第60話 天国と地獄
あれから数日が経過した。
今日はハウスの抽選日だ。
「当たりますように……」
あれから毎日のように、何度も抽選人数を確認していた。
「三人か……」
俺以外で、あの端っこハウスを購入したいプレイヤーが二人いたらしい。
「まあ……考えても仕方ないな……」
そろそろ時間か……。
よし、行こう!
俺は、あの端っこハウスの前まで向かう。
抽選結果は、ハウス前の掲示板で発表されるからだ。
「よろしくお願いしまーす!」ポチ
某・夏の定番アニメの台詞そのままに、掲示板を開く。
《おめでとうございます!
○○ハウスに当選しました!》
嘘だろ……?
いや、嘘じゃない!
マジか、やったぜ!
これで俺も、端っこハウスとはいえ……ハウス持ちか……。
なんだか感慨深いな……。
神様……ありがとうございます……。
「うん……なんか胸がドキドキしてて、感情が追いつかんな……」
嬉しいのに……嬉しいはずなのに……(やめておけ)
そうだな……。
今は、せっかく当たったハウスなんだ。
素直に喜びだけでいい!
考えても仕方ない。
さっさとマイハウスに入るぜ!
「……あれ?」
キョロキョロ。
「……ん?」
もう一度、掲示板を確認する。
所有者:俺
「うん……間違いないな?」
念のため、所持マネも確認する。
「うん……きっちりマネは取られてる……」
当たり前だ。
当選したんだからな……。
でも……。
「どこにも家がないんですが?」
目の前には、ハウスが建つはずの土地だけが残っていた。
「もしかして……抽選って、ハウスじゃなくて……」
「ハウスを建てる土地だけ!?」
いや、これはまずいぞ……。
残財産を投入して、土地だけ?
いや、やばい、やばいやばい。
「Google先生、お願いします!!」
――土地だけやないかい!!
どうして調べてから購入しなかった、俺!
バカすぎる!
思えば、完全に閃きだけで抽選に参加してたのを忘れてた!
どれどれ……家を建てるには……。
建設証明書?
なんでそこまでリアルに寄せてんねん!!
いくらだ……50万マネ……だと?
ふざけ――落ち着け……。
ちゃんと調べずに購入した俺が悪い。
土地は購入できたんだ。
あとは時間をかけて……ゆっくり貯めていくしかない……。
うん、そうだな。
これで目標も出来たってもんだぜ!
……ん?
《30日以内にハウスを建設しなかった場合、
土地は撤去されます》
…………。
ふざけんな!!!!
30日で50万マネ?
おいおい……そんな、運営さん。御冗談を。ははは。
え?
これ、お金の返却は……?
ない?
え?
1日1万マネでも足りねぇんだが……。
俺のMMO生活は、
一瞬にして窮地に陥ったのであった。




