死の気配
蹴り飛ばされたマドローニはあたりの木々をなぎ倒しながら、巨大な岩にめり込んだ。
「あぁ……さすがに今のはやばかったなぁ」
マドローニの体は金属のように変化していた。
“メタルモード”。自身を最硬金属の肉体に変化させ、全身の力を数十倍に強化する、攻防一体のスキルだ。
気づくと、そこにマドローニはいなかった。
フェリの体が宙を舞い、重い打撃音だけが響いた。
フェリは十数本の木々をなぎ倒し、最終的には巨大な木に叩きつけられた。
「かはっ……」
(殴られた?……いつの間に)
一瞬の出来事だった。理解が追いつくまで数秒の時間を要した。
「あまりナメてると、こっちがやられそうだぁ。
こっからは────」
マドローニの目つきが変わった。
「マジで殺してやらぁ」
瞬きの瞬間、マドローニの拳はフェリの眼前まで迫っていた。
「……っ!?」
(よ……避けられない)
その瞬間、辺り一帯が光に包まれた。
目の前には俺がいた。フェリはまだ現状を理解していなかった。
「む……無宗?」
「……リタイアか」
沈黙が流れた。
「……え?」
フェリは大闘技場の外にいた。
「大きな怪我がないってことは……即死技を使われたみたいだな」
魔王軍四天王“地天”マドローニ・ガンドゥローム。彼が持つ即死技、“ガイアの断罪”。触れた対象は地割れ状態となり、最終的には跡形もなく砕け散る。
当たったら確定で即死であるため、この技を避けられなかった時点で、大闘技場から弾き出されるのだ。
「わたし……負けたんだ」
フェリは拳を強く握った。
「油断したのか、即死技だと気づかなかったのか。それとも避けられなかったのか。どちらにせよ、お前に言えることはただ一つ」
「“死の気配”を感じ取れ。ってことだな」
「死の……気配?」
フェリは首を傾げるだけだった。
「そうだ」
俺は小さく微笑んだ。
「あぁダメ!これは死ぬぅ!!ってレベルの攻撃には大体、独特な波長があるんだ」
「い……いきなり言われても……わからない」
攻撃を避けるだけでも大変な戦闘で、急に波長を感じ取れと言われても無理があるだろう。当然の反応だ。
「うーん……そうだな、例えば────」
俺がフェリに手をかざした瞬間────
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!
凄まじい威圧が、フェリに降り注いだ。
「……っ!?」
フェリの耳と尻尾が勢いよく起き上がり、尾の毛が逆立った。
鈍感な人間でも震え上がるような、おぞましい“死の重圧”だった。
威圧を消した瞬間、フェリは力が抜けたようにへたり込んだ。
「はぁ……はぁ……」
「急にすまないな。でもしかたない。マドローニの即死技にも、今みたいな“死の気配”があるはずだ」
「こ……これが……死の気配」
「まぁ、さすがにさっきみたいなレベルじゃないけどな」
フェリは小さく頷くと、静かに立ち上がった。
さっきの威圧でフェリの足は震えていた。
マジでごめん。
それでも、フェリは戦うことを選んだ。
────三戦目
マドローニは腹立たしそうにフェリを睨んでいた。
「やっぱり殺し損ねてたかぁ……」
沈黙が流れる。
静寂を破るように、マドローニは笑った。
「……今度こそ殺す」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!?」
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