どうか見つけて
「うあああぁぁぁぁぁ!!!」
攻撃しているのは私なのにその全容が全く見えない。
目の前が真っ白で吹き飛ばされそうだ。
みんなが支えてなければ1秒も持たなかっただろう。
「――――!!」
あの化け物の声だ。
あのレーザーのような攻撃を撃っているのだろうか?
無駄だよ。
それさえも私達の魔功砲が取り込んでくれるから。
だから、最後まで撃ちきる!
全力で!
「ああああぁぁぁぁ!!!」
ズイッ!とさらに魔功砲が大きくなる。
「―――…」
『続行…不可…抹消システム…停止…』
「!!」
そしてとんでもない大きさの攻撃に気が付けば私たちは吹き飛ばされていた。
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ああ…空が見える。
とても青い空だ。
遮るものは何もない。
遥か地下から地上へとつながる空。
「魔王様!」
アーサーが駆け寄ってくる音が聞こえた。
「あぁ…アーサーちゃん…よかった。みんなは…無事…?」
「無事です!敵も倒しました。私たちの勝利です」
ふと透明なしずくがぽたぽたと落ちてくるのを感じた。
「どうして…泣いてるの?」
「だって…魔王様…もう消えそうで…」
あぁ、そうか。
「こうなるのはわかっていたのに…どうして…!」
「アーサーちゃん、まだ…」
「おい魔王。俺たちの魔力、すっからかんだ。どう責任取ってくれる?死んで逃げるなんて許さんぞ」
ユウシエッドが近くに寄ってきた。
「逃げるなんて…」
「魔王様…」「魔王」「魔王さん」「エルクルちゃん」「魔王殿…」
ふとあちこちから声が聞こえる。
みんないるのか、空がまぶしくて見えなかった。
「…ふふっ。まだみんな…勘違いしてるの?」
「かん…ちがい?」
大丈夫、これで最後、もう一仕事だ。
「アーサーちゃん、手を…」
「え?あ…はい」
アーサーが私の手を握る。
「ふっ!」
私は今持っているありったけの生命エネルギーをアーサーにつぎ込んだ。
「何を…!?」
ぶわっと淡い光を発し、手を通じてアーサーへと移行していく。
ゆっくりと私の体がボロボロと崩れていく。
僅差ではあるがこれで私自身が消される前に私はちゃんと死ねる。
間に合ったのだ。
「私は…システムにやられない…。『魔境の中』で『魔族として』死ぬんだよ…。だから…」
「魔境…魔族…あっ!」
そう、魔境の中であれば魔族は復活が可能だ。
「私に…魔王様の復活を…?」
「いや待て、魔王は復活が難しいと…。このまま死んでも何百年後になるのではないか?」
ユウシエッドが言う。
「わかってる…。だから…生命エネルギーを…分けたんだよ」
「…そうか!」
これは賭けだ。
魔王の復活が難しい理由は膨大なエネルギーが必要なこと、それとその魂の居場所が迷子になるからだと言われている。
基本的には何百年、何千年とかけて自然に復活させるしか方法がないのだ。
しかし私自身の生命エネルギーがこの世に残っていれば大幅に短縮できるのではないか。
私は復活できる方に賭けた。
まぁとはいえおそらくできたとしても年単位の膨大な時間がかかると踏んでるけど。
「あ…あの…」
ふと葵がおろおろしているのが見えた。
「葵さん、ここまで来てくれて…ありがとう。悪いけど…もう少しだけ…付き合ってくれる?」
「え…う、うん…」
少し戸惑っているがこくりと頷いてくれた。
そう、葵がいなければここまで来れなかった。
葵の専門知識があれば意外とすぐに復活できるのではないか。
そんな気がした。
「魔王様、もう…」
体が崩れるのが全身に回ろうとしているのだろう。
「うん…」
私がやるべきことは全て終わった。
私は道しるべを付けた。
それを辿ってちゃんとゴールまでたどり着いてくれるはず。
みんなならできると信じている。
「お願い…私の半分を…どうか見つけて…」
「見つけます…必ず!」
アーサーやみんなは力強くうなずく。
「そう…」
にっこりと笑い、私の意識は完全に途切れた。




