こんなのシャワーと変わらないよ
色欲の魔人ラグニア。その能力は、自身と関係を持った者の完全支配。
現在、大陸のほとんど全てのエルフがその支配下にあった。
今はルナ、クリア、そしてアルマもその犠牲となっている。
支配された者はラグニアの手駒であり、食料となる。
状況は最悪だ。
あぁちくしょう。もう少し早く気づいていれば……
後悔しても遅い。
今はラグニアを倒すしかないのだ。
と言っても現状、ラグニアの姿が見えないのだが……
────どうしたものか。
その瞬間、目の前に3mの巨大な魔物が現れた。
頭は獅子、胴体は人間、下半身は蛇の姿。
鹿のような角を持ち、体からは桃色の霧が溢れ出ていた。
「負内無宗……敗北させる」
ラグニアだ。その瞬間、空から凄まじい何かが降り注いだ。
「私とご主人様の愛を邪魔するなんて……許しませんよ?」
「あぁ……まだ虐め足りない♡……でもまずは邪魔者の排除だね」
「あんたのせいで気分だだ下がりなんですけど〜」
そこには操られたルナ、クリア、アルマの姿があった。
目が桃色に光っている。……完全支配確定演出じゃん。
「ど……どうするの、みんな!?ルナちゃんたち操られちゃってるよ!?」
「まぁ落ち着け」
って言ったもののどうすればいいのか。
「大丈夫。ラグニアを倒せば……終わる」
その言葉と同時にフェリは大地を踏みしめた。
一気に飛び跳ね、加速する。
音速の飛び蹴りがラグニアの腹部に炸裂した。
遅れて衝撃波が弾けた。
巨体が地面を削りながら勢いよく後退する。
だが、ラグニアにダメージは入っていないように見えた。
ラグニアが歯を剥き出しにして笑った瞬間、一瞬でフェリの背後に回っていた。
ラグニアは素早く一回転し、攻撃を放つ。蛇の尾がフェリに直撃する瞬間────
バゴォォォォォォォォンッ!!
フェリは裏拳でラグニアの尾撃を弾いた。
爆風とともに、互いに後退する。
休む暇もなく、霊手が俺たちを襲う。
全員何とか回避したが、攻撃が止まない。
ルナとクリアの矢や魔術攻撃も飛び交う。避けるだけで精一杯だった。
……俺以外はな。
正直、この程度の攻撃じゃ傷一つ付かない。
ドドドドドドドドドドドドドッッッ!!
動かない俺に、攻撃が集中するのは当然だ。
「む……無宗くん!?何してるの!避けないとだよ!」
ガチで心配してそうなエスエマに俺は笑顔で返した。
「気にするな。こんなのシャワーと変わらないよ」
俺が指を弾くと、ルナたちとラグニアの足元に魔法陣が展開された。
逃げる間もなく重力魔法が発動した。
もう動くことはできない。
「俺はもう……こんな心臓に悪い状況はごめんなんだ」
フェリとエスエマに目線で合図を送ると、2人は小さく頷き、ラグニアに攻撃を開始した。
「パワーブースト……全開」
ドカァァァァァァァァァァァンッッッ!!
赤いオーラが弾けた瞬間、フェリはラグニアを殴り飛ばしていた。
吹っ飛ぶラグニアに向かって、エスエマは低く構える。
エスエマの瞳に炎が灯り、勢いよく地面を踏み抜いた。
炎の閃光がラグニアを貫いた。
ピカッ……ドォォォォォォォォォォンッッッ!!
遅れて、ラグニアは大爆発。
エスエマは一回転して着地した。
ラグニアは消滅した。
戦いは終わったかのように見えた。
しかし────
「……っ!?」
「無宗……危ない!」
そうフェリが呼びかけた時には、ラグニアは背後から俺に鋭い爪で切りかかっていた。
「────え?」
ズダァァァァァァァァァァンッ!!
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