竜との戦い
目の前には全長10メートルはありそうな竜。
それが大口を開けて勝負を求めている。
「無礼だぞ貴様!この方は魔王様だ。今は勝負するつもりはない。我のことも知っているだろう」
そう言ってズメイが間に立った。
「んん?貴様は…ズメイか!はっ、偉くなったものだ!全員まとめてかかってこい。この俺、ゲン様が最強ということを思い知らせてやる!」
「ズメイ、全然話を聞かないぞこいつ」
ハルが呆れながら言う。
「んん?うーむ…」
「自分たち四人とロンギで向かいますか?」
「できればわたくしは魔力を温存したいのですが…」
「拙者もあまり戦いたくはないでござるなぁ」
全員が乗り気でない。
葵に関しては私の後ろで完全に縮こまっている。
避けれるなら避けたいけどそうさせてもらえる雰囲気ではないよね。
「何をぐずぐずしている!来ないなら俺から…!」
「そんなに勝負がしたいのなら余が相手じゃ!」
リリスが飛び出していきゲンという竜の頭上まで跳躍した。
「ちょ…リリス!」
「チビ魔族が!面白い!」
ゲンは大口を開けた。
リリスは蹴りの体勢に入る。
そして…。
「おおおぉぉぉ!!…お?」
ゲンはバクリとリリスを丸呑みした。
「リリスうぅぅぅぅ!!!」
「ガハハハハ!!口ほどにもない!」
ゲンは腹を叩いて笑う。
「次は誰だ?いや、貴様が一番偉いらしいな!では貴様から倒してやる!」
私をご指名だ。
早くリリスを助けなきゃ!とにかく目の前の竜を倒して!
「アイス…」
と魔法を唱えようとしたがみんなが間に立つ。
「我がやる!手を煩わせることもない!」
「なんでもいい!俺が最強なのだからなぁ!!」
と、ゲンが右腕を振りかぶったとき、急に様子がおかしくなった。
「ぐぅ…なんだ…?腹が!貴様の呪いか!?よくも…!グオォォォォ!!」
そう言ってズゥン!と急に倒れた。
「魔王様…何をしたのですか?」
リッチーが聞く。
「え…何もしてないんだけど…」
そうしてそろりと近づいて観察していると口のあたりがもごもごと動いているのが見えた。
「これは…」
そうして待っているとペッ!と何かが吐き出されるのが見えた。
「あぁぁ!!ベタベタじゃあ!気持ち悪いのう!」
よくわからない液体や血だらけのリリスが飛び出してきた。
「リリス!」
「え?大丈夫なの!?あなた丸呑みされて…」
「ん?この血は余のものではないぞ。奴の中をそこら中暴れまわっておったんじゃ。そしたら出られた。いろいろなものを破ったが大丈夫かのう?」
「あぁ…」
どうやら彼の体内をズタボロにするほど暴れたらしい。
ご愁傷様すぎる。
がさりとどこからか音がした。
「ゲンがやられている…」
「え?」
振り向くと竜。
それが10体、20体と数が増えていく。
「魔王様!」
ハルが叫んで私を守ろうと4人が間に立つ。
「これはあなた方がやったのですか?」
丁寧なもの言いだ。
髭の生えた長老っぽい竜が前に出てきて言う。
「いかにも!我らが魔王様がやったことだ!」
「え、私!?」
ズメイが自信満々に答えている。
いや私何もやってないけど…。
「なるほど…」
ゆっくりと竜たちが私たちを囲む。
「魔王様…」
何をしてくるのか全員が構える。
「ひいぃ…」
葵さんが限界そうだ。
「新たな強者が出たぞ!皆、称えろぉ!!」
「うおおぉぉぉぉ!!」
急に竜たちが喜びながら踊りだした。
あー、こういうね…。




