不可視の祭壇
竜のお祭り騒ぎがひと段落し、私たちは長老に不可視の祭壇があると言われる場所に連れて行ってもらった。
「この先だ。ある者は巨人の足跡、またある者は冥界の入口と言われている場所だ」
そう言って案内された場所は大きなトンネルを抜けた先の広場、窪地だった。
っていうか異名ありすぎでしょ。
「いずれにせよわしら竜はあまり寄り付かない場所だかな」
「何か理由が?竜の中で決まり事などがあるのですか?」
ミドリが聞く。
「特に意味はない。神聖と言われていたからなんとなくだ」
信心深いのか大雑把なのか…。
まぁいいや、とりあえず調べていこう。
そう思って窪地に降りていって調べるが正直何もないように見える。
「魔力も感知できないしただ広いだけの窪地に見えるね」
ミドリが地面に植物をかませるが首を振る。
「地下に空間もありません」
上を見上げるとハルが飛んで旋回していた。
「空も反応なしです」
リッチーは窪地自体を調べている。
「まっすぐ歩いてもそのまま端に到着するだけ。何もありませんね」
「我もロンギもこの場所に来たことはあるが違和感を感じたことはない」
「でござる」
「なんじゃ、何もないではないか」
ズメイ、ロンギ、リリスも各々調べるが何も感じていないようだ。
「葵さんは?」
葵を見るとブツブツと考え込んで立ち尽くしていた。
「ち、地下自体は…隠せない。空も違う…。直線は…進んでるつもりで迂回?」
よくわからないがこの辺りをかなり怪しんでるようだ。
「ふむ、何をやっているのかわからないが、こういうのはとにかく叩けばいい。下がっていろ」
「え?」
長老が突然翼を広げて飛び立った。
な、何をするんだろう?あんまりいいことではなさそうだけど…。
そうして長老は息を大きく吸い、
「炎弾ブレス!!」
炎の球体を3つほど吐き出した。
「えぇ!?なにやってんの!?」
一斉に窪地から離れて回避をする。
ゴウ!と炎の柱が立っていく。
こんなのでわかるはずない…え?
ジジ…とただの窪地だったはずの場所から見たことのある機械が現れる。
認識阻害に加えてステルス機能のようなものを使っていたようだ。
どう見てもワールドシステムの子機だ。
「あったよ!こんな方法で!」
「た、多分スリープモード…。システムが認識魔法を…全開に…」
『起動、攻撃を確認。反撃に移ります』
子機から光の刃が飛び出していき長老に直撃。
赤い飛沫があがる。
「無念…」
「長老ーーー!!」
ちょ…自業自得感あるから心配しづらい!
いや、とにかく治療を…!
「魔王様!大丈夫だ!あの程度では長老は死なん!」
ズメイが叫んで前に出る。
『迎撃完了。システムを起動…バグを発見』
なんか本格的に起動しちゃったよ!
「葵さんは…?」
さっきまでそこにいたはずの葵が見当たらない。
「こっちです!」
聞こえたのはハルの声でその方向を見ると葵とともにワールドシステムの前にいる。
すぐに現状を察知して連れて行ってくれたようだ。
「とにかく葵さんを守る形で集合を…」
そう言うと同時に背後に歪な気配を感じる。
『バグの排除を開始します』




