奪われる者たち
俺たちは逃げ場を失った。
一歩でも間違えれば、強欲の魔人に記憶や能力、またはその全てが奪われる。
「ニガ……サネェ……ヨ?」
老若男女、様々なものが混ざり合った、不気味な声だった。
「や……やばいですよ!ご主人様!!」
「ちょっ……これ、詰んでるんですけどー!?」
「……マジかよ」
だが、関係ない。瞬間移動で撤退だ。
『待ってください、無宗様。既にここはプレオネクシアの能力の中です。私たちはあの魔人に出会った時点で、紫の世界とこの場所を繋げられています』
は?どういうことだ?
「あの檻の外は私たちが居た世界ではありません」
檻の外は俺たちがいた場所と変わらない。
しかし、その世界は紫に染まっていた。
『仮にイメージした場所に瞬間移動しても、私たちの世界に限りなく近い“紫の世界”に転移しちゃいます』
はい?
『そうなったら全部奪われて“詰み”ですよ!』
そんな理不尽な……
『もう、方法はあいつを倒すしかないんです!』
はい終わった。対戦ありがとうございました────じゃねぇよ!気持ちで負けてどうすんだ。
落ち着け俺。記憶か能力……どっちを奪われても戦闘不能になる。
今の状況で、一番能力を奪われちゃいけないのは俺だ。
“悪意的干渉無効”で回避できるか曖昧だし、それ以前にリスクが高すぎる。
「赤青紫……どれに干渉しても終わりだ。対象の色に能力で干渉しても強奪が発動する」
「チッ……うかつに攻撃できねぇなァ」
プレオネクシアが手をかざすと、空が曇り出した。
「気をつけろ」
その瞬間、凄まじい雷撃が降り注いだ。
ドォォォォォォォォォォォォォォォンッッッ!!
キラリオスが聖剣で受け止めると、雷が一瞬で消えた。
「す……すごいです」
「ライムみたい……」
「あいつの電解無効とはァ少し違うぜ」
キラリオスは少し笑った。
プレオネクシアはそのまま、100本の水槍が展開された。
「ここは任せて」
クリアが一歩前に出た。
「全属性魔術“地”メタルウォール」
巨大な金属の壁が展開された。
とりあえず、今のうちに作戦を練らないと。下手に赤青紫に干渉すれば、即敗北に繋がる。
だが色にさえ注意すれば大丈夫だ。
今のところ、危険なのは奴の青い体と檻だ。
あとは────
プレオネクシアが100本の水槍を放った。
待て、あの水の色……あれは青に含まれるのか?
だとしたら……
プレオネクシアが不気味に笑った。
「クリアやめろ!ガードせずに回避しろ!」
「え……?」
能力でのガードも多分……干渉判定になる。
クソっ……間に合わない。
ダァァァァァァァンッ!!
クリアはただ、立ち尽くしていた。
静寂が広がる。
「何も感じない……。」
「クリア……」
こっちを向いたクリアの頬を一筋の涙が伝っていた。
「私の力を……感じない」
「!?」
誰もが言葉を閉ざした。
プレオネクシアだけが静かに笑っていた。
俺のアホ毛が危険を察知した。
「……っ!?」
ドカァァァァァァァァァァァァァァンッッ!
巨大な赤い腕がクリアを叩き潰した。
「クリア!」
「残像だ」
俺は攻撃の直前にクリアを抱きかかえ、回避していた。
「無宗……私……」
潤んだ瞳で俺を見つめるクリアに誓った。
「取り返してやるよ。絶対にな」
「うん……」
弱々しい声だった。
「ムカつくんですけどー。ルナ!さっさと片付けちゃお」
「はい!」
ルナが弓を構えた。
「弓王スキル“メテオアロー”」
「スキル“霊手”」
「複合スキル“極滅追尾霊弓”」
霊手で大幅強化された必中の矢が轟音と共に放たれた。
バァァァァァァァァァァァァァァァァンッッ!!
渾身の一撃がプレオネクシアに直撃した。
爆炎の中から姿を表したのは────
「……っ!?」
「そ……そんな」
「嘘だろ……」
紫に変化したプレオネクシアだった。
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