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フレンド0の俺が、MMOで居場所を見つけるまで  作者: 御門


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第73話 はじまりの予感

ルシアとリナは悩んでいた。

悩むというより――決断しようとしていた。


事が起こったのは、ルシアが店に手伝いに来始めてしばらく経った頃。


最初は三人で役割が決まっていて、順調に店は回っていた。

ただ……店長が段々と二人に任せる機会が増えてきた。


親しい客と話し込む時間が増え、

気付けばカウンターに立つのは、ほとんど二人になっていた。


それでも店は回る。

回ってしまう。


――だから、誰も止めなかった。


店長が拗ねた訳ではない。

元々この店は「面白そうだから」で始めたものらしい。


けれど、店側と客側は違う。


客は来たい時に来て、帰りたい時に帰る。

店は、来るかもしれない時間をずっと待つ。


お金は取らない。

ただ会話の相手をするだけの場所。


最初は楽しい。

感謝もされるし、知り合いも増える。


けれど回数を重ねると、距離が変わる。


常連が増える。

遠慮が減る。

店は「場所」から「いつもの所」になる。


注意一つで空気が変わる。

笑顔一つで場を保つ。


客は遊びの延長だが、

店は続けるほど減っていく。


気付けば、

店長はカウンターに立たなくなっていた。


つまり――消耗していた。


ルシアとリナは思う。

自分達が手伝っているから続いてしまったのではないかと。


もし二人がいなければ、

もっと早く畳めていたのかもしれないと。


「ここらが潮時かもな」


ルシアがぽつりと呟く。

リナも何も言えない。


初めて来た店だった。

だから、つい手伝ってしまった。


いつの間にか、

店主と勘違いされる事すら増えていた。


「ルシアちゃん……店はここだけじゃないにゃ……」


その一言で、ルシアは我に返る。

リナを見る。


「リナ悪いが……私はもう手伝いを辞めようと思う」


リナは迷わない。


「ルシアが辞めるなら私も一緒です」


その目に躊躇はなかった。



数日後。


店を離れた帰り道、ルシアが呟く。


「他の店はどうなんだろう……」


初めて他所の店が気になり、PT募集掲示板を開く。


ひとつの募集で視線が止まる。


「フレンド作りの店……?

相方じゃなくてフレンド推しか。まあ似たようなものか」


リナはまだログインしていない。


「たまには一人で行ってみるか」


――この選択が、始まりになる。

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