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魔王様は足止めたい  作者: たっつん
カルル・ヴェイル
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作戦と退却

「ウガァゥ!!」

狼は幻惑を相手に空振りを続けている。

目を潰すためにスモークも焚いているので現在地もわからないだろう。

うん、やっぱりあの知能ならこれで十分効果的だったね。


「かなりの数じゃのう!魔力は大丈夫なのか?」

「まぁただの幻惑魔法だしね。魔力も私だけじゃなくてみんなで魔法を使ってるから大丈夫。まぁミドリさんは大変だろうけど…」

「うん?」

「幻惑に匂いと音を付けて誘導している。この手のものは引っ掛けやすくて助かる」

「考えたのう」

ちなみにスモークもミドリさんのものだ。

人や魔族じゃなくて獣だからね。

いくらクオリティの低い幻惑魔法でも見破られにくいはず。


「…」

葵を見るとまだ作業を行っている、もう少しかかりそうだ。

「なるほどのう。ではこれで待っておれば…」

「はい?さっき言ったでしょ。葵さんが終わるまでに1体倒すよ」

「本気で言っておったか…。嫌な予感がするのう」

少しジャンプをして準備運動をする。

「よし!アーサーちゃん、準備はいい?」

その言葉を聞いてアーサーは両手を前にして魔力を籠める。

「いつでも大丈夫です!」

「リリス、私と一緒に特攻だよ!」

「またか!?荒い使い方をしおって!」

「右側の1体だけだから!行くよ!」

そうして二人で走り始める。


「ガゥッ!!グルルル…」

幻想を相手に空振りをし続ける狼たち。

鼻が利かず、話し声が聞こえる方へ行っても何もない。

イライラだけが募っていく。

「おい、こっちじゃ!」

1体がリリスの声に気づき振り向く。

こいつは本物だ!

そう思い、モザイクの牙をむき出しにして今出せる最高のスピードで走り出す。

そしてついにがぶりと噛みつくが、

「バカが、影の囮に決まっとるじゃろう!」

狼の背中に思いっきり拳が叩きつけられる。

「ぎゃう!」

「バインド!グラビトン!マジックスレッド!」

私は持ちうる拘束魔法を狼に叩きつけた。


「!?」

異変に気付いたもう一体の狼。

こちらに向かってくるのが見えた。

「な!?待って、速い!」

「グルルルル!ガゥ!ガオゥ!!」

ぐちゃぐちゃと音を立ててリリスと私に噛みつく。

その様子は跡形も残してやらないといった光景だ。

勝った!

狼がそう思ったのもつかの間、

「きゃうん…」

噛みついた相手は狼。

もう一体の仲間である狼だった。

アーサーがエルクルやリリスに誤認させるようピンポイントに幻惑魔法をかけたのだ。

気づいたときにはもう遅い。

噛みつかれたものは存在が消える。

確かに葵さんはそう言った。

「くぅん…」

噛みつかれた狼はモザイクがどんどん移っていき、ポリゴン状となって消えていった。


「犬っころ、お前もじゃ!」

噛みついた方の狼の背中にも思いっきり拳を叩きつける。

「ギャウン!!」

「バインド!グラビトン!マジックスレッド!」

さっきと同じ拘束魔法を狼にかけた。


「葵さん!転移陣は!?」

「ち、ちょうどできた!」

よし、ジャスト2分!

「撤収!逃げるよー!!」

そうして全員で部屋から逃げていった。

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