第18話 おじいさまの願い。
「なあ、エーデリンデ?」
「なあに?おじいさま?」
おじいさまの背中に羽根枕をあてがって起こす。
1週間以上寝込んだが、起き上がれるくらいになった。良かった。食欲も戻った。
起こしたおじいさまの手を握る。
「他でもない…エリックの事なんだけどな。どう思っているんだ?」
「え?どう?働き者の良い方だと思っておりますわ。実際、今は領の仕事もまるきりして頂いておりますし。事務官で雇うにはもったいないくらいの方ですわよね?本契約になったら、お給料は弾まなければと思っておりますが?」
「・・・・・」
「何か、問題が?試験場の事務も、公社の会計も完璧ですの。従業員の皆様とも仲良くしてくれて、子供たちにもなつかれております。お屋敷でもそうですよね?
私は事務の仕事量が減ったので、他のことも出来るようになったでしょう?今までやろうと思って出来なかったこととか。そうすると、休め休めと言ってくるんですよ。うふふっ。中々ない人材ですわよね?」
「私はな…エリックとお前が結婚してくれたらいいと思っているんだが。」
「え?」
「あいつはな、人も動かせる。領地の経営が何たるかもよく理解している。傲慢にもならずに、何でもやってくれる。この前は、女中の仕事を手伝っていた。高いところは危ないから、と。そんな奴だ。私は、お前のことをあいつに任せたいんだ。」
「そ…そんなこと、勝手にこちらが申し上げていいことではないでしょう?こちらの都合で。私は、その、一度失敗しておりますし。それに、そんなことを私から求められるほどの器量もないですし…」
「いや、お前が望まないのであれば仕方がない。」
「・・・・・」
「エリックが、屋敷の新しい事務官に心当たりがあると言っていたから。あいつの目にかなった奴ならいいだろう。春には連れて来れそうだと言っていたから。」
「・・・・・」
おじいさまの部屋のカーテンを開ける。日差しがすいぶんと優しくなった。もうすぐ春になるんだなあ。




