことんまで本気を出してもらったというか、案外自身の戦闘力が高くて相手に限界を超えてもらったのがマズかっただろうか。


 ついでに途中で打ち合いで気がついたのだが、この剣どうやら本気で重い物らしい。軽々振れるし実際今も疲れてはいないのだが、パルチザンで受け止めさせた際にちょっとばかり向こうが折れそうな感じになったので、実際量ったわけではないが結構な重量のようだ。


 ということは自然と自身の力も相当なものになるということだが……別段日陰に移動させるときにグシャリとやってしまうこともなかったので、制御が効かないとかそういう問題は無いようだからまあ良いかと思う。低いよりは高いほうが良いだろう、うん。


 という訳で、戦いに関して言えば大分自信がついたというかなんというか、とりあえず生きていくのに困ることは無さそうだとは思ったが、記憶の方に関してみればさっぱりだった。必要な知識はぽろぽろ出てくるわけだが、思い出だとかそういったものは全然出てこない。


「ん……うわぁ!?」


 目が覚めた様だ。顔を覗きこんでいたらものすごい勢いで逃げられた、解せぬ。まあ親切に介抱したとは口が裂けても言えない程度には何もしていないし、そうなった原因を考えれば致し方なし……であろうか? いや、あれは相手が言い出したわけだしノーカンだろう、ノーカン。


 いやしかし、こういう時は何かジョークでも言って距離を縮めるのがいいのではないだろうか。という訳で寝顔が可愛かったと言っておくことにする。こういうのは定番というやつだろう、お決まりのセリフというものはそれだけでジョークのはずだ。


「アホか! 大体顔が近ぇんだよ、ったく」


 多少よろよろとしながらも男が立ち上がる。突っ込みをする元気があるなら大丈夫だろう。ついでにそろそろ食事だと思うが一緒に食べないか誘ってみる。一人飯とかなんだか寂しい感じがするし。


「一緒に飯ぃ? まあうちの連中も飯食いに帰ってくるだろうが、それでもいいか?」


 問題ないと伝える。むしろ余程でなければ人数が多いほうが楽しい食事になるのではないだろうか? いや、なるに違いない。ついでに色々と話しが聞ければ万々歳というものだ。


「そうかい、じゃあ行くとしますか」


 生まれたての子鹿のような足取りで歩いて行くのを見ると、なんだか悪いことをした気分になる。肩を貸したほうが良いだろうか。なんなら担いでいってもいい。


「ははっ遠慮しとくぜ!?」


 男の沽券に関わるというやつだろうか。まあ手を貸さなくても死ぬという状況でもないだろうし、このまま食堂まで案内してもらうとしよう。

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