魔人大量発生
「無宗……危ない!」
そうフェリが呼びかけた時には、ラグニアは背後から俺に鋭い爪で切りかかっていた。
「────え?」
ズダァァァァァァァァァァンッ!!
妙な静けさだけが残っていた。
粉塵が舞い、そこから歯を剥き出しにして笑ったラグニアが現れた。
クソッ……大罪魔人ってなんでこうしぶといんだ。
1回死んだらそれで終わりだろ!
まぁ嘆いても仕方がない。
だって俺────死んでないもん。
「残像だよ。ラグニア」
「……っ!?」
笑顔の俺がラグニアに触れていた。
「“エネルギーインパクト”」
バゴォォォォォォォォォォォォンッ!!
重い衝撃が大地を砕き、ラグニアを弾き飛ばした。
ラグニアは岩に衝突し、潰れて消滅した。
「嘘……触れただけで」
「さすが……無宗」
驚きと感心の入り混じった表情を浮かべるフェリとエスエマに、「後ろを見ろ」と合図を送る。
2人が首を傾げ、振り向くと、そこには数千のラグニアがいた。
単体でも強いラグニアがこの数。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
2人は絶叫した。
こうなるのも無理はない。
だって────キモいもん。
俺は2人を見た。
お前ら、やれるか?
その問いが伝わったのか、2人は小さく頷き微笑んだ。
その瞬間、2人の姿が消え、何体かのラグニアが消し飛んだ。
ここからは殺戮タイムと言ったところか。
そんなことを思っていたら現実になってしまった。
フェリが全身強化した状態の全力パンチで80体ほどのラグニアが消し飛んだ。
エスエマは聖剣に超高密度の炎エネルギーを蓄積し、斬撃として放った。
その威力は凄まじく、射程距離内にいた数百のラグニアが一瞬で塵と化した。
数分も経たないうちにラグニアがみるみる減っていく。
思ったより早く片付きそうだな。
まぁ、俺も少し減らしておくか。
俺の指先には直径1cm程の熱エネルギーの凝縮体がチャージされていた。
そのエネルギーは凄まじく、辺り一帯が熱気で包まれ、細かいプラズマが火花を散らしていた。
「ファイヤーボール“極”」
放たれた火球が遠くのラグニアに着弾したと同時に、大爆発。灼熱の衝撃波が周囲を燃やし尽くして更地にした。
残っていたラグニアも全滅。
フェリとエスエマは呆然とその様子を眺めていた。
「無宗くん……強すぎじゃない?」
「す……すごい」
エスエマに呆れ混じりの視線を向けられたが、大丈夫だろう。
でも、手応えがない。なんだろう……この感覚。
そう思った時だった。
「クックックックック……アハハハハハハッッッ!!」
辺り一帯に不気味な笑い声が響いた。
十体……百体……千体……一万体……ラグニアがどんどん増えていく。
しかも、一体一体の力が今までの比じゃない。
俺たちは言葉を失った。
おぞましい気配が数十万……。
は?ふざけんな。
数がおかしいだろ。
くそ。このままじゃ埒が明かない。
「“探偵眼”」
俺の瞳に虫眼鏡の紋様が浮き出た。
探偵眼はどんなトリックも瞬時に見抜く。
何度も蘇る系の敵は、本体や弱点が別の場所にあるって相場が決まっている。
『さすがです無宗様〜!ってことは気づいちゃいましたよね?』
「…………。」
「無宗くんどうしたの?顔色悪いよ?」
おいおい、冗談きついぜ。ダルいとかのレベルじゃねぇぞ。
『ラグニアの支配下にある全ての者の心臓と同化した、ラグニアの“核”を破壊しないと討伐できませんね……』
つまり、大陸中のエルフと、ルナたちの心臓を破壊しないと倒せないわけだ。
本当に……これだから。
────大罪魔人はカスなんだ。
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