第65話 決意
マジで……机ひとつ、椅子ひとつないな……。
「……ん? 奥に入口……?」
奥の入口に入ると、地下へ続く階段があった。
「へぇ……地下があるのか……」
階段を下りると――
「え、広い!」
なるほど……1Fと地下の二部屋構成なんだな。
1Fは少し小さめで、地下がメインって感じか……。
「どっちにしても……地下にも椅子も机もないがな!」
さて……どうしたもんか……。
問題はハウジングだ。
「考えてても仕方ない……とりあえず椅子でも作ってみるか」
製作メニューを開く。
製作はもう慣れたものだ。
椅子は……っと。
これなら今持ってる材料で作れるな。
トンテンカンテン。
よし……。
さっそくハウジングしてみるか。
やり方は既にGoogle先生に聞いてある。
また権利書みたいなのが出てきたら困るからな。
ハウジングメニューを開いて……
設置……椅子を選択……。
「おお!」
椅子を自由に部屋の中に置けるのか!
とりあえず、部屋の真ん中に置いてみる。
「うん、ただの椅子だな」
座ってみる。
ありふれた木の椅子。
豪華でもなんでもない。
それなのに――
「なんか、めちゃくちゃハウジング感あるな……」
不思議と落ち着く。
自分だけの空間。
自分だけの部屋。
「それにしても……」
チラリと部屋全体を見回す。
今まで行った店は、BARにカフェ……。
どれもちゃんと“形”になっていた。
「いや、ハウジングレベル高くね?」
どうやったら、この殺風景な部屋を
BARやカフェにできるんだ?
センスか? センスの塊か?
本来なら……
別に店と張り合う必要なんてない。
自分のハウスなんだから、
自分が寛げる空間を作ればそれでいい。
だけど――
「俺は……今まで貰ったものを返したい……」
あの時。
ハウスを購入すると閃いた瞬間から、もう決めていた。
俺自身、フレンド0から
フレンドを作ることに苦戦してきた。
なんなら、ハウスを持った今でも実質0だ。
俺みたいなプレイヤーが、
フレンドを作れる場所。
いや、そこまでじゃなくていい。
ただ雑談して、交流するだけの店でいい。
ちゃんと「フレンド作り・雑談店」って明記して
PT募集掲示板に出せばいい。
無理にフレンドを作らなくたっていい。
この前のカフェだって、
俺はほとんど何もしていない。
ただ座って、
勝手に落ち着いていただけだ。
そういう場所があるってだけで――
「俺には……そんな返し方しか思いつかなかったな……」
とにかく、このハウスを店としてハウジングして――
俺は、店を開くと決めたんだ。




