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ジェフ

お立ち寄りいただきありがとうございます。


 さて、魅了の解呪ね。魔女のお店に行ってみようかな。その前に、本で調べよう。魔女のお店に行ったことがキャシーに知れて面倒なことになるのは避けたいものね。


 「ジュリアー、ジェフに相談してみたらー?」

「ああ、そうね、それは名案。ありがとう!」

ジュリアは幼馴染のジェフに相談することにした。


 ジュリアは会いにいくという旨の短い手紙を書いて、メイド長のマーサに託した。マーサはジェフの母親である。

「お嬢様、最近遅くまでお勉強なさってるようですけど、お体が心配です。それに、うちのジェフと話してることがわかったら、ご婚約に触りませんか?」

「マーサ、心配してくれてありがとう。私ね、もう婚約はどうなってもいいの。いえ、婚約はないものとなってほしいの。だから大丈夫。心配しないで。」

「ええっ、そんなこと・・・」

「今ねえ、王子様はキャシーとアツアツなのよ。たぶん近いうちにこの婚約は破棄されるんじゃないかしら。ここだけの話だけどね。」

「そんな、お嬢様はそれでいいのですか?」

「いいの。別に元々好きってわけでもなかったし。でも、キャシーからいろいろ嫌がらせを受けているのはちょっと不愉快だわ。でもそれも、解決しそうだから大丈夫。」

「そうですか。お嬢様、おわかりだと思いますけど、私はお嬢様のためならなんでも致しますからね。いつでも、なんでも仰ってくださいませね。」

「ありがとう、マーサ。私にはマーサという強い味方がいてよかったわ。」


 母にジュリアからの手紙を渡されたジェフはそれを見て、返事を書いて母に託した。

「お前、大丈夫かい?お嬢様に手を出したりするんじゃないよ。」

「わかってるって。幼馴染はそれだけでいいんだよ。」

ジェフはまるで自分に言い聞かせるようにそう言って、すこし寂しそうだった。


 「どうしたんだ?何かあったか?」

ジュリアがジェフを訪ねて行ったら、ジェフが心配そうに訊いてくれた。

「ねえジェフ、ちょっと相談したいことがあるの。」

「なんだ?ジュリアは俺がジュリアのためならなんだってやるって知ってるだろ?遠慮するなよ。」

「ふふ、ありがとう。」

やっぱり持つべきものはジェフだな、とジュリアは思う。


 「話せば長いんだけどね、まず、私、王子様から逃げたいの。それでね」

「おい、おい、おい、ちょっと待て。それは穏やかじゃないな。王子とうまくいってないのか?」

「うまくいってるもなにも、最初から好きでもないし、最近は王子様はキャシーとベタベタだし。それでなくても、王家や貴族の嫁になったら側女とかって当たり前だし、貴族の社交をしなきゃいけないし、そういうの、私本当にいやなのよ。」

「そ、そうなのか・・・」

「それでね、きっと王子様は私との婚約を破棄すると思うの。なぜなら、キャシーが王子様に猛アタックしてて、それも叔父様がキャシーが王子様の婚約者になれば私を追い出して侯爵家を乗っ取れるからだと私は思ってるのよ。まあ、キャシーが婚約者の座を乗っ取ってくれるのは私にとっては大歓迎だけど、それで侯爵位も手にするのはちょっと違うんじゃないかなと思うの。だいたいそうするには私に落ち度があるとするでしょうから、私にとってはよくないことだからね。」


 「ちょっと待て。あたまがついてかない。」

「今はね、叔父様はうちの財産は私名義だから手が出せないけど、収入は全部握ってるの。叔父様と奥方とキャシーは贅沢三昧、私は家ではお仕着せで、外出時はこうやって制服だし、食事も賄いで、家では掃除や洗濯をしているのよ。」

「なっ・・・ジュリア、辛いだろう、くそー、こんなことだと知っていればもっとジュリアに会っていろいろ聞いておくんだった。」

「そうでもないのよ。マーサたちがとっても良くしてくれるし、学校は王子様たち以外は楽しいしね。まあ、私がそんな感じでいじめてもいじめても不幸そうじゃないから叔父様たちは面白くなさそうだけどね。あっははは。」

「汚えなあ。ジュリアの叔父上を悪く言うのはなんだけど、腹立つなあ。」

「ありがとう。やっぱりジェフはいい人だわ。」

「そ、そうか。」


 「それでね、お願いがあるんだけど、無理にとは言わないからね。」

「おう、なんだ?」

「あのね、街に魔女のお店があるでしょ。いろんな面白いもの売ってるじゃない。そこでこっそり訊くとね、魅了の魔道具っていうのを売ってるみたいなの。それでね、キャシーがそれを手に入れて、それを使って王子様たちに魅了をかけて籠絡したようなの。証拠品が出てきたから間違いないわ。」

「なんとまあ、汚えことしやがるなあ。」

「それでね、そのお店に行って、魅了の魔道具を解除する方法を教えてくれないかって訊いてもらえないかしら。買った人が魅了を発動できるようになってるらしくって、だからキャシーだとわかれば教えてくれるかもしれない。でも、教えてくれないかも知れないけど。一応、『お礼』、袖の下として使って。」

「こ、こんなにか?」

「私と家を守るためなら安いものじゃない?」

「あ、ああ」

「本当は私が行きたいところなんだけど、私が行ったのがバレるとなにか違うことしてくるかも知れないと思うと行きづらくってね。それでほんとうに申し訳ないけど、ジェフに頼んでみたの。断ってくれてもいいのよ。解呪の方法がわからなくても、買った人がわかるだけでもいいの。どちらかがわかれば十分なの。」

「おう。」


 「ジェフ・・・ずっと知らん顔してて、こんなときだけ頼ってごめんなさいね。」

「水くせーこというなよ。」

「ありがとう。じゃ、またね。」

「ああ、じゃあな。辛いことがあったらすぐ言えよ。助けてやっからな。」

ジュリアは花のような笑顔を残して立ち去った。

(そうか、ジュリアは王子の嫁には行かないのか・・・)


お読みいただきありがとうございます。

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