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第16話 試用期間は3か月。あと2か月。

ぼちぼちと寮のみんなも戻ってきた。仕事が始まる。


一人で過ごしていたと思われていたのか、みんなからお土産を頂いた。

手作りのお菓子だったり、干し魚、干した芋、なんかよくわからない人形だったり、地元の酒だったり。ありがたく頂戴した。


エイクが久々に酒に呼んでくれたので、頂き物の食料を持ち込んだ。

気兼ねなく、たらふく飲む。


「で?どうだったんだ?家族に紹介されたんだろう?」

「ええ、まあ。」

「んふふ、決まりが?」

「どうだろうな。仕事は決まるかも知れないけど。」

「んあ?」

「僕はね、エーデリンデと恋人になりたいわけなんですよ?」

「なったらいいべ?」


エイクが赤い顔をして身を乗り出す。


「年末に屋敷に誘ったのは、僕が実家に帰らないからで。」

「そう、優しいがんな。」

「おじいさまと仲良くなっても、良かった、くらいだし。」

「うん。おめえは仕事できるって、言ってたがらな。」

「妹達と仲良くしても、面倒見がいいんですね、って。」

「ん、だべな。ここの子供たちもおめえに懐いてんもんな。」

「馬車の乗り降りに手を添えても、何とも思わないみたいだし。」

「ああ見えても貴族様だかんな。」

「毎日会っているのに、仕事の話しかしないし。」

「んだって、おめえ…仕事に来てんだべ?」

「まあ、そう。そうね。」


がははっ、と肩を抱かれて、僕のコップに酒がドバドバ注がれる。


「おめえ、ひょっとしたら、女口説いたことねえのが??」

「・・・・」

「え?おめえみてえにいい男が?その銀髪で?その菫みてえな目で?」

「口説かれて…断ったことなら、ある。」

「へ?」

「今までは、断るのが精いっぱいだったんだ。寄ってき過ぎて。だんだんめんどくさくなって、女性のいるところに近づかないようにしてた。」

「は?」

「それでも実家に見合い話が山のように来て、メンドクサイから、職場の寮にいた。」

「ほお。女は向こうから来るもんだって思ってだのがあ?おめえ、すげえな。なんだかちいとむかむかすんがな。でも、女知らねえわけでねえべ?」

「馬鹿にしてる?」

「ぐふふっ、喰い放題?」

「いやな言い方だね。付き合う人は選んでた。後腐れがなさそうな…」

「やれやれ。惚れたのは初めてか?いやあ、おめえみでえに何でもできる頭いい、顔もいい男がねえ」

「・・・・・」

「口説かねばダメだ。ひたすら口説け。好きだと言い続けんだぞ?そうでねくてもな、こういっちゃわりいが、あの人は鈍そうだ。仕事の事しか考えてねえな。」

「・・・・・」

「それがでぎねどな…場長とハンスの結婚式に呼ばれることになんぞ?いいのが?あの人の周りにいるちょーどいい男なんて、奴ぐれえだからな?そうでねえがったら、まーたあのうるさいおばちゃんが来て、てきとうにあでがってぐぞ?」

「・・・・・」

「まあ、飲め、飲め。」


口説く?


僕とエイクは飲み過ぎて、そのまま、エイクの家に泊まってしまった。朝起きたら妙に暖かかった。その熱源が…同じ毛布にくるまったエイクだと気が付いて愕然とした。とりあえず、休みの日でよかった。飲み過ぎだと、エイクの奥さんに叱られた。



そうか。口説くのか。



朝ごはんを勧められたが、さすがに二日酔いで食欲がなかった。

お礼を言って、エイクの家から寮までの道をぶらぶら歩いて帰る。


試験場の研究用の区切られた畑が何十個もひろがっている。麦は踏まれたのが立ち上がってきている。まだ丈は短い。

遠く、エーデリンデが歩いてくるのが見える。

今日は休みだが…あの子には休日という概念自体が欠落しているのかもしれない。


「まあ、エリックさん、お散歩ですか?おはようございます。」


「おはようございます、エーデリンデさん。好きです。」


「え?酔っていらっしゃいますか?うふふっ、お酒臭いですよ?」


そうだ。僕は酔っているんだ。自分でも酒臭いと思う。











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