指導者がいないために統制のとれていない群衆ほど、
指導者がいないために統制のとれていない群衆ほど、何をしでかすか予測も立たず怖ろしい存在はないのだが、一面、これほどもろいものもないのである。
「政略論」
指導者不在から 群衆暴走に到った世界史的実例を示す。
1. フランス革命期の暴徒化(1789–1794)
バスティーユ襲撃後、革命政府の統制が弱く、パリの群衆が独自に貴族・聖職者を襲撃した。
1792年の「九月虐殺」では、監獄の囚人が裁判なしに群衆に殺害された。
権威の空白化が群衆心理を暴走させた典型例である。
2. ロシア革命(1917)
皇帝退位後、暫定政府は弱体で、ペトログラードの群衆が暴徒化し、工場・軍隊が統制不能になった。
権力の空白がボリシェヴィキの台頭を許し、国家崩壊となった。
3. インド・パキスタン分離独立(1947)
英国統治の急速な撤退で統治空白が生じ、ヒンドゥー・ムスリム間の暴動で数十万人が死亡した。
統治者不在が民族暴力を爆発させたとされている。
日本史的実例は、下記に記す。
これも、指導者不在が統制欠如を招き、 群衆が暴徒化した。
1. 日比谷焼打ち事件(1905)
ポーツマス条約に不満を持つ群衆が、警察の統制を突破して暴徒化した。
新聞社・電車・交番が破壊され、戒厳令が敷かれた。
群衆心理が一気に暴走した例である。
2. 関東大震災時の朝鮮人虐殺(1923)
行政の統制が崩壊し、デマが拡散した。
自警団化した群衆が朝鮮人・中国人・日本人まで殺害してしまった。
「指導者不在+恐怖+流言」が最悪の形で結びついた例になる。
3. 満州事変(1931)における「世論の暴走」
関東軍の独断行動を、新聞と群衆が熱狂的に支持し、政府は統制不能になった。
「統制なき力」が国家方針を決めてしまった例である。
4. 1970年代の暴走族+見物群衆の暴徒化
富山・名古屋などで、暴走族と数千人の見物人が暴徒化し、車両転覆・破壊行為が発生。
群衆が「指導者不在の集団心理」で暴走した典型例である。
現代の「誹謗中傷系SNS」の問題にもなっているが、「指導者不在、統制薄弱の群衆」は危険で、同時にもろいものである。
危険な理由としては、
・責任主体が不明で 行動の抑制が働かないこと。
・怒りや恐怖、不安の感情の伝染速度が速いこと。
・デマ・誤情報が瞬時に拡散すること。
・「匿名の正義」が暴力を正当化すること。
また、もろい理由としては、
・目的が共有されていないこと。
・内部で分裂しやすいこと。
・持続的な組織力がないこと。
・指導者がいないため、外部勢力(外国勢力)に容易に利用されること。
マキアベリ氏の警句のとおり、群衆(及び誹謗中傷系SNS)は一瞬で巨大な力を持つが、持続的な政治主体にはなれないし、本物の権威を持たない。




