最終処置
『外部からのコマンド入力。深刻なエラーが発生しました。ワールドシステム、継続不可能。最終処置を取ります』
マザーシステムは辺り全てに赤い光を放っている。
「なに!?どういうこと!?」
「た、多分…私が…マザーシステム…侵入して…コード変更で一部を占拠…。本体がエラー判定…して…」
「え…え…?」
なんかよくわからない!
最終処置って何!?
「待った、コンソールを見せてくれ」
ファウストが割ってマザーシステムを確認していく。
「こ、これ。多分これ…動いてる…」
「…ん?なぜそんなものが?であればシステムは再起動、もしくは初期化などを起こしそうなものだが…」
「で、できないよう…私が拒否してる…」
「…優秀だな。しかしこれを削除すれば…」
「ダメ…。試した…でも効かない…」
「ふむ」
二人があちこちを見て話しているがまるでわからない。
「あの…一体何が起こって?」
「あぁすまない。何も問題はない、ただ自爆装置がONになっただけだ」
「な!」「自爆!?」「一体どうなっている!」「逃げた方がいいのでは!?」
ざわりと周りがうろたえる。
問題しかないよ!
ここまできてそんなのって…
「自爆って…これ、爆発するの?」
しかしファウストは首を横に振る。
「爆発はしない。ただ、何者かを召喚してこいつごと物理的に抹消しようとしている。それをどうにかすればいいんだけど…」
「何者かって何!?って言うか物理的にって…」
またとんでもバグの影が登場するってこと!?
「見かたによってはかなり単純だよ。これをしのげばワールドシステムは僕たちのものだ」
「単純って…」
だからって物理的に…?
こんな高度なものなのにやってること脳筋すぎるよ。
「なるほど、じゃあ俺たちの出番というわけか」
ユウシエッドが前に出る。
「簡単じゃねぇか、俺の分も残しておけよ」
ワルクも斧を構えだした。
「守備は任せてください。守るのだけは得意ですから」
ニチレンも杖を前に出す。
「3人とも…でも…」
「多分大丈夫でしょ。僕たちの実力、知っているだろう?」
ファウストも閉まっていた杖をまた出し始めた。
「う…」
本当に大丈夫だろうか?
この城みたいな大きさのシステムを物理的破壊ということは多分とんでもない威力を出すものに違いない。
小さい子機の方でも戦いの最中、少し攻撃が当たってしまった程度じゃビクともしなかった記憶がある。
それにユウシエッドたちの戦いはさっきマザーシステムが学習したはず。
だから…。
「ほら、もう来るよ」
「えぇ!?」
マザーシステムはどす黒く光り始める。
『抹消システムを開始します。召喚:繧シ繧ヲ繧ケ』
聞き取れない文字化けのような言葉を放つと、どす黒い光は遥か向こうへ発射し始めた。
「あんな遠くに…」
そしてジジ…と徐々にそれは形作っていく。
黒い羽が生え、手や足はなく、全身に目がついていて中央に口が一つ。
後ろのマザーシステムに匹敵するほど大きくモザイクのような色のそれはどう見ても生き物とは思えない。
「―――――!!!」
「うぐ…!」
鳴き声とも呼べないとんでもない轟音はそれだけで全身をバラバラにされそうだ。
「では俺から行こう」
ユウシエッドは剣を抜き始めた。
「大地を斬り…海を斬り…空を斬る奥義…」
「ん?」
そして剣を逆手に持ち出す。
「ちょ、それダメ!」
「ユウシエッド…スラッシュ!」
全力で剣を振り、化け物を真っ二つに斬れるほどの大きさの斬撃が飛んでいく。
これア〇ンストラッシュだよ!
しかも派生型のアローの方だ。
ともあれ斬撃はどんどん伸びていき、化け物に到達する。
そして真っ二つ…とはいかずに何もないかのようにスッと通り過ぎていった。
遥か向こうの方でザンッ!と壁が切れる音がする。
「なっ…!?物理攻撃が効かない…!?」
「俺の帝撃に匹敵する威力だぞ!?」
「…魔力を濃縮させた物体だからだろう。僕がやる」
ファウストが杖を構えて私達では考えられないほどの魔力を練り込む。
「右手に炎、左手に氷、あとはいろいろなものを混ぜ込む究極消滅魔法…」
「え!?やめ…!」
だから今シリアスな場面だからダメだって!
魔力は虹色の輝きを放って弓のような形となり撃つ準備を整える。
「行くぞ、メド〇ーア!!」
ほんとにメ〇ローアだった!
放たれた虹色の魔力の塊はどんどん大きくなって伸びていく。
そして化け物に到達する直前、
『3%』
そんな音声が聞こえると同時に巨大なレーザーが魔法を吸収してこちらに向かってくる。
「えっ…?」
「下がって!シールドセット!」
咄嗟にニチレンがシールドを張る。
しかしジュワッ!と最初からシールドなどなかったかのように通り抜ける。
「逃げ…!」
ドカアァン!!と熱線が後方で鳴り響く。
「シールド…セット!」
咄嗟に発動したニチレンのシールドで爆風が抑えられる。
「うぁ…これは…!」
「ひっ…!」
マザーシステムの一部が破壊されてマグマのようにドロリと溶けている。
「…3%って言ったな」
「これは勝てないぞ」
ギョロギョロとあちこちに目を動かしている化け物は準備運動が終わったかのような状態でそこにいた。




