排除モンスターと時間稼ぎ
辺りが真っ赤に染まり、警告音が流れ続ける。
「一体何をした!?」
ミドリが問い詰めるが涙目で首を振る。
「な、何もしてない…!こんなこと…今まではなかった!」
【排除用モンスター2体を設置します】
「なんかやばそうだよ!?モンスターって…どこから!?」
自然と5人が一か所に集まる。
するとすぐ目の前にて強い光がカッ!とあたりを埋め尽くす。
「う…この光…!」
知っている。
この光に何度も苦しめられてきた。
「立体魔法陣…発動するとああなる…。システム…作り出した…」
「そんな魔法陣…聞いたことありません」
アーサーが知らないならワールドシステムのとんでも技術なんだろう。
っていうかこの光魔方陣の光だったんだ。
なんてもの作り出してるんだ…。
ゆっくりと光が収まってくると2つの影が見え始める。
「グルルルル…」
狼が2体、こちらに敵意を向けてにらんでくる。
いやそれより…
「口の中どうなってるの!?」
そう、牙がモザイクがかかったかのようになっている。
「バグに特化…。多分…噛まれたら…バグとして処理。存在…消える」
「消え…!?」
ここに来てなんてものを出すんだ。
「意味ないかもだけど罠を…」
魔力を籠めて糸を生成しようとする。
しかしそれを瞬時に察知したのか2体同時にこちらに向かってくる。
「グオァァ!!」
思っていたよりもかなりスピードが速い。
「やば、間に合わな…」
飛び出してくる反応に全員が遅れる。
完全に無防備だ。
「うあぁぁ!!」
そんな中動いたのはリリス。
向かってくる2体の狼の顎と胴体を蹴り上げ、壁と天井に激突させる。
「ギャウン!!」
「ぎ…ギリギリじゃ!」
「た、助かった!ありがとうリリス!」
「いなしただけじゃ!次の手を考えよ!」
本当に危なかったらしくかなり冷や汗をかいている。
「逃げましょう!」
ミドリがそう言ってアーサーを抱えようとしたが、
「ま、待って!すぐ追いつかれる…!に、2分!地上に転移陣…作る!」
葵はそう言うとキーボードを叩いてワールドシステムの赤くなっていない画面を確認する。
あぁ、確かにあのスピードじゃ逃げられない。
「2分…」
狼の方を見ると何事もなかったかのように起き上がり、身震いをしている。
すぐにでも襲い掛かってくるだろう。
落ち着け、大丈夫、みんな万全な状態だ、しっかり観察しろ。
…よし!
「みんな、私に考えがある。片方倒すよ!」
「魔王様…はい!」
「なにぃ!?」
「それでこそです」
一人反発が出たけど多数決なので無視だ。
そりあえず作戦のためにも…!
「リリス、時間が欲しい!10…20秒耐えて!」
「正気か!?無茶言うでない!」
「影使えばいけるって!ほら来るよ!」
狼はさっきと同じスピードで向かってきた。
「失敗したら呪ってやるから覚悟するんじゃぞ!」
そう言いながら前に出て噛みつかれないよう器用に戦い始める。
「おー!これならしばらく大丈夫そう」
観察してる感じ結構余裕そうに見える。
体術の戦闘技術はほんとピカ一だね。
「魔王様、それで…」
ミドリとアーサーがこちらに来て問いかける。
「おっといけない。ミドリさん、少しお願いが…」
そうして作戦を早口で伝える。
「グアァァ!!」
「うっ!ぐっ!危ないのう!バカめ、そっちは影じゃ!」
体感20秒なんてとっくに過ぎ去っているような攻防を続ける。
思いっきり戦えば優位に立つこともできるが二対一で一撃もくらってはいけないとなるとつい安全的な戦い方になってしまう。
「ま、まだか!?くそっ!この犬っころ!」
そうしてどうにか凌いでいると声が聞こえる。
「リリス!もういいよ!ありがとう。戻ってきて!」
「なに!?しかし余が戻ると犬っころが追って…!…いや、なるほどのう!」
そう言って声がした方へとどんどん下がっていく。
2匹の狼もそれに続いて追いかける…が途中で立ち止まった。
辺りを見渡すと幻惑だらけ。
ジジ…ジジ…と私、アーサー、ミドリ、リリス、葵の姿がホログラムのようにあちこちに配置されている。
「2分どころか何時間だって付き合ってあげるよ!」




