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魔王様は足止めたい  作者: たっつん
マザーシステム
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118/118

魔王エルクル

体がふわふわする。

何だろう?私、早く起きなければならない理由があった気がする。

確か元OLで甘いものの食べ過ぎで死んで…いや、そのあとにまだ何か…。


『魔王システム、認証開始』


声も聞こえだした。

魔王?とても馴染みがあるような。

そんなゲームでもやってたかな?


『再構築中…一部欠損。生命エネルギーを入れてください』


生命エネルギー?それならあの子に頼んだはず…あの子って?

…そうか、そうだった、だんだん思い出してきた。


『生命エネルギーを確認。再構築が完了しました』


そうだ、私は魔王だった。

そしていろんなことを経験した。

ちょっと物騒な世界だったけど、とても楽しい日々。

だから早く帰らなきゃならない。


『リザレクションの使用が可能になりました。本人の認証が必要となります』


この声、みんなが頑張ってくれている声だったんだ!

あの世界へ戻ろう!

みんなが待ってる!


『起動しますか?』

目の前に文字が見える。

にやりと笑い、私は答える。

「答えはもちろん、『はい』だよ!」


『魔王システム:エルクル。起動します』


----------------------------


ゆっくりと目を開ける。

「う…く…?」

まぶしくて目の前がぼやぼやする。

「お、起き…た…?」

「誰…いや、この声、葵さん?」

「う、うん…あの…」

「賭けに…勝ったの?」

いや違う、葵さんは不老だったはず。確認しなければ!

「葵さん!あれから何年たった?」

「お、落ち…落ち着いて…」

「これが落ち着いてられる!?1年!?10年!?100年後とかだったら私…。あんな終わり方で…!ああするしかなかったにせよシステムに…!!」


「魔王様」


ふと反対方向から知っている声がする。

「アーサーちゃん!!私、あなた…に…。え…?」

声のする方を見るとみんなが集まっている。

みんなというのはみんなだ。

アーサーから四天王、リリス、海王、シレーヌ、勇者パーティから王様、その他大勢以下略…。

戦ってくれたみんなだ。

「み、みんな…どうして…?」

「いや、まぁ…なぁ!」

というか私が死ぬ前と一切何も変わっていない気がする。

傷の位置さえ一致している。

場所もよく見たらマザーシステムの前で、魔功砲を撃った跡がそのまま残っている。

これは…。

「あ…あの…つかぬことをお聞きしますが…あれからどれくらい経った…?」

みんなは少し顔をそらした。

そしてミドリが少し気まずそうにこちらに向かって口を開く。

「えーっと…言いにくいんですが…いや、リッチー。これは君の役割だ」

「わたくしですか!?わたくしは…いえ、そうですね、とても長い時間でした。わたくしはこれからどうなるものかと。それで時間にしてしめて…」

ゴクリと喉を鳴らす。


「10分くらいですかね?」


……10…分…?


「…10分って…あの10分?10年とかではなく?」

「はい、正確には9分と少しかと…」

ふぅ…。

私は大きく息を吸った。


「うわあぁぁぁぁ!!!忘れろぉぉぉ!!!」


やばいやばい!!いろいろ恥ずかしいことを最後に言った気がする!

黒歴史でしかない!

っていうか10分って!!

カップラーメン4個も作れないよ!

その前のお湯沸かした時点で終わりだよ!!

「魔王様落ち着いて!お体に障ります!」

四天王のみんなが私をなだめ始める。

「うるさい!こっち来ないで!!」

障りますっていうか触らないでほしい!


「いやぬしよ、余は感動したぞ」

「『私の半分を見つけて』のくだりは俺も感動したよ」

「何を恥ずかしがってんだ。生き返ったんだ!いいじゃねぇか!なあ親父!」

「うむ、これで余の王国としっかりとした同盟が組めるというものだ」

「魔王さん!よかったですぅぅ!!」

「泣くなニチレン」

「ふん、魔王なら当然だな」

「何言ってんねんあんた!手震えてたん知ってんで!」

「なに!?震えてなど!」

それぞれが好き勝手言ってる。


「まぁ良いではないか!」

「うわっ!」

急にズメイに肩車をされる。

「勝ちどきだ!」

そして横で飛んでいるハルに無理やり片腕をあげさせられた。

「魔王様の勝利だ!!」

「「「うおおぉぉぉ!!」」」

「「ひゃっはー!!」」

みんなは武器をあげて壮大に声をあげる。

死が確定しているような相手を打ち倒したのだ、当然だ。

しかしそんな中私は涙を流していた。

「うぅ…」

羞恥の涙を流しながら勝利宣言をした者が過去いただろうか?

