勇者に勝手に悪認定されました。
シャルア・フレトリスの宣戦布告。
その内容は────
俺とシャルアの1対1の公開決闘だった。
「ご主人様……」
「無宗……」
ルナたちが心配そうに俺を見つめている。
その手は、わずかに震えて見えた。
こいつらのためにも負けられないな。
本当に可愛い連中だ。
負けることはない。
だが────もし俺が悪と断じられれば、
こいつらまで世界から否定される。
それだけは、少しだけ怖かった。
「心配するな……俺の強さはお前らが身をもって知ってるだろ?」
「あ……そうでしたね」
「そだね」
「きゃははっ。がんばってね」
「うん……」
「ねぇ、嘘でもいいからもうちょっと心配して!?」
前言撤回。可愛げゼロ。
俺は笑顔でルナたちに見送られ、目の前にはとてつもなく広い闘技場が広がっていた。
真ん中のアリーナを囲うように5m程の石の壁がそびえ立っていた。その上からは約10万人の観客が俺を見下ろしていた。
観客席にはルナたちや国王、そしてセフィリアもいた。
アルマがこっちに手を振っている。俺も控えめに手を振っておいた。
「ずいぶん余裕そうですね。“魔王喰らい”負内無宗」
「えっと……シャルアだっけ?こんな大勢の前で戦う必要ある?」
「あなたが善か悪かその判断を下す瞬間を見届けてもらうためですよ」
「そういうことじゃなくて……お前の無様な敗北の瞬間が、10万人以上の観客に見届けられて、公開処刑になるけど大丈夫?って聞いてるんだよ」
「は?」
シャルアが顔を曇らせた。
「あと善か悪か判断する前にお前に審判を下した方がいい気がするんだよね。
俺、見えるんだよ……人の心の色。
シャルア君は“汚い黒”。光天の勇者なのにね……」
俺は少し笑ってしまった。
「殺す」
シャルアの目が殺意の眼差しに変わった。
観客席では……
「ねぇねぇポラリスちゃん。あれが君の言ってた“世渡越の観測者”ってやつ?」
「そうですね。彼は間違いなく世界に大きな影響を与える存在でしょう」
「あぁ……どうしよう。うちの部屋に連れ込んで、めちゃくちゃにしたいなぁ……」
「ダメですよ、エスエマ。負内無宗はわたくしが先に見つけたのですから」
「えー、ずるーい!それ言ったら予知能力持ってるポラリスちゃんの方が圧倒的に有利じゃん」
「ふふっ。そうでしょうか」
「もーっ」
「さて、いい機会です。その力を見せてもらいましょう」
「頑張れ無宗くん!ゴミクズシャルアなんかやっちゃえーっ!」
勇者シャルアは俺に聖剣を向けた。
黎明の聖剣ルクス・セラフィスか。
まぁ能力は鑑定済みだが、少しは楽しめそうだ。
「それでは、あなたのことを見定めさせてもらいます」
(お前を絶対悪認定して、処刑してやる……)
とか、思っているんだろうな。まぁ、関係ないがな。何をしようと、力でねじ伏せるまでだ。
俺は指先だけで「かかってこい」と、合図を送った。
シャルアの額に青筋が浮かぶ。
剣を構えて凄まじいエネルギーをチャージし始めた。
「“断光斬”」
ダァァァァァァァァァァンッ!!
一瞬閃光を放ち、光の斬撃が俺に直撃した。
もちろん、俺は笑顔で立っている。
シャルアは目を丸くした。俺を見定めるとかほざいて、普通なら即死級の攻撃を放っていた。それなのに避けもせず、防御もせずに無傷な俺を見れば誰でもそうなるだろう。
「勇者を名乗るだけはあるみたいだな」
「……何をした」
「何もしてないよ」
「なんで攻撃が効いてないんだ……」
「あれは本当に人間か?」
観客は驚きの声を上げ、そして息を飲んだ。
シャルアはそれからも攻撃を続けた。
「“シャイニング・エクスプロージョン”」
光の爆発も、
「“ゴッドレイ”」
天から降り注ぎ、大地を裂く光撃も、
「“サンライト・アロー”」
一撃必殺の光の矢すらも全て、俺にダメージを与えることはできなかった。
「それも、魔王を取り込んで得た力のようですね」
シャルアのその一言で、会場が一気にざわめいた。
「まさか本当に……」
「これ、やばいんじゃね?」
的外れもいいところだ。
しかし観客の不安は増大していき、シャルアを応援する声が増え始めた。
セフィリアは客席から静かに祈っていた。
「お願い無宗……負けないで」
シャルアは静かに笑うと、大きな声で宣言した。
「皆さん。もうお分かりの通り、この男は確実に魔王を取り込んでいます。この危険因子は僕が責任をもって排除します!!」
観客が一斉に歓声を上げた。
「シャルア様!お願いします!」
「あなたこそが世界の救世主だ!」
「悪から私たちをお救いください!」
シャルアは心の中で笑った。
「ど……どうしましょうクリア!ご主人様が……」
「完全に相手のペースだね」
「あの勇者、なんかムカつくんですけどー。霊手で殺っちゃおうかな」
「待ってアルマ。無宗を信じよう」
「も……もし世界が無宗を敵と見なしたら……わたしがわからせる」
「きゃははっ。それ、さんせー。雑魚どもに思い知らせるんだから」
「そうですね。ボコボコにしちゃいますよ!ボコボコに!!」
「無宗……私たちは何があっても味方だから」
「負内無宗……君は僕が確実に殺す。
この世界のために……ね」
「よく言ったもんだな。お前、世界のことなんか考えてないだろ」
シャルアは軽く笑った。
「君には関係のないことだよ」
その瞬間、シャルアが凄まじい光のオーラを解き放った。
ゴォォォォォォォォォォォォッ!
「“レイ・アセンション”」
シャルアの姿が消えた瞬間、強烈な衝撃波と共に俺は壁に吹っ飛ばされた。
「……へぇ、やるじゃん」
俺は少し微笑んだ。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
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