王都の全員が俺を神扱いして宗教が爆誕したんですが。
王都は、とんでもないことになっていた。
究極神聖魔術“清らかなる浄光”。
直撃したシャルアはもちろん、離れた場所にいる観客すら浄化され、清い心?になっていた。
「ちょっとヤバいんだけどポラリスちゃん!
うち、善良なのに浄化されかけたんだけど!?」
「貴方が全良かどうかはさておき、流石に今のは危なかったですね。
善悪関係なしの完全浄化……これほど距離があっても、心が清々しくなるほどに浄化されてしまいました」
「ほんとだよ……まぁ、これでドス黒いゴミクズシャルアもマシになったんじゃない?」
「そうでしょうね……ってエスエマ?どこへ行くのですか?」
エスエマはニヤリと笑った。
「もちろん、無宗くんに会いに行くんだよ」
「今は遠慮しておきましょう。
わたくしたちは聖剣に導かれ、磁石が惹かれ合うように、彼と出会うことになるのですから……そう、運命的に」
「えー……もしかして、それも予言?」
ポラリスは微笑んだ。
「どうでしょう……そんな気がしただけですよ」
シャルアとの決闘から、数週間が過ぎた。
俺たちは、王都の大通りを歩いていた。
ここしばらく忙しかったから、休暇もかねてショッピングというわけだ。
街を歩けば色んな奴らが声をかけてくる。
商人、冒険者、子供……誰もが俺を見てざわつく。
シャルアとの決闘は、王都のほとんどの人が集まった大イベントだったのだ。
つまり王都中の人々が浄化されたわけで……
「おぉ、神様じゃねぇか。なんだ?買い物か?」
「だからぁ……神って呼ぶなって!」
「冗談だよ無宗様。しかし、あんたも随分有名になったもんだな」
「まぁ……な」
俺は思わず苦笑いを浮かべた。
あぁ……思い出すだけで疲れる。ここ最近忙しかったのは、究極神聖魔術“清らかなる浄光”の後始末が原因である。
あの日、王都の人々は俺を神と認識した。いや、認識してしまったのだ。
あれからというもの、街を歩けば皆が跪き、俺に祈りを捧げ、家には捧げ物みたいなものが沢山届けられていた。
しまいには、“無宗教”とかいう宗教まで作られ、俺を崇め始める始末。(なお、王都中の人々が入信した模様)
こんなの、まともに生活できたもんじゃない。
神様を戦わせるのは恐れ多いとか言って、ギルドを退会させられそうになった時は、流石にキレたのを今でも覚えている。
あれから、何週間にも渡りいろんなところで演説を繰り返し、無宗教の法皇や大司教を呼んで話し合いを繰り返した結果、俺の呼び名が“神様”から“無宗様”になった。
普通でいいって言ったんだが、“様”をつけないと拒否反応が出るらしい。
それから俺を崇めるのは勝手だが、普段は普通に接すること、そして宗教観を他人に押し付けないことなどが決まった。
ちなみに無宗教の法皇や大司教に宗教の教えを聞いてみたら……
「はい?教え……ですか?」
「もちろんありますよ。
無宗様に敗北など存在しない。
無宗様は世界に囚われない。
無宗様が歩く場所が道となり、信者達が進むべき道である。
善悪は無宗様が決めるものであり、
無宗様に敵対する者が────“悪”である」
「あぁやめて!?恥ずかしい!!」
「と言われましても……もう“経典”に記載して、信者に配ってしまいましたし……」
「ちょっと待って……経典って何!?」
「簡単に言えば、無宗様の名言集です」
いや……そんなに名言なんて言ってないと思うし、無宗教ができたのは最近だから、本になるほど名言はないはずなんだが……
「神の使いの方々が協力してくださいましたからね」
「神の……使い?」
一方、教会の会議室では────
「きゃははっ。無宗の凄さを教えてあげる」
「ご主人様の偉大さを全て、教えちゃいますよ!」
「無宗……名言……多い」
「流石です、神の使いよ。我々に無宗様の素晴らしさをご教授ください」
ルナたちが生き生きとした表情で、経典作りに協力していた。
「……ふ、ふふ……はは……デュハハハハハハハハ!!」
「ルナ殿、今のは……?」
「これは私がご主人様と初めて出会い、ご主人様が隷属の首輪を破壊して奴隷を卒業した瞬間の笑い声です」
「おぉ……素晴らしい!」
「流石、無宗様だ」
「笑い方も唯一無二というわけですね」
ルナは目を輝かせた。
「そうなんですよ!よくわかってるじゃないですか!
こういうキモさも、ご主人様の素晴らしさなのです!」
「きゃははっ。名言はまだまだあるからね!」
フェリがコクンと頷く。
「ね……ねぇみんな……流石にやめた方がいいんじゃない?無宗が知ったらキレそうだけど……」
「きゃははっ。大丈夫だよクリア。無宗は歴史に名を残すんだから、無宗伝とか作る時に役立つでしょ?」
「そうです!ご主人様の素晴らしさを伝えて何が悪いんですか!反対する奴はグーパンでめった打ちにしてやりますよ!
シュッシュッ……」
そう言ってシャドーボクシングを始めるルナの背後には強い怒りを含んだ黒い影が……
「ちょっ……ルナ……」
「後ろ後ろ!」
「あわわ……」
ルナ以外の表情が青ざめる。
ルナはまだ気がついていないようだ。
「“邪魔する奴”は処刑ですよ。かかって来やがれです!シュッシュッ……」
ガシッ……
俺は、背後からルナの頭を片手で思いっきり鷲掴みにした。
「“邪魔する奴”ですが、何か?」
その瞬間、ルナは凄まじい殺気を感じ、虎に睨まれた小動物のように動かなくなった。
「おいお前……何をしている」
俺の笑顔は引きつっていた。
「ご……ご主人様!?」
「きゃははっ。新しい名言誕生……って感じ?」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!?」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。
何卒よろしくお願いします。