ここを見てほしい、私がそうだから。


ふとアーサーと目が合う。

「魔王様」

「アーサーちゃん。ごめん、私…」

「いえ、いいんです」

にこりとアーサーが笑う

「魔王様、これからもよろしくお願いしますね!」

「!…こちらこそ!」



長かった戦いはここで終幕だ。

後から聞いた話だが、魔境で死んだ魔族の魂は一度ワールドシステムの本体であるマザーシステムへと行くらしい。

本来迷子になるはずの私の魂もマザーシステムへ行ったようだ。

というかそこで魔王の魂として別枠で保管されるので迷子となっていたらしい。

ちなみに葵さん曰く

「システム利用…すれば…復活できる。し、死んですぐだから…対処…できた…」

とのこと

そういえば私が死ぬ直前、葵さんがおろおろしてたけどすぐ復活できるって言おうとしていたのか。

っていうかそれができるなら最初から一度死んですぐに復活を…あぁいや、みんなが許してくれないだろうしいろいろできない理由もあったんだろう。

私が目覚める前、生命エネルギーがどうたらってシステムの音声も出てたし。


その後は全員で魔王城へと転移をした後、私は改めてお礼を言った。

そして各々それぞれの場所へと帰っていった。

海王さんたちは海へ。

騎士団の人たちは王様を引きずって王都へ。

勇者パーティはこの一件で世界に本当に不具合が起こってないか直接見に行くため旅へと出るらしい。

葵さんはまだまだ調整もあるのと行き場所がないのでマザーシステムのあるあの場所へ住むと言っていたがさすがにあの場所に住ませるわけにはいかないので魔王城に部屋を用意した。

四天王やアーサーなど魔王サイドは後始末に追われるだろうがじきに元の業務状態へと戻っていくだろう。

リリスはそんなこと関係なくいつも通りまたトラブルを起こすんだろうな。

勘弁してほしい。


私はと言うと…。

「魔功砲の穴がハーピィの巣にされています」

アーサーの報告に私はげんなりする。

「葵さんは許可してるの?」

「いえ、やめてほしいと言っているようですが聞き入れてもらえず困っているようで…」

「あぁ、じゃあハルさんを連れて…」

扉がバンと開く。

「魔王様!リリスがズメイ様とハル様とケンカを!ミドリ様が仲裁していますが限界があり!」

リッチーさんの部下であるゾンビが部屋に押し入ってきた。

「ええ!?また!?リッチーさんは?」

「現在休暇中で」

あぁそうだった!リッチーさん働きすぎだから無理やり休み取らせてたんだった!

「えーっとじゃあ…」

「ん?邪魔だったか?ロンギと私で止めに行くぞ」

「来たで、エルクルちゃん!」

海王とシレーヌがうちに来たらしい。

「ごめん二人とも!いろいろトラブってるみたいで…」

「二人ではない」

ぬっと知っている顔が出てくる。

「王様まで!?なんでここに!あれから一週間くらいしか経ってないよ!」

「勇者一行が伝えたいことがあると連絡が来てな。私自ら来た!」

「なんで自ら!っていうか伝えたいことって…」

「ワールドシステムの子機が見つかったと。影が襲い掛かってきたのでやむなくそこで仲良くなった不死鳥とともに壊したがどうすればと」

「またシステム!?不死鳥さんまで!じゃあ葵さんに連絡を…」

「魔王殿!」

騎士団の人がどかどかと入ってくる。

「魔王殿!ここに王様が…。いたぞ!捉えろ!」

「なに!?早いな。では魔王、さらばだ!」

「えっ!」

気が付けば王様が消えていた。

「くそっ!消えたぞ!探せ探せ!」


やめて!何この状況!

魔王城はたまり場じゃないんだよ!

「ふふっ!騒がしい毎日ですね」

アーサーが笑いながら言う。

くぅ…後始末大変だから笑えないよ!


「あーー!!こんなことならもっとゆっくりしてから復活すればよかったーー!!」



魔王様は足止めたい 完



ここまで読んでいただきありがとうございました。

まさか雑になんとなく書いたもので数話で終わらせるつもりの作品が100話を超えて書ききれるとは思いもしませんでした。

書いててとても楽しかったので完結できて感無量です。


次回作も書いていますのでできればそちらも見ていただければ嬉しいです。

「ナギの魔法 〜落ちこぼれ魔法使いの私が異世界の女の子と出会い、二人で学校のトップを目指します〜」

https://ncode.syosetu.com/n6145mj/

こちらは超王道のギャグあり魔法学園ものとなります。

よろしくお願いします。

設定壮大にしたけど完結できるだろうか…。

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