最後の戦い
「来ちゃったけど…デカすぎない?」
目の前にあるのは魔王城1個分はありそうな見上げるほどの機械。
大樹のようにせりあがっていてその上部中央には巨大な魔法石が機械に守られるように鎮座していた。
その周りをよく見ると魔法陣が出たり消えたりしている。
デカけりゃいいってもんじゃないと思うけど…。
「ふむ、しかしこの場所ならいくらでも暴れられるな!余の筋肉がうなるわい!」
素振りをしている王様の見る先は地平線が見えるほど大きく何もない空間。
広すぎではあるけどあの破壊力を持つ王様だし正直助かった気もしないでもない。
「地下とは思えないですね、光は…あの木の根か」
ミドリの視線を追うと木の根っこがあちこちにあり辺りを照らすように光っている。
天上も100メートルはありそうなのでギリギリ見えるくらいだ。
「魔王殿!ここにアーサーちゃんの銅像を建てたいのでござるが!」
またわけのわからないことをロンギさんが言ってる。
「却下で。絶対嫌がるでしょ?」
「そんな…!拙者の夢が…」
もうちょっと緊張感持ってほしいものだ。
「敵はどこじゃ!?ハーピィ共!余とともに戦うぞ!」
「「リリス姐さん!!うおおおおおぉぉ!!」」
「私の部下なんですが…」
一部に関してはものすごい盛り上がっている。
「っていうかリリス…あなた体ボロボロでしょうが…」
「まぁ良いではないか。魔王様ほど無理はしておらんようだからな!」
「う…」
ズメイの言葉に反論ができない。
「さ、作業…始めたい…」
葵がくいっとこちらの手を引っ張ってアピールする。
「あぁ、そうだったね。」
っていうか正直転移と同時に襲われると思ってた。
よかったとは言えるけど何もないのも不気味だ。
「えーっと、コントロールの場所は…」
「た、多分…あれ…」
指を刺した方向を見ると何やら一部出っ張ったオブジェが見える。
キーボードとディスプレイだろう。
「向こうか!行くぞ!余についてこい!」
リリスが意気揚々と歩き始めようとする。
あ、その前に
「みんな、ちょっと聞いて!」
「…?どうした?ぬしよ」
みんなが振り返ってこちらを見る。
「あ、いや、大したことじゃないんだけど…とりあえず感謝だけでも伝えとこうと思って」
こほんと向きなおしてまっすぐみんなを見る。
「ありがとう。ここまで来れたのはみんなのおかげ。今回の戦いでこれまでの因縁は全て終わる。これが終わったらみんなで祝勝会をしよう。だから…最後は笑って帰るよ!」
「…」
みんなはぽかんとした顔でこっちを見ている。
あ、あれ?何か間違ったかな?
「この戦いの最中に死にそうなセリフですね」
ミドリがくすりと笑いながら言う。
「あ…」
確かに!
「魔王様らしくはありますね」
「いずれにせよ我らが守るがな!」
「この光景が見れないの、アーサーや海王様達は悔しがるでしょうね」
「まぁやることはただの足止めじゃがのう!」
「拙者も助太刀するでござるからな!」
「…ふふっ」
リッチー、ズメイ、ハル、そしてみんなが思い思いのことを言う。
「なるほど、魔王殿の魔王らしくないところが皆に好かれたわけだな!」
「魔王らしくないって…」
いいこと…なのかな?
そんな言葉を王様が言った辺りでマザーシステムから大音量の音声が流れ始めた。
『エラー。バグ因子を確認』
来た!発見された!
「葵さん!お願い!」
「わ、わかった…!」
そうしてマザーシステムの前へと急ぐ。
『修正プログラムを実行…エラー。子機との通信…エラー。検索…物理的な排除を実行します』
葵が作業を始め、私たちはこれから来るであろう敵に備える。
「どこからでもかかってこい!」
『排除用魔族の生成。…10…100…1000…10000体』
「っ!!」
辺りにとんでもない数の影がシステムから飛び出して散乱し始める。
「これほどまで…」
「一筋縄じゃ行かないとは思ってたけど…」
「問題ない!余が王撃で蹴散らして…」
『システムコード:ミラー。対象、グロム王国 第7代王 ベルク・グロム』
奥の方でひときわ大きな影が蠢きだした。




