リリスの意地
偽リリスが高速移動の体勢に入る。
「シールド!」
円状に全員を囲んだシールドを張ったと同時にガン!という音が響く。
「くっ…防いだけど!」
こんな攻撃、正直何度も耐えられない。
ましてや10分なんて…。
「…」
表情を読んだのか天井に張り付いた偽リリスがにやりと笑う。
そして2回目、3回目が間髪入れず来た。
ガン!ガン!と音が鳴り少しひびが入っている。
「修復を…!」
魔力を籠めてひびを治していくが、そうこうしているうちに4回目、5回目と連続で攻撃が来て別の箇所にもひびが入る。
「魔王様!自分が攻撃を!」
ミドリが飛び出しそうな勢いで蔓を取り出した。
「ダメ!内側から攻撃するとその部分が脆くなる!」
「くっ…!」
ガンッ!と6回目が来てその場所にもひびが入る。
「…」
偽リリスはじれったそうに眉を顰めて急に構えを解いた。
そしてさっきよりさらに低い体勢でこちらに狙いを定め始める。
「!!ぬしよ!来るぞ!」
「えっ?」
リリスが何かを感じ取ったようだ。
ガンッ!と音が鳴ってシールドが傷つくが威力が変わったような気はしない。
「何を…?」
すぐさま2撃目、3撃目と攻撃が来る。
気が付くとガッガッガッガッ!!と部屋中の壁や天井が崩れていくのが見える。
そして攻撃の感覚がどんどん短くなってきている気がする。
目で偽リリスを追おうとするが全く追いつかない。
「これは…!」
部屋中を攻撃するような高速移動だ。
シールドもピシピシと亀裂が大きくなってくる。
「修復が間に合わない!ダメ、もう…!」
壊れかけのシールドを目の前に限界を感じる。
「私が変わります!」
「いや待て!そのままじゃ!」
ハルが続けてシールドを張ろうとしたがリリスがそれを止める。
「なぜ!?もうこのままじゃ…!」
その瞬間、パリン!と割れるような音がする。
「あ…!」
突破された!シールド内のどこからやってくる?
そう思い辺りを見渡すが何も変わっていないように見える。
それどころか急に音が止んだ。
「いったいこれは…」
「本物のリリスがいません!」
リッチーが叫んでリリスがいた場所に目をやると確かにいない。
「リリス!?どこに…!?」
その瞬間、後方の壁でドカァン!と音が鳴る。
「こっちじゃ!問題ない!」
音の出た方向を見ると偽リリスとリリスが取っ組み合いをしていた。
「余の技じゃ!目が慣れれば対処できる!」
「リリス戻って!シールドを!」
「問題ないと言っておろうが!緑の、竜のやつ、鳥の!あとそれと…骨の!余が隙を作る!準備だけしておけ!」
そうしてあちこちで暴れるような衝撃音が鳴っていく。
「魔王様、準備が整うまでシールドを。自分たちは最大攻撃の準備をします」
ミドリがそう言って全員が魔力を籠め始める。
「…くっ!」
シールドを張りなおす。
リリス任せという状況がとても歯がゆい。
「奴なら問題ない!絶対に隙を作る。我が一撃で葬り去ってやろう」
「そうです。正面からの肉弾戦であればだれにも負けません」
ズメイとハルが励ましてくれる。
「そう…だね」
信じよう、たとえ相手が偽リリスだとしても。
そうしてあちこちで壁や天井が壊れ始める。
ズン!と地震のような音を立てながらその時を待つ。
「ぐ…がはっ…!そろそろじゃ!」
しがみつきながら戦っているせいかかなりしんどそうにしゃべる。
そうして待っているとひときわドォン!!とひときわ大きな音が15メートルほど先で響く。
「今じゃ!」
血だらけのリリスが偽リリスの頭をしっかりと抑えながら地面へ固定するのが見えた。
それと同時に4人が全員で攻撃を開始する。
「サンダーランス!」
「ウィンドショック!」
「ウィップクラッシュ!」
「爆裂拳!」
4人の攻撃が偽リリスへと迫っていく。
「っ…!!」
ドガァァン!!と今までで一番の衝撃が襲う。
「うく…!リリス!!」
あの位置からでは巻き添えだ!
隙を作るとは言ってたけど自分が逃げる時間はどうだっただろうか?
ちゃんと逃げられたよね…?
「ぐ…問題ない。勝ったぞ…」
無事だった!
後方に飛んで何とか逃れたんだろう。
ただもう動くのは難しそうだ。
手前の偽リリスは再び影となっていき、徐々に形が崩れていっている。
「これは…やったの…?」
「おそらく。手ごたえはありました」
リッチーが答える。
後ろを見ると葵さんはまだワールドシステムへと向き合っている。
「まずは…!」
影を迂回し、リリスに回復魔法をかけようとすると、
「いや待て!これは…!」
ズメイが叫ぶとその影は天井や壁へと急激に伸びて部屋自体の崩壊へと導きにいった。




