空虚と覚醒
その日、小生は大切なものを失った。
どうしようもないほど虚しい。心に大きな穴が空いたかのようだった。
もう元には戻らない。
でも、せめてアリスをみんながいる故郷で眠らせてあげたいと思った。
それが今できる最善だと思ったからだ。
アリスを抱えようとした瞬間────
アラゾニアが空中で蹴りの構えをとっていた。
「……っ!?」
ダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!
凄まじい回し蹴りだった。
あまりの衝撃で動けない。
「ぼ……僕が何をしたの?ただご飯を食べただけだよ?ねぇ何がいけないの!?」
「あ……ぁ……」
血だ……こんなの出たこともないのに……
「そ……そうやって、理不尽な暴力で虐げて……僕は弱くない!強いんだ!強いんだ強いんだ強いんだ強いんだ強いんだ強いんだ!!」
アラゾニアの覇気が爆発的に膨れ上がった。
小生はフラつきながらも立ち上がった。
「黙るのだ……小生はアリスを連れ帰る。邪魔はさせないのだ」
小生のはらわたは怒りで煮えくり返っていた。
今すぐにでもこの魔人を殺したい。ぐちゃぐちゃに潰して抹殺してやりたい。
でも、アリスへの思いがその衝動を抑えた。
復讐はいつでもできる。だから────今はアリスを連れ帰るのだ。
地面を砕きながら駆けた。
小生の手がアリスに触れた瞬間────
アラゾニアが頭上で拳を構えていた。
「僕のご飯に触れるな!」
アラゾニアの拳が小生の背中にめり込んだ。
ドォォォォォォォォォォォォォォォンッッ!!
「かはっ……」
激しく地面に叩きつけられ、跳ね返るように宙に浮いた瞬間────バックスピンキックで弾き飛ばされた。
為す術なく地面に転がることしかできない。
「……痛い」
今ので……骨が折れたのだ。
まずい……このままじゃアリスが────
そう思った瞬間、痛みなどどうでも良くなった。
指先が白くなるほど、強く拳を握った。
「アリスを連れ帰るにはお前を倒すしかないのだ」
その瞬間────アラゾニアの前から小生の姿が消えた。
渾身の拳がアラゾニアの腹部にめり込む。
「ぐはっ……」
「邪魔なのだ!」
遅れて衝撃波がやってくる。
拳を引き抜き、バックスピンキックを叩き込む。
ドゴォォォォォォォォォォォォンッッッ!!
アラゾニアが片手で受け止め笑う。
「そんなの僕に効かないよ!!アッハッハッハッハッ!」
そのまま足を掴み、小生を地面に叩きつけた。
「うっ……」
そのまま身体をねじってアラゾニアの顔面を蹴りつけた。
アラゾニアが仰け反って足を離した。
互いに拳を構える。
「死ね!」
2人の声が重なった。
バァァァァァァァァァァァァァァァァァンッッ!!
そのまま何度も拳がぶつかり合った。
爆ぜる連撃勝負に打ち勝ったのは────
「僕は最強なんだぁぁぁぁぁっ!!」
バゴォォォォォォォォォォォォォォンッ!
「あぁぁぁっ!!」
アラゾニアだった。
小生が吹っ飛ばされた先にはアリスの聖剣が落ちていた。
あいつを倒すにはこれしか……
手を伸ばした瞬間────バチンと電撃で弾かれた。
聖剣は聖剣自身が認めた者しか扱えない。
お前は器ではない。……そう言われた気がした。
でも────それがどうした。わからせればいいのだ。
「小生こそが……最強の器なのだ!!」
電撃が全身を伝う。それでも小生は無理やり掴んだ。
全身が焦げるように熱い。
聖剣で空を斬った。
「黙るのだ。小生がお前の主だ。異論は認めないのだ」
その瞬間────聖剣と自分の魂が繋がった気がした。
まるで、面白いと笑うかのように。
手に馴染む。この感覚だ。
聖剣を地面に突き立てた。
「目覚めろ……“ガイア・ドグマ”」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!?」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。
何卒よろしくお願いします。




