マザーシステムの場所
「ふむ、こんなところか」
そう言って攻撃をやめた王様は息切れもせず満足気だ。
目の前には窪地など最初からなかったのではないかと思われるほど辺りが穴ぼこになっている。
もう全部この人だけでいいんじゃないかな…?
「やるべきことは終わったのか?魔王殿」
唖然としていると王様はこちらを振り返って問いかける。
「…」
無言で葵を見ると涙目でこくこくと首を縦に振っている。
「えーっと…ここでは終わったみたいです。ありがとうございます王様」
「『ここでは』か。なるほど、話も聞いていたが次が本命のようだな」
「あの…」
と、その時王様の目の前に魔方陣のようなものが出始める。
「待て、念話だ。あー、もしもし?こちら王様」
「もしもしじゃないですよ!今どこにいるんですか!?」
王様の側近…いや、聞いたことある声だ。
参謀のギルフって人だったっけ。
声色が心配や困惑などではなくブチ切れである。
「うむ、魔境北東の果て、竜の住処にいる。魔王殿も一緒だ。危機は脱したぞ」
「脱したじゃないですよ!あなたのその大雑把なところでどれだけ大変な目に合ってると思ってるんですか!」
「まぁよいではないか!余がいなくてもギルフ、其方がやってくれると信じている。それにほんとの戦いは次であろう?よかったな、まだ活躍の場があるぞ」
「何言ってるんですか!馬鹿言わないでください!」
「どちらにせよ余が来なければ全滅もおかしくなかったぞ」
「それはこちらの都合とは別問題です!いいですか!?絶対にそこから動かないでください!」
「断る。余はこれから魔王殿と行動する。場所はまた連絡するので最高戦力をこちらに送るように」
「な!?ふざけないで…」
王様はブチっと魔方陣を消して念話を強制的に終わらせた。
「さて行くぞ!本命の場所はどこであるか?」
「ええ!?いいの!?」
めちゃくちゃだよこの人。
「良いに決まっている。でなくては迷惑をかけた償いにはならぬ。あの海王とかいう者にもな」
「海王さんを知ってるの?」
「でなくては余はここにおらぬ。ここの場所を知ったのは海王の使いから話を聞いたからな」
「あ…」
考えてみればそうか。
海王さん、そんなことまで…ありがとう。
「そうだ。長老はどうしよう?システムの攻撃、直撃してたけど。あと放って来ちゃったけどゲンさんも…」
長老を見ると血は止まっているようだが重症に見える。
「置いておけばいい、こんなものは日常茶飯事だからな」
「そうでござる」
ズメイとロンギが首を縦に振りながら言う。
こんな日常茶飯事があってたまるか…と言いたいけど事実なんだろうな。
「だとしてもそのままってわけにはいかないよ。せめてどこか安全な場所まで運んでおきたい」
「あ、安全な場所…賛成。機能止めたけど…動き出す可能性…0じゃない」
「え?」
葵の言葉に不安を感じる。
これ、まだ動く可能性あるのか、だったら早めに動くのが吉だろう。
「でもどこに移動しよう?この辺りとかゲンさんがいる場所とかじゃ心もとないし…」
「海王の場所はいかがでしょうか?あそこなら安全です」
ハルが手をあげて言う。
「いや、さすがにこれ以上海王さんに迷惑はかけられないよ。起きてまた暴れられたら困るだろうし」
どっちにしろ海王さんは戦いの準備で忙しいはずだ。
そんな中竜なんて送り込まれたらたまったものではないだろう。
「そうですね…では魔王城の広場はいかがですか?あの場所であれば安全ですしわたくしの部下が見れます」
リッチーが発言する。
「なるほど、魔王城…。そこならありだね。わかった、そこに転移して移動させよう」
「なんでもいいから早くしてくれんかのう…」
リリスがごね始めた。
「はぁ、わかってるよ。ともかくゲンさんのところに長老を運…べないからここと向こうでそれぞれ転移を…」
「自分が行って転移してきます」
「あぁ、ありがとうミドリさん」
よし、とりあえずここで考えることは全部だね。
「ふむ、魔王城に向かうのだな。ではそのあとのことだが…どこへ向かう?」
王様の発言で全員の視線が葵に向く。
「ど、どっちにしろ…魔王城に戻るの…ちょうどいいと…思う」
「どういうこと?魔王城になにか…?」
「マザーシステムの場所…魔王城の地下深くに…ある…」
「!!」




