カルル・ヴェイルと新藤葵
「ファイアボール」
多めの水に米を入れ、ぐつぐつと沸騰させていく。
あの後ミドリが開放された女の子に恐る恐る近づき、研究室まで持ってきた。
今は横に寝かせている。
とりあえず何も起こらなくてよかった。
ミドリとアーサーは研究室の中を漁り、何かわかることはないか調べている。
リリスはやることがないのでまた寝ている。
図太すぎるでしょう…。
それにしても…この子は一体何を知っているのだろうか?
これまでの不可解な事件について一気に解決できる方法とか知っていればいいんだけど…そうそううまくはいかないんだろうな。
「ん…?」
そんなことを思っているとピクリと反応があり、目をゆっくりと開けるのが見えた。
「あ、起きた?私達…」
「ひ、ひぃ!誰!?誰!?」
ものすごい勢いで研究室の隅の方に縮こまる。
「んが…。なんじゃ?起きたのか?」
リリスも起きたようだ。
「あぁ、驚かせてごめん。私達、不死鳥さんからこの場所を聞き出して来たの。あなた、魔法石に閉じ込められてたんだよ?」
「不死鳥…?あ…わ、私…そうだった…。た、助けてくれて…ありがとう」
そう言って少し頭を下げた。
「私…進ど…カルル…ヴェイル…です」
「私はエルクル。こっちからアーサーちゃん、ミドリさん、リリス」
そう言って一人ずつ紹介していく。
「そうだ、アーサーちゃんはあったことあるんだっけ?」
そう言うとアーサーが前に出て挨拶をする。
「お久しぶりです。封印魔術について教えていただいたときは助かりました。ありがとうございます」
「き、急に連れられて…びっくりした。役に立てたのなら…へへ…」
おや、そんな雑に連れてきてたのか。
助かったけど結構申し訳ないことをしたんだね。
「まぁこれでも食べて。お腹空いたんでしょ?」
そう言って作っていたおかゆを差し出した。
「い、いいの?」
「もちろん」
恐る恐る椀とスプーンを取り、食べ始める。
「えー、それでカルル様はなぜ魔法石の中に?」
食べているところ、アーサーがおずおずと聞く。
「『様』!?…う、うへへ…ひひ…」
にっこりというよりニヤニヤとした笑い方だ。
いやあの、その顔やばいよ?大丈夫なのか…?
「あの…嫌でしたら…」
「い、嫌じゃない!ま、魔法石のは…事故…。試作品作ったら…ミスで閉じ込められた」
「な!?あれを作ったというのか!?どうやって!」
ミドリが問い詰める。
「つ、作ったというか…システムを…その…」
「なんじゃはっきりせんのう。こっちを見んか!」
「ひぃ!わたし、あなた、無理、苦手、離れて、殺される」
「なにもせんわ!」
どうやらリリスは無理なようだ。
まぁリリスはガツガツ来るし今までのやり取りを見ても確かに苦手そうな感じだ。
「リリスのことは放っておいていいよ。作った方法はいいとして、それを溶かす素材もあったみたいだけど」
「じ、実験が終わったら…証拠…消す予定だった。だから…素材だけ…」
「なるほど、ちなみに実験って…」
そう続けようとしたがアーサーが止めにかかる。
「魔王様、ひとまずそれはいいのでは?あのワールドシステムと資料についてを…」
「あー、そうだね。ごめん、いくつか質問したいんだけど…」
と思ったがカルルはこちらを見て少しだけ目を見開いている。
「…魔王?こ、こっちのリリスって…名前の人ではなく?」
「?そうだよ。私、これでも魔王やってるの。でも安心して、人とも魔族とも平和を信念にやってるから」
「え…でも…」
「あぁ、それと質問の前にもう一つ確認したいことがあったんだった。ここの資料に書かれている進藤葵ってあなたのことであってる?」
「っ!」
「?」
「…」
あれ?なんか黙り込んでしまった。
何かミスをしてしまったんだろうか…。
あ、いやそうか、私がこの資料を読めるからびっくりしてるのか。
「あの…」
「え、エルクル…さん?あなた…排除されるべく…システムの…バグ…だ」
…え?




