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負内無宗は負けません!!~敗北=全ロストの世界で、俺だけが“負けない”最強~  作者: Zawape
色欲の魔人編

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理不尽支配と理不尽浄化

「ふふふ……ふははっ……ふははははっ!!」


俺はただただ笑った。もうダメだ。やっぱり大罪魔人は存在してはいけない。あぁもうストレスで頭がどうにかなりそうだ。


「うわぁ!?ど……どうしちゃったの無宗くん!?」

「む……無宗?」


「やってくれたなラグニア。だが相手が悪い。

────ルナたちや大陸中のエルフの心臓と同化したって、お前をぶち殺す方法はいくらでもあるんだ」


その瞬間、世界が震え、眩い光がすべてを包み込む。

その光はあらゆるものを飲み込んでいった。


俺は静かに笑った。


背後に開かれた四枚の翼は、この世のいかなる絹よりも白く、吹雪のように眩い光の粒を散らしている。白く透き通る長い髪は見るもの全てを魅了した。

その頭上に浮かぶ黄金のヘイローは、昇る朝日を凝縮したかのような輝きを放ち、見る者の視界を白銀へと塗りつぶした。


ただそこに(たたず)むだけで、周囲の濁った空気は浄化された。


俺は空高く飛び立った。

大陸中からドス黒い気配を感じる。

深く深呼吸をする。

大丈夫。俺ならできる。

シャーデンフロイデ戦で学習したんだ。

寄生するタイプの敵を倒す方法を。


指を弾くと超巨大な光の大聖堂が展開され、大陸中を包んだ。


悪を定義し、浄化する名も無き聖なる力。

まぁ柄じゃないんだが、今の俺は神対応だ。

大聖堂内でラグニアのみを悪と定義する。

そしてラグニアのみを浄化する。


「自身の行いを悔い改めなさい」


俺は天高くから大陸に向けて片手をかざした。

死に果てろ……ラグニア。


「“清らかなる(ピュア・)浄光(ピュリフィケーション)”」


その瞬間、大聖堂内の全ての者が温かい光に包まれた。

大聖堂内の生きとし生ける者たちが浄化され、満たされていく。涙を流しながら祈りを捧げる者もいた。


「俺たちは……今まで何をしていたんだ?」

「なんか……心が軽い」


ラグニアの核が次々と消滅していく。


「ギャァァァァァァァァァァッッッ!!!」


ラグニアは究極の浄化により、跡形もなく消え去った。


こうして理不尽に思えたラグニア戦は、理不尽な形で幕を閉じた。


俺は変身を解除し、静かに着地した。


空からピンクサファイアの宝玉が落ちてきた。

サッと掴み、しばらく見つめた。

色欲の意志。

ラグニアを倒した証だ。


「前と同じ変身……かっこいい」

「すご!これ、シャルアを倒した時の使ったやつじゃん!チート!?」


2人はテンションが高く、しばらく質問攻めにあった。

しばらくして、落ち着いたエスエマがポツリと漏らした。


「終わったね。……無宗くん」


「……そうだな」


シャーデンフロイデ戦でルナが寄生された時、俺は恐怖に震えた。

ルナを失うのではないか。そしてこの手で殺さなければならないのか。


今となっては仲間の安全が俺の最優先事項だ。

失ったら終了。俺が1番嫌う“敗北”なんだ。

大罪魔人討伐をするのもルナたちがこの世界で安全に生活して欲しかったからだ。


そして、ルナたちが討伐に同行するとなった今、俺は一番最悪の可能性を摘むための手段を用意していた。


清らかなる(ピュア・)浄光(ピュリフィケーション)

敵だけを滅ぼす必殺技。

……上手くいって良かった。

用意するのはいいが、実際にその時になってみると、案外怖いものだ。

俺は内心ほっとしていた。


「無宗……ルナたちを……解放してあげて」


フェリはルナたちを指さした。


何を言っているんだ?ラグニアはもう倒した。支配は解けてる。もう解放されて────


ふとルナたちに目を向けると、重力魔法で倒れ伏していた。


「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙……」

「む……むそぉ゙っ……」

「ご主人様っ……私……おかひくなっちゃいそうです……♡」


あ……

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!


