第2章 ひとつの仕事
「さぁて、と…」
セイヤの仕事が始まる。それは、出かけることではない。出かけていったソウタが戻ってこられる場所を用意しておくことだ。ソウタが持ちかえるものは、ありとあらゆるもの。時には良くないものもある。まるごと受けとる。昨日の分が、今ここにある。
「今日は何が出てくるかな?」
意気込む。だが、たいていは何も出てこない。ソウタいわく、昨日の成果も「変わりばえしない」らしい。それでも、ソウタが集めてくるものは、セイヤにとっては毎日違うものだった。ひんやりしていれば寒かったろう、湿気っていれば息苦しかったろう…と、ソウタの世界を知るための貴重な情報源なのだ。
ソウタの収集物を確かめながら、適切な処理を施すためにそれらを分別していく。良くないものは、特別に注意を払って処理する。処理を誤れば最悪、何もできない体になってしまう。それはつまり、ソウタの帰れる場所がなくなるということ。責任重大だ。
「よし、OKっと!」
リセット完了。ソウタがいつ帰ってきても、何を持ってきても、受けいれられる状態。セイヤが毎日この状態で待っているおかげで、ソウタは、体力のギリギリまで動き回ることができるし、見つけたものを残らず拾ってくることができる。
「おかえり」
セイヤの声。仕事を終えたソウタが、声の元へと直行する。速度こそ出かけていった時と変わらないものの、収集物の重さと体力の限界で今にも止まってしまいそう。そんなソウタを、セイヤが受けとめる。
「ガシャッ!ブウォオオオオーーーゥン!!」
「うっさ!」
分かっていても、「おかえり」とのギャップにソウタはちょっと笑ってしまう。
「お前がうるさい。黙って吸われとけ」
安心する声。安心する吸引…からの充電。ソウタは、セイヤにすっかり身を任せていた。朝になれば完全に回復する。そしてまた、仕事に行く。セイヤは、行かない。でも仕事はする。ソウタがいなければ何もやることが無い。




