「だ〜れだ♡」は普通、知り合い同士でするもんだろ
エルフ。それは超ご長寿種族であり、老化せず、長い耳と美男美女しかいないことで有名だ。
美少女エルフ!と喜びたいのは山々だが、人間サイズのヤクザ妖精と人間サイズで見た目詐欺な巨人を見たあとでは、素直に喜べないのが本音だ。
この世界にテンプレというものはないのだろうか。
まぁ、会う前から嘆いても仕方がない。そもそも本来の目的は大罪魔人だから、関係ないのだ。
「ご主人様!あれじゃないですか?」
前を見渡すと、広大な大地が広がっていた。
「きゃははっ。やっと着いた〜」
エルフ大陸に着地し、辺りを見渡す。
「到着だな」
そう言った瞬間、俺の視界が背後から両手で塞がれた。
「だ〜れだ♡」
「おいお前ら、急にやめろよ〜」
そう答えても、反応がない。
あれ、マジでこのゲームしたいのか?
いや待て。今の声誰だ?誰かが声を変えてるのか?
だがその手から香るほのかに甘い香りは、ルナたちの匂いじゃない。
「わかんないなら、イタズラしちゃうよ〜♡」
「え?ちょ待っ……」
その吐息混じりの甘い声と共に、耳が甘噛みされた。
「ななな……何してるんですかぁぁぁぁぁ!?」
「無宗から離れろ〜!」
アルマが霊手を勢いよく突き出した。
「やばっ」
少女は軽く飛び、避ける。まぁ、避ければ直線上に俺がいるわけで……
バゴォォォォォォォンッッッ!!!
俺は綺麗に吹っ飛ばされた。
「ご……ごめん無宗」
アルマはあわあわと言いながら慌てていた。
俺はゆっくり起き上がり、体に付いた土を手で払った。
「あぁ大丈夫だ。気にするな」
前を見ると、青髪のエルフ少女が俺を見て目を輝かせていた。
「さすが“世渡越の観測者”……」
トランス……なんだって?
というか誰だこいつ。マジで知らない。初対面で「だ〜れだ♡」とか分かるわけないだろ。しかも耳を甘噛みされたし。
しかしこの世界のエルフは、俺の知ってるエルフと変わらないな。長く尖った耳、整った顔立ち。
というか、なんでこいつははしゃいでるんだ?
嬉しそうに尻尾でも振っていそうだ。
いや、犬かよ。
ルナはエルフ少女に向かって叫んだ。
「あなた、ご主人様に何してるんですか!」
「ほんと、きゅ……急に耳を噛むとか……痴女すぎるんですけど〜」
「というか、誰なのあんた」
「お前……何者」
フェリは目を細めた。
エルフ少女は少し考えてから、初対面だったことに気づいたようで、あっ……と言いながら自分の頭を軽くコツンと叩き小さく舌を出した。
「てへっ……じゃねぇよ!何してんねん」
「えへへ、ごめん。じゃあ、自己紹介からだね」
エルフ少女はにっこりと笑った。
「うちは七聖剣、灼炎の勇者────」
「エスエマ・エルネスちゃんだよ〜♡」
そう言うと、目元で可愛くピースをしながらウインクをして見せた。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
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