獣人はなぜ消えたのか。ケモノニウムの真実が判明しました。
「エロ本しかねぇのかよ!」
王宮図書館で見つけた本は、普通の本とルナたちが見つけた怪しい本しかなかった。
大罪魔人に関する本はひとつも見つからなかった。
「なぁエセル、何もないぞ」
「では、禁書庫に行ってみましょう」
「い……いいんですか!?そんな重要そうな場所に……」
「ええ、フェリたんたちのためになるのでしたら、そのくらい余裕ですよ」
普通の口調に戻っても“フェリたん”なんだな……
俺たちは巨大な本棚の前にたどり着いた。
「これ……ですか?」
「普通の本にしか見えないが……」
「無宗様、そこの本を押してみてください」
えっと……これか
────曲がり角で始まるラブストーリー〜ぶつかった相手は50代後半の冴えないおじさんでした〜
「なんだこのクソ小説は……」
「ご主人様、多様性ですよ?」
この世界で“多様性”なんてワードを聞くことになるとは思わなかった……
「あえて誰も読まないような内容にしてるんですよ」
俺が本を押すと、大きな本棚が扉のように開き、地下へと続く階段が現れた。
「禁書庫ということは、薄い本がたくさんあるということでしょうか?」
「いえ、そういう禁書ではございません。この禁書庫には主に、“外の世界”に関する本が保管されています」
「外の世界というのは?」
「この世界はまだ未開拓です。現在、人間の生活圏は世界全体の10%にも満たないと言われています。
つまり残り約90%の“外の世界”が存在するのです」
なるほど……つまり、大罪魔人は外の世界にいる可能性が高いな。
「ここです」
そこには、今までと違う雰囲気の本がたくさん置いてあった。
「よし……探すか」
俺は本のスキャンを開始した。
それからしばらくしてのことだった。
「ねぇ無宗」
「どうした?」
「この本なんだけど……」
クリアが持ってきたのは獣人族の歴史本だった。
俺は即座にその本をスキャンした。
「これは……獣人族はほとんど全ての種族から狙われていた……?」
その理由は獣人族と触れ合うことで脳から分泌されるドーパミン、“ケモノニウム”が関係していた。
ちょ……ケモノニウムって、マジで存在したのか?
「自分たちの欲を満たすために他の種族と協力してまで獣人族と戦争をするなんて……」
「戦闘力が高い獣人でもほとんど全ての種族が敵にまわってしまえば勝ち目がないな」
戦争の最中、獣人族は忽然と姿を消した。
それ以降、獣人族を見たものはいなかったそうだ。
だとしたら、フェリはどうしてここに……
謎は深まるばかりだ。
「ご主人様!見つけました。大罪魔人に関する情報です」
「ありがとう、ルナ」
ルナから本を受け取った。
「“七つの魔人”か……」
本を開くと、そこには魔人との戦いの記録が載っていた。
「ご主人様、これって私たちが戦った……」
「喰帝だね」
「暴食の魔人ヴォラシティ……か」
魔人ごとに、対抗していた種族が違うようだ。
「きゃはっ。これってそれぞれの種族の生活圏に、大罪魔人がばらけてる感じ〜?」
「たぶん……そうだと思う」
「ということは────
妖精界に強欲の魔人プレオネクシア、
エルフ界に色欲の魔人ラグニア、
天人界に怠惰の魔人アケディア、
巨人界に傲慢の魔人アラゾニア、
魔族界に嫉妬の魔人シャーデンフロイデ、
そして獣人界には────」
「憤怒の魔人イーラ……か」
フェリがキュッと拳を握った。
「わたしの……故郷……」
「大丈夫ですフェリ。みんな殺っちゃいましょう!」
「きゃははっ。余裕っしょ」
「フェリ、親に会いに行くんだろ?」
「……っ」
フェリが大きく目を見開いた。
「うん!」
「でも、獣人たちの場所がわからないんですよね……」
「ポラリスが言ってただろ?
大罪魔人討伐が“探し物”の手がかりになるって」
「アルマ、あの女信用できないんですけど〜」
「だからその時は、フェリ裁判長に裁いてもらうことにしよう」
「フェリ裁判長!今のうちにポラリスに執行する刑罰を決めておきましょう」
「ミニスカメイド服で……わたしたちの下僕の刑」
その瞬間、ルナたちの目が不気味に光った
「きゃははっ。アルマに服従させて、こき使ってやるんだから」
「ポラリスには、上目遣いでにゃんにゃんと鳴いてもらいましょう!」
「日頃の欲望を発散するチャンスかも……」
「クックックッ……」
みんなが怪しい笑いを浮かべている。
「くしゅんっ……」
「な……なんでしょう……また悪寒が……」
今頃ポラリスは悪寒を感じているだろうな。
「それでは帰りましょう。ご主人様」
「そうだな。だが────」
「お前らが後ろに隠し持ってる本は置いていけ」
「ギクッ」
「きゃはは……なんのこと?」
「そんなの知らないですよ!」
俺は念力でルナたちから怪しい本を取り上げた。
「あぁ!初心者必見!SとM〜神プレイ集〜がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「あれぇ?なんでこんな本が私たちの手にあったんだろー」
「ふしぎ〜。アルマこわーい」
「わ……わたし……知らない」
「あー!皆さん知らないフリなんてズルいですよ!
これでは私だけが変態みたいじゃないですか!?」
「あんたはもうバレてるからいいの!」
「お前らの嘘、普通にバレてるからな?」
「え……」
ルナたちは固まってしまった。
「じゃあな、エセル。ありがとな」
「いえいえ、またいつでもお越しください」
「は……恥ずかしい」
「もう……お嫁に行けないです……」
「もう……オワタ」
「……。」
みんな、さっきのことを引きずってるようだ。
帰り道の廊下で……
「負内無宗だな。国王様がお呼びだ」
「え……マジ?」
俺はここが一応王宮の中であるということを忘れていた。
「待っていたぞ……負内無宗」
王の風格を纏うその男は、静かに、そして冷徹な目をしていた。
「面白かった!」
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