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九話

 翌朝、俺は目を覚ますと奴隷たちを置いて冒険者ギルドへと向かう。

 ギルドに入ると俺が受付に向かう前に一人のギルド嬢に名前を呼ばれる。


 

「あ、リッチモンド様。少しよろしいでしょうか?」



 俺は声のした方へ足を運びながら、あることに気がついた。

 俺を呼んだギルド嬢は以前俺が二人の冒険者に絡まれていたときに助けてくれようとし、そのまま失禁してしまったあの少女だった。



「昨日はありがとうございました。あの場はギルド職員である自分が争いを仲裁しようと思ったのですが・・・。その、お見苦しいところをお見せしてしまいました」



「言いたいことはそれだけか」



 実際あのときのことは別に気にしていない。男たちを排除したのはそれが一番手っ取り早かったからだ。俺にとっては道端の小石を足で蹴飛ばすようなものだった。

 少女の失禁についても今更どうこう言うつもりは無い。彼女も人間だ。糞尿を排泄するのは自然の理に沿ったものである。俺はリッチーであるため食事・睡眠・トイレは必要ない。だからと言って他人の排泄行為を野蛮というつもりは無い。



「・・・あ、いえ。今回お呼びさせて頂いたのは御礼を言わせていただきたいと言うこともあったのですが、実はもうひとつ、お知らせがあります」



 おそらく、自分が失禁をしたときのことを思い出したのだろう。顔を赤らめながらギルド嬢の少女が話を続ける。



「リッチモンド様の冒険者ランク昇格が決定いたしました!」



「そうか」



「あ、あまりお喜びにならないのですね」



「そんなことはない。嬉しいさ」



 別にそれほど喜びを感じるわけではないのだが、一応そう言っておく。

 だが、Sランクというものにはなってみたいものだな。俺に相応しい称号だろう。



「で、俺の今のランクは何だ?」



「はい、薬草及び鉱石採取の依頼での功績を認め、EランクからCランクへのランクアップとなります。これは強力なスキルをお持ちのリッチモンド様の戦闘能力も考慮し、Cランクまでのモンスターなら討伐することが出来ると判断させて頂いたからです」



 強力なスキル、か。確かに周りの人間に比べれば強いスキルを所持しているように見せたのだが、実際あのスキル、そしてスキルLvではどうなのだろうか。冒険者たちの頂点に君臨するSランク冒険者たち、彼らはどれほどの強さのスキルを持っているのだろうか。

 

 まあ、そんなことは後々考えていけばいい。

 今はもっと重要なことがある。Cランクになったということは森に現れた例の大型モンスターの討伐依頼を受けることができるのだ。



「件の、森に出現したというアンデットモンスターの討伐依頼を受けたいのだが」



「分かりました。こちらはパーティを組んでの参加となりますがよろしいですか?」



 なん、だと。


 パーティ限定の討伐依頼。

 これは俺が最も恐れていたことだ。まさかこんなに早くこの壁に突き当たるとは。



「俺一人だけで受けることは出来ないのか?」



「申し訳ありませんが、Sランク以外のランクの方々は基本的にパーティ推奨の依頼はパーティで受けていただきます」



「そうか・・・」



 残念だ。非常に残念だ。俺はパーティを組んでいない。

 片っ端から声をかけていけばそのうち一緒にパーティを組んでもいいという者が現れるかもしれないが、そんなことをするつもりはない。だいたい俺にとって人間など共に戦っても足手まといにしかならないのだ。そんな奴らと一緒にやっていけるはずがない。



「でしたら、この依頼を受けている他のパーティに一時的に入れてもらうのはどうでしょうか」



 なるほど、臨時パーティか。臨時パーティならばその場だけの付き合いで済むため、パーティが必要ないときは気兼ねなく一人での狩りを楽しむことが出来る。



「そうさせてもらおう。どこのパーティだ?」



「はい、えっと現在この依頼を受注されているのは、《森の民》と・・・《ドラゴンズ・アイ》の二パーティになります」



 ふふふ、《ドラゴンズ・アイ》か。この前俺に絡んできた奴らのいるところだな。まさかこんなところで再び相見えることになるとはな。面白くなってきた。



「では《ドラゴンズ・アイ》の方に俺の一時的なパーティ加入をお願いしよう。このことを彼らに伝えておいてくれ。もし断られた場合は《森の民》の面々へも伝えてくれ」



「・・・え、あ、はい!わ、分かりました」



「では」



 そう言って俺はギルドを後にする。






 






 





 

 

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