王子のパーティー
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翌日、ジュリアが学園に行くと、エヴァが
「ジュリアー、掲示板、見た?」
と走ってきた。
「まだ見てないわ。何かあるの?」
「なんかね、来週の土曜日の夜、舞踏会だって。それでね、そこで第3王子からみんなに何かアナウンスがあるって。」
ジュリアが言った。
「来たわ、その日が。」
「その日って、まさか。」
「たぶんね。私が婚約破棄されて、なにか断罪されるんでしょう。」
「そんな、ジュリア、他人事みたいに。」
「大丈夫。私は私で準備してきたから。心配しないで。」
「そうなの?ほんとに大丈夫?」
「うん、大丈夫。」
しばらくして、ジュリアは廊下で第3王子とキャシーに会った。
第3王子に挨拶をすると、王子は
「来週末の舞踏会だが、私は君をエスコートしないから、君は誰かと来るが良い。」
と言った。
ジュリアは
「はい、かしこまりました。」
と答えたが、横で王子と腕を絡ませていたキャシーが王子に耳打ちをすると
「ああそうだ、当日は青いドレスは着て来ぬようにな。」
と王子が付け加えた。
ジュリアはまた
「かしこまりました。」と恭しく礼をした。
「ふっ、つまらない奴め。」
王子は不機嫌にそう言うと、キャシーを連れて立ち去った。
「いよいよね。」
ジュリアはひとりごちた。
いろいろ準備しているし、大丈夫だとは思っても、知らず知らずに震えてしまっていた。
「マクレガー君」
名を呼ばれたその声は、へイエス先生だ。
「へイエス先生、ごきげんよろしゅう。」
ジュリアが挨拶すると、へイエス先生は
「大丈夫か?今のを見てしまった。ずいぶんひどいことを言うな。今までもずっとこんな調子だったのか?辛かっただろう。」
「先生、ありがとうございます。でも、もう慣れましたから辛くありません。」
「そうか・・・なんだか気丈に振る舞う君を見ていると、こちらが辛いな。」
へイエス先生はそう言って困ったような顔で微笑んだ。
「ところでマクレガー君、例の解呪の件だが、いろいろ調べてみたのだが、もし依頼者が死んだり行方不明になった時のための解呪の方法が見つかったんだ。」
「まあ!そうですか。ありがとうございます!」
「たいしたことではない。ただ、かけた者がもし生きている場合、掛けた者に大きなダメージを受けることになる。まあ、人の心を操るようなことをした当然の報いなのだがな。」
「大きなダメージとは?」
「年を取る。それと魔力が無くなる。」
「そうですか・・・」
「当然だろう?」
「・・・そうですね。たしかに、人の人生をめちゃくちゃにするわけですもの。」
「では、解呪は必要になったら私が行おう。」
「先生には何もダメージなどありませんか?」
「私は大丈夫だよ。人を助けて罰があることはない。」
「確かに、そうですね。」
「ところでマクレガー君はご兄弟はいるのか?」
「いいえ、一人っ子です。」
「当日、誰か一緒に行ってくれる人はいるのか?」
「いいえ、ひとりで行きます。」
「そうか・・・その・・・もしよければ、私にエスコートさせてもらえるか?」
「え?先生が?」
「ああ」
「そんな、ご迷惑では?」
「迷惑なら言わないよ。」
「そうですか?では、お言葉に甘えます。嬉しいな。実はやっぱりひとりで行くのはちょっといやだなって思ってたんです。えへへ。」
ジュリアは本当に嬉しそうに笑った。
「そうか。それはよかった。それでは来週末の舞踏会は、楽しみにしているよ。」
「私、本当に楽しみです。先生ともっとおしゃべりできたら、私、魔道具のこと、もっといろいろお教えていただきたいし。将来のことを相談させていただいたりしたいし。」
「ああ、いろいろ話そうな。おっと、授業に遅れてはいけないな。急ごう。」
へイエス先生っていい人だなあ。
ジュリアはすこしドキドキした。
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