忘れていた。操られたルナたちを封じるために、めっちゃ重力をかけていたんだった。


────数分後


「ほんっとごめん!」


まぁ、謝るしかないわな。


「本当だよ」

「あれはあれで……良かったです///」

「マジでありえないんですけど〜」


本当に申し訳ない。操られていたとはいえ、あんな目に……

さぞ辛かっただろう。────1人を除いて。


「マジで申し訳なかった。……けど、お前らも操られて────」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


クリアは思いっきり叫んで誤魔化した。


「あ……あれは違うんです」

「やめて!思い出さないで!」


三人は頬を赤らめ、両手で顔を隠した。


「……ふふっ。」


その様子を見ていたフェリは堪えきれずに吹き出してしまった。


「ちょっフェリ!」

「わ……笑わないでください!!」


修行の成果を見せるとかはりきっておいて、ラグニアに操られ、痴態を晒す。これ以上ない大失態だ。

フェリが笑ってしまうのも無理はないが、怪しさを見破る特訓をしなかった俺も悪い……ような気がする。

というか、本物か偽物かくらいは見破って欲しかった……


「ま……まぁ、次から気をつけような」


「いやぁ、ルナちゃんたちが元に戻って良かったぁ。最初はもうダメかと思ったよ〜」


エスエマは安堵したように、小さくため息をついた。


「エスエマ……」


その時、背後から一人のエルフが現れた。

その手は微かに震えて見えた。


「ママ!?」


エスエマの母、レイネだった。

レイネの瞳には涙が溜まっていた。

レイネはエスエマに強く抱きついた。


「ごめんなさい、エスエマ。1人にしちゃって。

あの魔人と一人で戦ってたのよね?ごめんね……ごめんね」


ラグニアに支配されても、基本的には何も変わらない。────ラグニアと敵対しない限りは。

この世界では普通だったとはいえ、別の次元では操られてエスエマを何度も殺したレイネ。

エスエマの能力“死に戻り”の性質上、真に殺したことにはならない。

それでも、エスエマの中にある真実として、記憶に刻まれている。


自分を殺した相手。普通なら恐怖するか、怒りに震えるところだが、エスエマはレイネを強く抱き締めた。


「戻って来てくれて良かった……本当に良かったよぉ〜」


糸が切れたように、エスエマの瞳から涙が溢れ出した。

ひとりで戦い続けてきた孤独から解放された。

その嬉しさと、今まで溜まり続けた寂しさが涙となって溢れ出したのだ。


2人は抱き合ったまま、気が済むまで泣き続けた。

これから失った時間を取り戻していくんだ。


……良かったな。家族を、これからも大切にしろよ。


その光景を見ていて、なんだか心が救われた気がした。

自分がやったことは無駄じゃない。そう、強く思えるからだ。



それからしばらく、俺たちはエルフ大陸を観光することにした。

あの状況で観光なんてできなかったからな。


豊かな自然や、エルフ伝統の料理、スイーツなどを堪能し、ゆっくり休息をとった。

俺たちは大陸中のエルフから英雄扱いされた。

宴会まで開かれ、沢山もてなされた。


「えぇ!?無宗くんはまだ結婚してないのかい?」


気づけば恋バナみたいなのが始まっていた。


「だったらエスエマちゃんはどう?可愛いでしょ?」


1人のエルフがそういうと、みんなが賛成しだした。

え……ちょっと……

やめろ!めっちゃ断りづらい雰囲気じゃんか。

なんかエスエマが照れながら俺を見つめている。


やばいやばい……


この場の雰囲気を断ち切ったのはルナだった。


「だ……ダメです!ご主人様は私のものです!」


静寂が流れた。

直後、自分が何を言ったのかに気づき、ルナは赤面した。頭から煙が昇っているように見える。


「だ……だったらわたしも……」


「きゃははっ……アルマも〜♡」


「わ……私も!」


結局4人が俺にくっついた。

その様子を見て、エルフたちは笑いだした。


「なんだよ無宗さん、モテモテじゃねぇか」

「こりゃぁ負けてられないね、エスエマちゃん!」


1人のエルフがエスエマの肩を叩いた。


エスエマは拳を強く握り、立ち上がった。


「よーし。うち、負けないからね!」


「よし、その意気だエスエマ!」

「応援してるぞ!」


数多くの応援の声が飛び交った。

それだけで、エスエマがどれだけ愛されているのか見て取れる。



こういうのも、悪くないな。……と、思う今日この頃だった。

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