幽霊に煽られたので、鎖ごと救いました。
ガンッ!!
俺の後頭部にソファーが直撃した。
痛っ……くないけど、何があった?
「で……出たぁぁぁぁぁ!!!」
「どどどどうしましょう!!幽霊!?」
「あわわ……」
クリアもおばけへの耐性はないようだ。
ヒューーーーーッ
どこからともなく風が吹き、部屋の真ん中に集まっていく。
それはやがて人の形を作った。鎖に縛られたバケモノだ。
「うらめしやぁぁ」
「いやぁぁぁぁぁぁっ」
「……」
3人が俺に抱きつきながら叫び声をあげた。
「きゃははっ。マジでビビってやんのー。ださぁーい」
鎖のバケモノから、ピンク髪のサイドポニーテールの女の子に変化した。
「きゃははっ。ビビりちゃんたち、このアルマちゃんにひれ伏しなさい」
「お……女の子ですか?」
「むむむ……なんかこいつ生意気」
「幽霊?」
「これからアルマの屋敷に住むんでしょ?めちゃくちゃにしてやるんだから。きゃははっ」
「えいっ」
クリアがアルマを殴るがすり抜けてしまう。
「ムダムダ。あんたたちはアルマに指1本触れられないもんね。ざーこ♡」
アルマは部屋中を飛びまわり、俺の前で舌を出し挑発する。
「きゃはは♡今どんな気持ち~?女の子一人黙らせられないとかウケるんですけどーw」
俺は目の前で煽り散らかすアルマの両頬を掴んだ。
「!?なんで触れられ……」
俺はアルマの両頬を引っ張った。
「痛い痛い痛いわかったから!ごめんなさいアルマが悪かったですぅ!」
その後、アルマは正座させられていた。
「で、なんでこんなことしたんですか?」
「……から」
「聞こえないよ?」
「寂しかったから!」
「アルマ、何十年も前にこの家に入ってきた殺人鬼に殺されたの。目が覚めると鎖で繋がれて、この家から出ることもできなくなってて……新しくこの家に来た人も、誰もアルマに気づかない。そこにあるのは、逃げ場のない孤独だった」
「……」
「でもね、アルマ気づいたの。イタズラしてる時だけは人から認知される。孤独から解放されるって。誰とも触れ合うこともできない。イタズラに疲れた人たちは次々とこの家から出ていく。でも、それでも嬉しかった。一瞬でもアルマは孤独じゃなくなるから……」
「……っ」
「そんな……」
「かわいそう」
「でも、あなたたちもいなくなっちゃうんでしょ?どうせアルマはまた一人……」
俺は笑った。
「何を勘違いしてるんだ?」
「……え?」
「今までの奴らがこの家から出ていったのは、お前のイタズラに耐えられなかったからかもしれない。だがそんなの俺には無意味だ」
「無宗……」
「イタズラなんかで俺がダメージを受けることはないし、そんなのこの家から出ていく理由にもならないな。だから……これからよろしくな、アルマ」
「……っ!!」
アルマは溢れた涙を拭って笑った。
「きゃははっ。じゃあこれからよろしくね、無宗。男に二言はないんだから!」
それからアルマはことあるごとに俺にくっついてくるようになった。俺は唯一触ることができる存在だからだ。
「むーそう!」
「またお前か」
「いいじゃん。こうしていたいんだもん!」
「むむむ……羨ましいです」
「あー。ズルい私も!」
「わ……わたしも」
「ちょ……クリア?フェリ?……あぁ待ってください私も!」
「ちょ、待て……みんないっせいに抱きつくなっ。動けなくなるっ」
そして3日が経過した。
「じゃあ行ってくる」
「う……うん」
「アルマ、どうしました?」
「いや……なんでも」
アルマは少し寂しそうだった。
「あ、すまんすまん」
俺はアルマにまとわりついた鎖を掴んだ。
「ご主人様?一体何を……」
俺の手から液体化したベルゼリオンが溢れ出す。
「な……何この液体!?」
その瞬間アルマの鎖がベルゼリオンに捕食される。
「すごい。アルマの鎖が……」
「行くぞアルマ。久しぶりの外の世界を見せてやるよ」
「……っ!?」
アルマは外への1歩を踏み出した。
足元を何度も確認するように、慎重に。
「これが……外……」
アルマの瞳から涙が溢れ出した。
「アルマ、外でもみんなと一緒にいられるんだね」
「そうだ」
俺は微笑みながら言った。
その後、5人で久しぶりにギルドへ向かった。
「おいあれ……」
「無宗だ」
「あの噂本当なのかな」
ギルド中の冒険者が俺たちを見る。
「なんか視線を感じる」
「見られてますね……ご主人様」
「どういうことだ?」
「待ってたぞ無宗。ちょっと来い」
俺たちはギルマスに呼び出され、2階の会議室に移動した。
※活動報告にアルマのイメージイラスト載せました。
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