届かない想い
「私は、アリス・レーラン。
────地護の勇者だよ」
「地護の……勇者」
小生はかなり驚いた。まだ子どもなのに勇者なんて……
でも……
小生はアリスに手を伸ばした。
「勇者でもなんでもいい。だから────これからもよろしくなのだ」
アリスは笑顔で小生の手を取った。
「うん、よろしくね、チョコ!」
「ち……チョコ!?」
「うん。チョコラーテだからチョコ!呼びやすいでしょ?」
「ま……まぁ、特別に許すのだ」
「やった!じゃあ行こ?」
アリスが小生の腕を掴んだ。
「ちょっと楽しそうな場所見つけたんだ」
「うん!行くのだ!」
こんな日々が一生続けばいいのに。
その願いが届く────ことはなかった。
その日はアリスが遊びに来なかった。森の奥から不気味な衝撃音だけが響いていた。
「あの森の奥には傲慢の大罪魔人、アラゾニアがいるの。絶対行っちゃダメだよ?」
いつだったかアリスがそんなことを言っていた。
「暇というか……なんなのだ、この感覚は……」
アリスがいないとこんなにも世界はつまらなく見えるのか。
小生は……どれだけアリスに依存していたのか。
────それに気づいた瞬間、自分のアリスに対する気持ちがはっきりした気がした。
「小生は……アリスのことが────」
そう言いかけたとき、大人たちの話し声が聞こえた。
「アリスちゃん、何があったんだ?」
「親が魔人に喰われたらしいよ」
「だからあんなに怒って────」
ドカァァァァァァァァァンッ!
「ほら、聞こえるでしょ?きっと今戦ってるんだよ」
親が喰われた?というか、大罪魔人と戦ってるのか?
一気に寒気がした。心臓がバクバク跳ね上がるのを感じる。
嫌だ。もしアリスが死んだらどうしよう。
アリスは強い。勇者だ。でも、それでも勝てなかったら────
気づいたときには走り出していた。全力で風を切り裂いて進む。
「やっと自分の気持ちに気づいたんだ。
アリスを助ける。そして伝えるのだ。────この想いを!!」
音を置き去りにする。暗い木々を抜けた先に見えたものは────
「アリス!!」
頭が真っ白になった。
「チョコ……なんで……来たの」
地面には大量の血が広がっていた。
手前には聖剣が落ちている。
そこには足をちぎられ、吐血したアリスと、それを喰う少年の姿があった。
少年の額には2本の黄色く小さな角が生えていた。
「あ……あ……」
恐怖と怒りでどうにかなりそうだった。
「な……何!?また僕を殺しに来たの?なんで……
僕は……僕はただ────ご飯を食べてるだけなのに」
「アラゾニアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!」
バゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ!!
凄まじい衝撃波。大地が震えた。
閃光が走り、アラゾニアは遠くまで吹っ飛ばされた。
急いでアリスの元に走った。
「アリス……どうして一人で……小生も連れて行って欲しかったのだ」
抱きかかえたアリスに涙が落ちた。
アリスの体は、今までにないほど冷たかった。
アリスは血と涙で濡れた顔のまま、唇を噛み締めた。
アリスの震えが伝わってくる。
「ごめんね、チョコ……私……許せなくて」
「わかってるのだ!でも……今は帰ろう。絶対に助けるから」
アリスが小生の頬を優しく撫でた。
「チョコ……もうダメみたい」
その言葉を聞いた瞬間、時が止まった気がした。
「ダメなのだ!まだ小生は……アリスと」
アリスは笑顔だった。
「────大好きだよ。チョコラーテ」
「……っ!?」
森から音が消えた気がした。
掠れた弱々しい最期の言葉だった。
アリスの瞳から光がなくなった。
アリスを支えていた力はもうない。そこにあるのは静かな冷たさだけだった。
「待って……いくな……!小生はまだ伝えてない!
小生だって好きなのだ。大好きなのだ。愛してるのだ!」
涙が止まらない。ただアリスを強く抱きしめた。
「どうして……届かないのだ────こんなにそばにいるのに」
「面白かった!」
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