第63話 最高にめちゃくちゃにこのゲームが楽しい
俺はすぐに、Google先生でアイテム名を検索した。
「ははは……そういうことか……」
検索結果に表示されたのは、こうだ。
《このアイテムは職業○○専用のクエストアイテムです》
このゲームは、レベルアップするだけでは、
すべてのスキルを覚えられない。
各職業ごとに専用クエストが存在し、
それをクリアしないと一部のスキルは解放されない仕組みだ。
「つまり……この数万マネのアイテムは、
性能じゃなくて……クエストクリアに必要だから高い、ってことか……」
俺みたいな初心者は別として、
何年も続けているプレイヤーならサブキャラを持っているのが普通だ。
そのサブキャラを育てる際、必要なアイテムをマーケットで買った方が早い。
だから、値段が高い。
しかも、サブキャラを育てるようなプレイヤーにとって、
数万マネは決して高い買い物じゃない。
むしろ、安い部類だろう。
「……うん。製作職も、育てよう」
方向性は、たぶん合っている。
数万マネのアイテムが、本当に売れるかどうかは別として。
とりあえず作って、出す。
一番の最低値で。
それでも、十分に儲けは出る。
――――
過去の記憶が、また蘇る。
「なんで遠慮するの?」
「初心者なんでしょ?」
「助け合いって、そういうもんじゃない?」
ギルマス……。
あなたの言ってたことは、正しかった。
きっと、遠慮せずに善意を受け取っていれば。
今頃、こんな遠回りをせず、当たり前のように躓くこともなく。
もっとスムーズに、ゲームを進められていたと思う。
そういう風に進めるプレイヤーも、確かにいる。
たぶん俺は、そういうタイプじゃない。
それが悪いとか、正しいとか、そういう話じゃなくて。
「休憩なんて、してる場合じゃないな!」
俺は、再び動き出す。
今度は、製作職だ。
残り20日を切ってるけど……
それでも、やるしかない。
ここまで来るのに、ずいぶん遠回りした気もする。
でも、これって他のプレイヤーにとっては、普通のことなのかもしれない。
「ははは……こんなこと、誰かに話したら笑われるかもしれないな」
なんだかんだで。
今まで出会ってきたプレイヤーたちの、
一言一言がヒントになっている。
ただ「いい人」だった、だけじゃない。
この世界は、案外優しいのかもしれない。
……まあ、わからんけど。
ただ。
これだけは、確実に言える。
俺は今――
最高に、めちゃくちゃに、このゲームが楽しい!!




