第62話 蘇る記憶
あれから数日が経過した。
採取レベルは着実に上がっていっている。
……だが。
「まだ、宝の地図を取得できるレベルには遠いな……」
残り時間は、もう20日を切っている。
「だめだ!」
このままじゃ間に合わない。
気持ちだけが、ただ焦っていく。
一番の誤算だったのは、採取アイテムが安すぎて、ほとんどマネにならないことだ。
「1個3マネとか、なんなんだよ……」
99個採取しても297マネ。
まったく割に合わない。
「……0よりはマシか……」
とはいえ。
「採取ばっかりじゃ、さすがに飽きるわ!!」
最近は、採取レベルも上がりにくくなってきた。
そりゃそうだ。レベルが上がるにつれて、次のレベルアップに必要な経験値は一気に増える。
「休憩……するか……」
焦っても仕方ない。
一旦、街に戻って休憩しよう。
街の隅にあるベンチに腰を下ろす。
ぼーっと、行き交うプレイヤーたちを眺める。
……そういや、ここ最近ずっと採取ばかりしていたせいで、装備がいかにも“採取職”って感じだ。
正直、ちょっとダサい。
自分の見た目と、他のプレイヤーの装備を見比べる。
「俺も久しぶりに……おしゃれでもして、街を歩くかな……」
昔、最初の頃にもらったおしゃれ装備。
久しぶりに装備してみるか。
……なんだか、懐かしい。
――――
!!
過去の記憶が、唐突に蘇る。
A姉さん
「種族を聞いてから、それに合わせて作ったのよ」
アリス
「ふふ。気になるよね?それね、おしゃれ装備を作る素材なんだけど……」
……そうだ。
なんで、気づかなかったんだ。俺。
素材が安いのは……
製作しやすいからじゃないか?
つまり。
製作して売れば……高く売れる?
急いで、マーケット掲示板を開く。
装備……装備……。
「やっぱり……」
製作された装備を適当に調べてみると、そこそこの値段で売れている。
明らかに、素材をそのまま売るより高い。
「つまり……採取→素材ゲット→製作→製作アイテム売却、が……永久機関?」
さらにマーケットを眺めていると、不思議なことに気づいた。
「製作装備の値段……バラつきがありすぎる……?」
数千マネのものから、数万マネのものまで。
差が極端だ。
「この数万マネの装備……特別、攻撃力が高いわけでもないのに……」
同じレベル帯で、攻撃力が高い装備の方が安い。
「基準が、よくわからんな……」
性能が高い装備ほど高値、なら理解できる。
だが、この数万マネの装備――
「……どっかで見たことあるような……?」
嫌な、いや――
妙に確信めいた予感が胸をよぎる。
「まさか……」
もし、俺の予想が正しければ。
これは――
金策になり得るかもしれない。




