最終試練開始
あれからさらに1週間、2週間と経過していった。
対一億の魔物テストを行うたびに6割、7割と討伐数が増えていった。
そして────
「ルナ!最後の1体を!」
「はぁ……はぁ……はい!」
ギリギリで意識を保ちながら、弓を構えた。
「弓王スキル“メテオアロー”」
3mほどあるオークが消し飛んだ。
「きゃはは……やっとだ」
達成感と安堵で4人は眠るように倒れ込んだ。
「よくやったな。じゃあ────」
俺はニヤリと笑った。
「次のステップだな」
「……っ!?」
4人は震えた。
俺はそのままルナたちを全回復させた。
もう既に5ヶ月が経過している。もう、1年の半分が過ぎようとしていた。時間はそう多くない。
「お前たちの基礎能力は大幅にレベルアップした。だが、その力を使いこなせるかは────また別の話だ」
「そ……そんなぁ」
「だから今からさらにレベルアップしろ。
つまり────“四天王戦”だ」
そして、ルナたちはそれぞれの四天王との戦闘訓練を開始した。
ルナたちは俺が作り出した特殊空間“大闘技場”で戦っている。
実践に慣れさせるため、環境はほとんど現実と変わらない。唯一違いがあるとすれば、瀕死になる前に大闘技場から弾き出されるという安全装置があるという点だろう。
俺は4人それぞれの映像を展開し、モニタリング、アドバイスを行っていた。
大幅にレベルアップしたとはいえ、相手は魔王軍四天王。
4人は苦戦を強いられていた。
初戦────フェリVSマドローニ
辺りには巨大な岩や木々がまばらに広がっていた。
「知らない……四天王」
「あぁ……まだ名乗ってなかったなぁ」
マドローニが笑ったと同時に、凄まじいオーラが吹き出した。
殺意の重圧が、フェリの心臓を押し潰そうとしていた。
(す……すごい……圧)
「魔王軍四天王“地天”マドローニ・ガンドゥローム。お前の名は何だぁ」
「……フェリ」
ボソッと言うと、フェリは構えた。
静寂が流れる。
フェリは俺との会話を思い出していた。
「“地天”マドローニ・ガンドゥローム。あいつは四天王で唯一、即死技を持つ男だ」
「即死……技?」
「そうだ。普通の攻撃は受けても構わないが、もし大闘技場で、即死攻撃を避けられないと判断された場合は……」
「ば……場合は?」
「即リタイア。────強制退場だ」
「……っ!?」
「殺し合いだと思って戦えよ?お前は近距離戦がメインだ。一番攻撃を受けやすい。避けなきゃいけない攻撃を見極めろ」
(実践と……同じ。判断を間違ったら……死ぬ。)
「安心しろぉ。すぐに殺してやる」
その瞬間────フェリの足元が崩れた。
「……っ!?」
体勢を崩したフェリの腹部に重い拳がめり込む。
「かはっ……」
「こんな感じで────なぁ!」
バコォォォォォォォォォンッ!
遅れて衝撃波が弾ける。
フェリは勢いよく遠くの岩にめり込んだ。
口元から血液が伝う。
「一撃が……重い……」
(即死攻撃の判断以前に……避けられない)
「なに一撃でへばってんだぁ?」
上空に無数の石のトゲが展開された。
「……っ!?」
「ちょっとは楽しませろっ!」
トゲの雨がフェリに降り注いだ。
「“パワーブースト”」
岩を踏みつけ、勢いよく飛び出す。トゲが地面に刺さるギリギリで回避、空中で体をねじり、マドローニにバックスピンキックを叩き込んだ。
ドカァァァァァァァァァァァァンッッッ!
マドローニは片腕で受け止めた。
3m以上ある巨体が地面を削りながら後退した。
「あの状況から反撃とはぁ……おもしれぇじゃねぇかぁ」
「ま……まだ、こんなもんじゃない」
マドローニは歯を剥き出しにして笑った。
「おもしれぇ」
肘を折り曲げ、手を振りあげた。
フェリの足元から巨大な筒状の岩が突き出し、遥か上空まで吹っ飛ばした。
「くっ……」
(ゆ……油断した)
マドローニは虚空をなぞるように腕を横に振った。
その直後────辺り一帯の地面がトゲで埋め尽くされた。
「……っ!?」
(空中じゃ……避けられない!)
「死ね」
数万のトゲがフェリに向かって放たれた。
「……負けない」
フェリは体を思いっきりねじり、蹴りとともに衝撃波を放った。
トゲを何本か吹き飛ばした。しかし、全ては防げない。
時が止まった気がした。
その瞬間────
グサグサグサグサッ!
三本のトゲがフェリを貫いた。
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