根源の地へ
「魔王様、竜の転移、完了しました」
「魔法陣の準備も完了です」
「各方面に言伝はもうすぐで終わります」
「余はいつでも出れるぞ」
魔王城に戻った後、各方面から報告が届いてくる。
「ここが魔王城か!大きさは余の城といい勝負であるな!」
王様はとても楽しそうにあちこちを見ている。
「あの…そちらの部下などに連絡とかは…?」
「先ほどやった!うるさくてかなわんかったがな。そのうち増援が転移して来るであろう。余も最前線で戦うので安心するがよい!」
いやだからトップが最前線で戦うのは…ってあれ?これ特大ブーメラン刺さってるね。
口に出さないでおこう。
「それにしてもマザーシステムが魔王城の下にあったなんて…」
葵曰く玉座の間の中央に隠された魔法陣があるとのことだった。
実際に絨毯をはがして床の一部をはがしたところに確かに魔方陣があった。
ここからマザーシステムへと転移できるらしい。
「よ、予想としては…あった。でも…行き方…わからなかった」
「そうなの?もっと遠くにあるものだと思ってたよ」
「システムの子機…魔境の周りに集まりすぎてるから…」
あー、確かに全部魔境内の転移からすぐ近くにあったね。
「それに…魔境を作った機械…近くにないとおかしい…」
「魔王様!」
リッチーが駆けてくる。
他の四天王達も一緒や城に待機していた魔族達もいる。
「あらかた報告や準備が終わりました。後は皆が到着するのを待って転移するだけです」
アーサーちゃんが王都の騎士団、海王さんたちも準備を整えてくるだろう。
「早く行きましょうぜ、魔王様!我らハーピィ軍団、最終形態です!」
「「おお!!」」
様々な形をしたサングラスと赤いマントを羽織っての登場だ。
「あなたたち…いやまぁいいんだけど…」
「すみません、私の部下が…」
どうでもいいけどそのマント飛びにくいんじゃないかな…。
「ともかく、思ったより早い準備でよかったよ。じゃあ他のみんなが到着するのを待ってすぐに…と…」
足がカクンと崩れ、バランスを崩す。
「おっと!魔王様!?大丈夫か?」
地面に手を付ける直前でズメイが支えてくれた。
「ありがと、ちょっと疲れてるんだと思う。大丈夫だから」
そう答えながら助けてもらいながら再度立ち上がった。
「…」
葵が神妙な顔をして口を開く。
「…え、エルクルさん…。お腹…見せて…」
おっと。
「…なんで?」
「じ、状態…確認したい…」
「…いや」
ジリジリと詰められるができれば拒否したい。
今の私は体を包帯でぐるぐる巻きにしている。
これを取られるわけには…。
「魔王様、失礼します」
「え、ちょ、ハルさん!」
後ろにいるハルに気づかずあっけなく包帯ははがされた。
「これは…!」
「…」
狼にかまれたモザイクが胸の方まで上がってきている。
脇腹の方は一部欠けていた。
「待ってる時間…ないかも…」
葵がうつむきながら言う。
「魔王殿、ここまでひどい状況だったとは…」
「いや…ね?影に飲まれてから悪化して…」
「もうほとんど…持たない」
「でも、みんなが来るまで耐えれば」
「多分…無理。それに…対処しても…欠けたところ…戻らない…」
「…」
実際、左半身の感覚がほとんどなくなってきている。
「ぬし、すぐに出発した方がいい。余は戦うぞ」
リリスの言葉に少しぐらつくが…。
「それでも、みんなを待つ。それまで耐えるくらいのことは…」
「皆!武器を持て!出発の時だ!」
「「「おお!!」」」
ズメイの言葉に四天王のみんなや部下達が沸き立つ。
「え!?ちょ…みんな!」
「葵殿、準備を」
「わ、わかった」
リッチーの言葉に葵は転移陣の方へ向かう。
「拙者も行くでござるよ!」
「血祭だあぁ!!」
「楽しくなってきましたぜぇ!!」
「待ってよみんな!」
「あなたの部下は待てと言われて待つものはいませんよ」
ミドリが少し楽しそうに言う。
「いい部下達ではないか!魔王殿のために命令を無視してでも行動する!余も全力で助太刀しよう!」
「はぁ…もう止められないか…。大変ですけどね…」
王様の言葉にため息をつく。
「て、転移する!」
そうして半場無理やり私は運び込まれ、最後の戦いの地、マザーシステムへと向かった。
そういえば葵がエルクルのこと名前で呼ぶことあったっけ?って思って悩みました。
最終局面なのに…。




