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がーんだな

「部屋は右の真っすぐ行った一番奥のを使いな」


 とのことでやって来たしばらくの生活拠点。1人部屋にしてはやけに広々としている気もするが、普通は1人旅なんてしないがゆえのあれだろうか。そこはかとなく大きいベットが2つあるし。なんなら4人どころか詰めれば8人位泊まれそうな部屋を1人で占拠するっていうのもなかなか贅沢な話だ。


 大して疲れているわけでもないが、立っているのもあれなのでベットに腰掛ける。熊っぽいのに追いかけられてから流れるように色々あったが、暇になるとなったで何をしたらいいかわからなくなるな。いやしたいことはいっぱいあるわけだけども。


 まずは常識とやらを身につけなくてはいけないだろう。それに付随して自分が何をどれだけ出来るのかも知っておく必要があると思う。結果的にはいい方向に転がったとはいえ熊っぽいのに襲われた時、何も出来ず逃げるのと倒せると知った上で逃げるのは、天と地ほどの差があるだろう。


 つまり出来ないとしないには大きな差があるわけだ。というわけでなるべく多くのことを出来る状態にするのは実に理にかなっていると思える。出来たとしても出来ると知らなければ出来ないと同じだしね。そうと決まれば早速……


「お客さーん、昼食のご希望はありますかー?」


 扉をノックした後、外からそう声がかかる。聞いたところ小さな女の子のように思える声だがお手伝いとかだろうか。とりあえず適当におすすめをお願いしておく。それにしても昼食ということは、今は昼前ということだろうか。そういえば時間すら知らなかったわけである。


 食事で思い出したが、そういえば食材というのは変換器なるもので魔石から変換するとの事だったように思うが、ここの宿には注文に応じてメニューを変えれるくらいの食材のストックがあるのか、それとも変換器とやらが一家に一台位普及しているのだろうか。


「へ? うちの食材ですか? 食材用の簡易変換器が宿の中にあるので、そのまま食堂で調理してるんですよー! 1時間もしない内にできちゃいますので、食堂に来てくださいねー」


 そういってドアから気配が離れていく。なるほど、簡易、ということは用途が絞られている以外にも特徴があったりするのだろうか。聞いただけだと特に思い出すこともないが実際に見たりしたら何か思い出すだろうか。思い出せば儲けもの程度でいるのが精神的にも楽だと思う。


 まあ大体1時間は外に色々と調べに行くのはやめたほうがいいって事だよね。早速出かけようと思った矢先にこれで出鼻をくじかれた感はあるけれども、かといって何もしないままでいるのも勿体無いというか、暇というやつである。


 というわけで宿の中を探索することにしよう。他の客とかが暇そうにしていれば何か話を聞いたりしてもいいし、何か面白いものが見つかるかもしれないわけだし。

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