空中戦と拒否反応
「ま、まずいです!」
「な……なんでこんなことに……」
「やだぁ!こっちこないでぇ〜」
ドカァァァァァン、バババババァァァンッ!!
飛行訓練は、思ったよりも難しいらしい。
時は少し前まで遡る。
アルマ以外は自由自在な飛行に慣れていなかった。
俺はそれぞれが理解しやすいように、感覚を完璧にわかりやすく言語化し、みっちり教え込んだ。
その甲斐あって、ルナたちは何とか安定して飛べるようになった。
安堵や喜びが滲むルナたちは笑顔で溢れていた。
自由に宙を飛び回るその姿は、まるで初めて歩けるようになった子供のようだった。
ルナは背に翠の翼を広げ、フェリは空を足場にして立っている。クリアは風を纏い、ふわりと浮いていた。
「と、飛んでる……飛んでますよご主人様!」
ルナが嬉しそうに俺を見つめた。
だが、今回は飛ぶことがゴールじゃない。
飛行はあくまで戦うための手段だ。空中戦ができなくては意味がない。
俺は4つの動く的を出現させた。
軌道は完全にランダム。スピードは結構早い。
「じゃあお前ら、まずは一人一つあの的を破壊してみろ」
「はい!」
空を飛べるようになり、気分は最高潮。
4人は快く承諾。だが、この試練が過酷なものになるとは誰一人想像していなかった。
「はぁ……はぁ……」
現実はそう甘くない。
空を飛べるようになったからと言って空中戦ができるようになるわけではないのだ。
空を飛ぶ意識をしながら攻撃。口で言うだけなら簡単だが、実際にやるとなればそうはいかない。
飛行にその意識のほとんどを割いているため、攻撃まで手が回らない。
特にフェリ以外の遠距離攻撃組は飛びながら照準を合わせなければいけないため、さらに困難を極めた。
アルマは嘆きながらため息を漏らした。
「あぁもう!なんもできないんですけど〜。なんかいい方法ないのぉ?」
はて、どうしたものか。
俺は少し考え、素晴らしいアイディアに辿り着いた。
「お前らストップ」
4人は攻撃をやめて俺を見た。いや、正しくは俺の後ろにいる“それ”を見たのだ。
「お前らには今から……」
俺の背後には十体のキモおじがいた。
キツキツのタンクトップの下からは体脂肪で埋め尽くされたわがままボディが見え隠れし、頭部はハゲ散らかしているのに腕や腹は毛深い。
臭い。キモい。笑い方は「デュフッ」。
普通の女子であれば絶対に受け付けないキモおじが十体。
「こいつらと鬼ごっこをしてもらう。」
時が止まった。
4人は互いに顔を見合せてからキモおじに目を向け、青ざめた。
目が合った瞬間、キモおじはニチャァっと微笑み、何かを揉みしだく手振りを見せた。
「デュフフッ……女だぁ」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そして、空中戦訓練もとい恐怖の鬼ごっこが幕を開けた。
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