理不尽の果てに
巨大な手足による連撃、何万もの雷を凝縮した閃光。どれも俺にダメージを与えることはできなかった。
「────────────は?」
静まり返った世界でアラゾニアの疑問の声だけが響いた。
当然の反応だった。
「何で何でどうしてねぇ何で?当たったよね?直撃したよね?食らったよね?何で生きてるの?ぐちゃぐちゃに焼け焦げて死んでるはずだよね?僕の攻撃は絶対なのに!!!僕こそが最強なのに────」
アラゾニアの言葉を遮るように笑った。
「要するに、実力不足ってことだよね」
「はぁ!?」
「聞こえなかったか?弱いって言ってんの」
アラゾニアは歯を剥き出しにして頭を掻きむしった。
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う……違う!僕は強いんだ。最強だ、絶対だ、無敵なんだ。ありえない!!」
瞬きの瞬間────アラゾニアの蹴りが俺の顔面に直撃した。
バァァァァァァァァァァァァァァァァァンッッ!!
俺はビクともしない。ポケットに手を突っ込んだまま余裕の笑みを崩さない。
「ふざけるな!」
重い一撃が何度も俺を叩きつける。そのたびに衝撃波が爆ぜ、地面が揺れた。
「違うっ!違うっ!嘘だっ!間違いだ!こんなの現実じゃない!」
何度攻撃しても、微動だにしない。
「あれ、現実逃避かな?」
「クソッ!!」
強く握られた拳にエネルギーが凝縮されていく。
辺り一帯に散らばる膨大な魔素が収束した。
拳には次第に炎が宿り、雷を纏った。
拳の温度が一万度を超えた頃には、炎という概念がなくなり、純粋な白い光へと昇華された。
大気が悲鳴を上げてプラズマ化し、地表の岩石は瞬時に沸騰して蒸発した。
「僕は全てを統べる神なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
放たれた一撃は空間を歪め、世界を純白に染めた。
ゴォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!
「……っ!?」
アラゾニアの全てを賭けた全力の拳は、俺の片手に綺麗に収まっていた。
視界が開けた頃、アラゾニアの眼前には、俺の笑顔だけがあった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ違う!これは夢────」
言葉が言い終わる前にアラゾニアは地面へ叩きつけられた。
「お前……」
アラゾニアは俺を睨みつけていた。 そんな彼を、俺は穏やかな笑みで見下ろした。
「────飛べ」
アラゾニアを遥か上空まで蹴り飛ばした。
そのまま念力でアラゾニアを掴み、思いっきり振り回し、何度も地面に叩きつけた。
「はぁ……はぁ……僕は強い────」
そのままアラゾニアを圧縮する。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!」
パチンと指を弾くとアラゾニアが地面にめり込んだ。
「ぼ……僕は……僕は……強い────」
「弱い」
アラゾニアの言葉を掻き消すように告げた。
「見て分からないのか?お前の全力ごときじゃ俺にダメージを与えられない」
「あ……あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!」
アラゾニアの脳内に俺の“弱い”という言葉が絶えず流れ続ける。
「弱い弱いお前は弱い。弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い……弱い。ダメージも与えられない。全力でこれか。もしかして現実逃避?これが現実。これが全て。これが事実。何度でも言う。お前は────弱い」
実際には言われていない言葉まで聞こえてきた。
アラゾニアはうずくまり、ただ叫んだ。
こんなのは敗北以外の何者でもなかった。
俺はチョコラーテの元へ歩き、耳元で囁いた。
「……お前、そんなもんじゃないだろ」
「……っ!?」
沈黙が流れた。
「小生の……力は……」
その瞬間、チョコラーテの何かが変わった。
チョコラーテが自分の胸に手を当てた瞬間────
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!
凄まじい光を放ち、存在の性質が変化した。
巨大な4枚の黄金の翼を広げ、空高く飛び立った。
「小生は……」
瞳が黄色く光り輝いている。
背後には黄金の歯車が無数に展開された。
これこそが────
地護の勇者の真の能力だ。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!?」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。
何卒よろしくお願いします。




