ファウストからの手紙
会議の前に手紙を読んでほしいとリッチーに言われ、私とすでに中身を読んだアーサーの二人で確認していく。
『ご無沙汰しているよ、魔王君。この手紙を出すの大変だったよ。その苦労はとんでもなくここで書くには紙が足りないほどなんだけど仕方ない、せっかくなので…』
「あ、魔王様、最初の10枚は読み飛ばしてくれて大丈夫です。ただの自慢話なので」
「え?あ、はい」
びっしりと書かれた10枚の手紙をすっ飛ばし、11枚目を開ける。
というかこれ全部読んだのかアーサーちゃん…。
『さて、本題に入ろう。城の地下にある石のオブジェの解析についてだが、かなり困難な状況だ。なぜここにあるか、何に使うのかが全くわからない。まぁ何をしても反応がないので当然ではあるが。
しかしわかったこともある。たまにこのオブジェから微弱な魔力を受信、発信していることだ。偶然飛んで行ったのかと思ったが定期的にやり取りをしているような痕跡がある。
僕はそれがどこから来ているかを調べた。かなり大変ではあったがある一つの場所にたどり着いた。
そこでお願いなんだけどこの場所へ行って何があるか調査してくれないか?絶対に何かがあるはずなんだ。
範囲は広いがそこら一帯の地図を同封しておく。
僕はめんど…解析で忙しいので行くことはできない。すまないがよろしく頼む。
また何かわかったら連絡する。ファウスト』
「どう思いますか?」
手紙を読み終えた私に対してアーサーが問いかける。
「どうと言われても…まぁ行くしかないよね」
とりあえずイラっとする内容の手紙ではあったよ。
「いえ、では同封されてあった地図を見ていただけますか?」
「地図?」
封筒の中を見るともう1枚紙が挟まっていたため取り出して開く。
「これは…」
会議にて
私、アーサー、四天王が集まっている。
「まずは不死鳥についての報告からかな?最初に戻ってきたときにザっとしたと思うけどおさらいだね」
「はい、では3人で発つ時から」
アーサーが前に出て報告を始める。
正直私より説明がかなりうまいのでとても助かる。
…立つ瀬はないけど。
「そうして帰還しました。…以上です。何か質問などはありますか?」
10分ほどで説明が終わり、質問タイムに入る。
「いいか?」
ズメイがそろそろと手をあげている。
「はい、ズメイ様。なんでしょう?」
「…気になることがあってな」
珍しい。基本戦いしか興味ないと思ってたけど何か気づいたことでもあるのかな。
「…」
沈黙が流れる。
重大なことだろうか、聞き漏らさないようにしよう。
満を持してゆっくりと口を開くと、
「不死鳥はどれほど強かった!?我でも勝てぬほどか!?」
ドターっ!と周りから音がする。
思いっきりずっこけたよ!
こんな表現昭和とか平成初期でしかやらないよ!
「はぁ…ズメイ、私が戦った感じだと強いというより炎と飛行で近づけなくして凶器を振り回すような戦い方だったので思っている強さとは違うと思うぞ」
ありがたいことにハルが簡単に説明してくれた。
っていうかそれだけ聞くとかなりクソゲーみたいな感じだね。
飛べない私としてはハルさんを連れて行って正解だったよ。
「ぬぅ、そうか」
満足したのかズメイは一歩下がる。
「えー、それでは他に質問は?」
「はい」
リッチーが手をあげる。
「リリスについてはどうするおつもりで?魔王様の頼みということでここに置いてはいますが、許されないことをしたことは事実です」
あー…なじんでたけど意外と反発大きいのかな。
じゃあもうここでバシッと宣言しておこう。
「リリスは仲間としてここに置く。一度は対立したけど前の旅で何度も助けてもらったのも事実だから」
「しかし…」
「また何かしたら私の責任にしていい。この城を乗っ取られたのは私たちが不甲斐なかったからだし真正面からの正当な乗っ取りだからね。不問にする。逆にリリスに手を出したら許さないと周知しておいて」
「…かしこまりました」
ふぅ…あんまり真面目に言うの慣れてないから大変だね。
その時バン!と扉が開く。
「あれ?ロンギさん。今会議中なんだけど…」
「魔王氏!リリス氏が城の者たちに決闘を申し込んで庭をめちゃくちゃに!」
…
「あの…魔王様これは…?」
「…すぐ行くよ」
あぁ、怒りを抑えなきゃ。
私の言葉全部台無しだよ!
おまけ
私「そういえばなんで手紙を隠してたの?」
リッチー「アーサーがすでに読んでおりますし皆で相談した結果です。腕が治る前に飛び出て行ってしまうと困りますので」
信用ないな私…。




