オーバーヒート・ナイト~ハーレム裁判で“毎晩キス刑”を宣告されたんだが理性がもたない~
「わたくしはポラリス・アルネーラ
────星導の勇者です」
「ゆ……勇者!?」
「シャルアの……仲間……」
「アレと同類認定されるのは悲しいですが、勇者であることは事実ですよ」
「勇者……未来視……
え、ちょっと待って。お前だったら俺とぶつかる未来を避けられたんじゃないのか?」
「へ?」
ポラリスは一瞬驚いた後、誤魔化すように苦笑いを浮かべた。
「お前まさか……わざとやったのか?」
「ま……まさか……
わたくしは運命の流れに身を任せただけですよ」
こいつ……
「でも……初めてだったのは本当ですよ」
ポラリスは頬を赤らめ、俺に小悪魔的な笑顔を向けた。
これも全て……計算なのか?
ポラリス・アルネーラ……侮れないやつだ。
「どー思いますか、フェリ裁判長」
「ポラリスも……有罪」
「あら、大変。では刑罰を執行される前に逃げるとしましょう」
「それでは無宗さん。わたくしの初めてを奪ったのですから、大罪魔人討伐をよろしくお願いしますよ」
一見清楚でおしとやかな彼女は、不可能依頼レベルの面倒事を押し付けて、華麗に立ち去っていった。
夜……
「無宗……約束……」
フェリが顔を赤らめ、上目遣いで俺を見つめた。
「え?」
周りを見ると、ルナたちも顔を赤らめていた。
「ご主人様……毎晩寝る前に私たちの頭をなでなでしてキスの刑……執行です」
俺は一瞬、頭が真っ白になった。
え……マジでやるのか!?
俺はルナたちの様子を伺った。モジモジしながら、目が合うと逸らしたり……
あ……これ、ガチのやつだ。
そう気づいた瞬間、一気に心臓が跳ね上がり、体温が上昇するのを感じた。
俺の脳内に、過去のフェリのセリフがよぎった。
「罰として、毎晩寝る前にわたしたちの頭をなでなでしてキスの刑です。も……もちろん……唇に……」
オーマイガー!
意識していなかったが……いや、意識しないようにしていたが、皆美少女なのだ。
毎晩一緒に寝る時だって、必死に心を虚無にして耐えてきたんだ。
それプラス、キッス(マウス・トゥ・マウス)なんてしたら、理性崩壊待ったナシだろ!
そして……
「私でしょ」
「いいや、アルマだもんねー」
「わ……わたしが……」
「ご主人様とのキスは私が最初です!」
バチバチッ……
1番を巡って順番争いが勃発していた。
4人の鋭い視線の間に火花が散っているように見えた。
まぁ、順番くらいそのうち決まるだろう────
と、思っていた時期が俺にもありました。
「“メテオアロー”」
「“ヘルフレア”」
「“パワーブースト”」
「“霊手”」
そして、屋敷は光に包まれ────爆発した。
ドカァァァァァァァァァンッ!!!
「コラッお前らぁぁぁぁぁ!!」
家は俺が修復し、順番争いはじゃんけんで決着が着いた。
……俺は、覚悟を決めた。
「じゃあ……刑、執行ね」
クリアは腕を組みながら言ったが、ほんの少しだけ頬が赤かった。
「ほら、さっさとしてよ」
俺はクリアの頭に手を置き、ゆっくり撫でる。
「……」
いつもは強がりなクリアが、今日は妙に静かだった。
そして俺が唇を近づけると──
「やっぱり、待っ──」
言葉の途中で、唇が触れた。
「……っ!」
クリアのアホ毛がぴんっと立った。
「もう……ばか……」
「つ……次は、フェリ……」
フェリは耳をぴくぴくさせながら前に出た。
「あの……わ、わたし……その……」
俺が頭を撫でると、フェリの尻尾がふわっと揺れる。
「ひゃ……」
そして、俺が顔を近づけると──
フェリはぎゅっと目を閉じた。
「……っ」
唇が軽く触れる。
「……えへへ」
フェリの尻尾が、嬉しそうに左右に揺れていた。
何故か胸の奥がポカポカしていた。
なんだ……この気持ちは……
「きゃはっ。次はアルマだね」
アルマは楽しそうに俺の前に立った。
「無宗ぉ、顔赤いよ?」
「赤くねぇよ」
「ほんと~?」
俺が頭を撫でると、アルマはくすぐったそうに笑う。
そして俺がキスしようとした瞬間────
「遅い遅い♪」
アルマが自分から唇を重ねてきた。
「……っ!?」
「きゃはは。無宗の負け~」
「いや、何の勝負だよ……」
「ついに私の番ですね……!」
ルナはなぜか正座していた。
「なんでそんな覚悟決めてんだよ」
「さあご主人様!思う存分どうぞ!」
俺はため息をつきながら、ルナの頭を撫でる。
「はぁ……幸せです……」
そしてキスをした瞬間────
「んっ……」
「!?!?!?」
ルナが舌を入れてきた。
こ……こいつ……何してんだ!?
「んはぁ……」
「おい……ルナ……」
俺は驚きのあまり、一周まわって冷静になっていた。
しかし、赤面まで抑えることはできなかった。
ルナはウィンクしながら、右手でグッドサインをした。
グッドじゃねぇよ!何考えてんだこいつ!?
俺とルナの口から糸を引いてる様子を見ていたクリアたちは、少し遅れてからその意味を理解し、赤面した。
「ルナっ!!」
「なに抜けがけしてんの!?」
「あわわ……舌を……」
クリアがルナの両肩を掴んで思いっきり揺らした。
「く……クリア……落ち着いてください!
別に普通じゃないですか」
「普通のキスで舌を入れてたまるかぁ!」
「だって……そうやって本に書いてましたし……」
そう言ってルナが取り出したのは“薄い本”だった。
「……。」
「おいルナ……これ、どこから持ってきた」
「え……普通に買い物帰りに道端で拾いました」
「はぁ……アルマ。ルナに教えてやれ」
「きゃははっ、いいよ。ルナ、耳貸して」
「は……はい」
「ごにょごにょ……」
「……っ!?」
自分の失態に気づいた瞬間、ルナの思考が真っ白に染まった。
カッと顔に火が灯り、大きな瞳がこれ以上ないほど見開かれる。
耳たぶまで真っ赤に染め上げると、今にも頭頂部からシュウシュウと蒸気が立ち上りそうな勢いで、ルナは顔を伏せてしまった。
こんなふざけてるようで、かけがえのない時間を、失いたくないと────ほんの一瞬、思った。
こうして────俺たちの理性が崩壊した夜は、静かに明けていった。
もちろん、俺たちは一睡もできなかった。
※活動報告に“フェリ裁判長”のイラストを載せました。可愛く描けたと思うのでぜひ見に来てください!!
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!?」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。
何卒よろしくお願いします。




