千年の終着点
傲慢の魔人────アラゾニアは、跡形もなく消し飛んだ。
静寂だけが、その場を支配していた。
チョコラーテの変身が解除され、地面に崩れるように倒れ込んだ。
「はぁ……はぁ……」
チョコラーテは酷く息切れしていた。力を限界まで引き出した反動だろう。
その瞳からは、糸が切れたように涙が溢れていた。
「アリス……仇は……取ったのだ」
仇を討ったからといって、死者が帰ってくるわけでもない。そこにあるのは空虚な現実だった。
「小生は……これから何をすればいいのだ」
独り言なのか、それとも俺に話しているのかは分からない。
1000年以上の間、生きる意味であり、目標だったアラゾニアの討伐。
その目標を達成した今、チョコラーテは生きる意味を見いだせなかった。
今、俺が何かを言うと、それがチョコラーテの今後を左右する可能性がある。
だからこそ────
「さぁな。自分で決めろ。やりたいこと、やり残したこと、少しくらいあるだろ」
「やりたいこと……やり残したこと……」
チョコラーテは少し考え込んだ。
沈黙のあと────
「あぁぁぁぁ!?」
チョコラーテは何かを思い出したように叫んだ。
「ど……どうした急に」
チョコラーテは俺を指さし、睨んだ。
「お前だ!」
「え?」
「やりたいこと、心残り、それは────」
「小生をボコボコにしたお前を────ボコボコに叩き潰すことなのだ!」
え……まさかの俺!?
「急だな……」
「小生は最強なのだ。それなのに……小生をぺちゃんこにして、余裕ぶってるお前が気に入らないのだ!」
俺は少し笑った。
「いいけど、無理じゃないかな?」
チョコラーテの額に怒りマークが浮かんだ。
「上等なのだ!絶対にボコす」
俺は黄色い宝玉を拾った。
傲慢の意志もゲットした事だし、帰ろっかな。
その時、肩をぎゅっと掴まれた。
「そういえば、お前の名前は何というのだ?」
「あぁ……そういえば言ってなかったな」
チョコラーテが俺の両肩を掴み、思いっきり揺さぶった。
「もったいぶらずに早く教えるのだ!」
「あぁ……わかったわかった」
軽く咳払いをし、小さく微笑んだ。
「俺は負内 無宗。お前よりは最強な男だ」
「ムッキー!やっぱりボコボコにするのだ」
チョコラーテはポコポコと俺を叩いた。
傍から見れば、からかわれて怒って弱い暴力を振るう子供に見えるが、実際は────
ドンドンドンドンドンッ!!
めっちゃエグい攻撃力だ。衝撃波と振動がすごい。
攻撃が効かないとはいえ……常人なら死んでるね、これ。
その後────
「修行を終えたらボコしに行くから、楽しみにしているのだ」
「はいはい。楽しみにしてるよ」
“飛翔”
黒い翼が現れ、俺は飛び立った。
「またな。チョコラーテ」
「また小生と戦うのだぞ!」
チョコラーテは、俺の姿が見えなくなるまで、手を振り続けた。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!?」
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